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太陽光発電を工場で導入するメリットとデメリットとは?

ブログ 2022.08.23

太陽光発電を工場の屋根などに設置する際に、気になるメリットとデメリットについてご紹介します。
太陽光発電といえば住宅の屋根に設置されている光景を思い浮かべるかもしれませんが、昨今の電気代高騰や脱炭素の推進から、工場に導入する企業も着実に増えてきています。むしろ、工場の屋根は太陽光発電の設置に適した平らで適度な勾配のついた面積を確保しやすく、太陽光発電に適しています。
本記事では工場への導入が加速する太陽光発電について、そのメリットと気をつけたいデメリットをいくつかご紹介しますので、導入の検討にご参考ください。

工場に太陽光発電を設置すれば平均して3割程度の電気代削減効果が見込めます。無料でシミュレーションを実施しています。

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太陽光発電を工場に設置するメリット

太陽光発電を工場の屋根に設置する場合は、少なくとも500万円程度の費用がかかり、屋根の面積が広く太陽光発電システムが大規模になれば数千万円にも上ります。高額な費用を前にして、導入をためらう経営者の方もいらっしゃるかと思いますが、工場での太陽光発電にはその費用に見合う経済的なメリット長期的な経営戦略上の利点があります。

電気代を削減できる

企業が導入する太陽光発電は、固定価格買取制度(FIT)を活用した投資や売電事業が主体の産業用太陽光発電をイメージされるかもしれません。しかし現在は、FITの売電価格が電力会社から購入する電気料金よりも安くなったため、太陽光発電で発電した電気は売るよりも工場内で自家消費して、電力会社から購入する量を減らした方がお得です。

(出典)資源エネルギー庁資料より作成

この「自家消費型太陽光発電」が現在では主流で、電気代を削減できる経済的なメリットがあります。太陽光発電は日中に多く発電するため、日中により多くの電気を消費する工場だと電気代削減効果が大きくなります。

また、自家消費した電力分は再エネ賦課金を負担する必要がないこともメリットです。再エネ賦課金は電気料金にプラスアルファされる形で、電気の需要家が等しく負担していますが、自家消費で電気を電力会社から購入しなければ、その自家消費分は課金されません。
再エネ賦課金は年々上昇しており、今後も再生可能エネルギーの普及は進んでいくことから、さらなる値上げが確実視されています。そうした将来のコスト増の要因も回避できます。

2022年までの再エネ賦課金単価の推移のグラフ(出典)資源エネルギー庁資料より作成

電気料金高騰の影響を回避できる

電力会社が展開している電気料金プランの価格は、卸電力取引所(JEPX)の取引価格や火力発電に必要な燃料費、再エネ賦課金など複数の要素が絡み合って決定されています。現在、JEPXおよび燃料費が高騰しており、電力会社各社が料金の値上げに踏み切ったことで電気代が高騰しています

燃料費は世界的に高止まりが続いており、JPEXの価格も以前と比べ高値の水準で推移していくことが今後も予想されています。太陽光発電を設置すれば、電力会社から購入する電気量を減らせられ、電気料金高騰の影響を回避できます。

JEPXの2020年4月から2022年4月までのスポット日平均価格推移(出典)JEPX取引データより作成

補助金を活用できる

工場への太陽光発電の設置には少なくとも500万円程度、設備の規模が大きくなれば数千万円にも上るとご紹介しましたが、設備費や工事費を補助する補助金が国また自治体から出されています。

工場で活用できる令和4年度の太陽光発電の補助金はすでに募集を終了していますが、補助率は1/3~2/3まであり、高額な太陽光発電設備も補助金を活用すれば初期費用の回収が早まります。来年度以降も継続される見込みですので、補助金活用を踏まえた導入を今から検討されてみてはいかがでしょうか。

令和5年度の太陽光発電関連の補助金の概算要求が発表されました。令和5年度も補助金は継続される見込みです。

税制優遇による節税ができる

工場に設置する太陽光発電は税制優遇制度の対象です。3種類活用でき、最も効果が高い制度は中小企業経営強化税制で、即時償却10%税額控除のどちらかを選択できます。即時償却では、太陽光発電の導入に要した設備取得額を初年度に一括損金計上でき、額面の純利益額を圧縮することで法人税を節税します。税額控除は、設備取得額の10%を法人税から直接控除します。

即時償却の法が節税のインパクトは大きいですが、本来耐用年数に合わせて発生する減価償却を一括して償却するため次年度以降の節税はありません。反対に税額控除はインパクトはそれほど大きくありませんが、次年度以降も減価償却による節税が有効なため、税額控除は実質的な節税になります。

しかし、中小企業経営強化税制は2022年度が最後とされており、本記事公開時点で、申請や工事に要する期間を考慮すればすぐに検討を開始する必要があります。3種類ある税制優遇制度のう2023年度以降も有効なのはカーボンニュートラル投資促進税制です。ただ、償却は50%まで、税額控除も7%までと中小企業経営強化税制よりも効果は小さくなっていますので、太陽光発電の導入と併せて節税されたい場合は2022年度中が良いでしょう。

(例)設備取得額1,500万円の太陽光発電設備を即時償却した場合の節税効果

 

自家消費型太陽光発電はエネマネX|電気代3割の削減を実現

 

脱炭素経営を推進できる

2020年10月の当時の菅首相が表明した「2050年カーボンニュートラル宣言」以降、日本においても脱炭素の潮流が加速しています。カーボンニュートラル・脱炭素とは、CO₂をはじめとする温室効果ガスの排出量と、森林や海洋、土壌また技術によって吸収する量とを均衡させることを指し、現在は温室効果ガスの排出量削減への注力が企業でも進んでいます。

企業が脱炭素に取り組むための手法として現在最も採用されているものが、太陽光発電です。太陽光発電は発電時にCO₂を排出しない再生可能エネルギーの中でも早くから商業化が始まり、風力発電やバイオマス発電に比べ設置スペースをそこまで必要とせず安価です。屋根などに比較的容易に導入でき、電気代を削減しながらCO₂の排出を削減でき、脱炭素を推進できる点が太陽光発電のメリットです。RE100、SBT、TCFD、RE Actionといったイニシアチブの要件にも適合しています。

以下では、脱炭素経営の手法をまとめたハンドブック資料を無料でダウンロードいただけます。太陽光発電による脱炭素経営の実践の参考にいかがでしょうか。

企業の脱炭素経営の手法がこの1冊の資料でわかる!

日本で排出されるCO₂のうち8割以上が企業活動から排出されており、工場を持つ製造業は全体の4割弱を占めています。カーボンニュートラル達成のためには工場などを経営する製造業の脱炭素化が欠かせません。

企業が脱炭素に取り組む意義は、日本のそして世界のカーボンニュートラルの達成、地球温暖化の抑制ではありますが、企業経営にも長期的な恩恵をもたらします。脱炭素が経済・社会の時流となった現在では、今後、脱炭素に取り組んでいない企業は取引から除外されるなどのリスクが当たり前となります。反対に脱炭素に積極的に取り組んでいる企業は、企業価値が向上しビジネスチャンスが広がるだけでなく優秀な人材の採用などにも好影響をもたらします。

遮熱・断熱効果

太陽光パネルの遮熱および断熱効果

工場の屋根に太陽光発電を設置すれば、電気を発電するだけでなく遮熱・断熱効果によって室内を過ごしやすくしてくれます。太陽光パネルが夏は直射日光を反射し、冬は放射冷却を抑制します。夏場は室内の温度を2℃近く下げられ、冬場は室内から熱が逃げることを防ぎます。

これによって空調の使用頻度や温度設定を抑えられるので、消費電力の削減にもつながります。

工場立地法の対策ができる

太陽光発電は工場立地法が定める環境施設として認められています。製造業などの業種で一定以上の敷地面積か建築面積を有する工場は「特定工場」とされ、工場立地法の規制対象です。工場立地法では業種に関わらず、工場敷地面積のうち20%以上の緑地と25%以上の環境施設を設ける必要があります。太陽光発電施設は、この環境施設に該当します。

ほかの環境施設には運動場や広場などがありますが、いずれも工場の敷地内に設けるとなると、工場の建屋を建設するスペースを奪ってしまうため限られた面積の有効利用という点では足枷となってしまいます。太陽光発電施設は工場の屋根への設置でも環境施設として認められ、工場敷地を有効活用できます。

BCP対策につながる

近年、大雨や台風による被害は以前よりも脅威を増しており、その頻度も増加傾向にあります。停電や浸水などの被害をもたらす自然災害やパンデミック、テロなど緊急事態への対応を事前に計画し、有事の際にその計画に沿って適切に対処するBCP(事業継続計画)の必要性がますます増しています。脱炭素への取り組みと同様に、企業活動へのリスクマネジメントの有無・有用性が企業の判断基準として広く認識されており、BCPを整備することは停電などへの対処を迅速に行えるだけでなく、企業の信用や信頼の獲得にもつながります。

工場におけるBCPの重要性は明白です。大きな工場の場合、数十分の停電によって数千万円もの損失を被る可能性があり、工場で生産活動が止まるということは経済的な大きなリスクになり得ます。太陽光発電で工場内すべての機械や設備の電源を確保することは現実的ではありませんが、停電した際に優先して運転する主要な機械・設備に太陽光発電の電気を供給できるようにしておけば、最低限のリスクマネジメントは達成できます。併せて蓄電池も導入すれば、太陽光発電が発電しない夜間や雨天時の運転を補完してくれます。
同様の目的で採用される発電機とは違って、停電時以外は電気代削減による経済的なメリットもあり、平常時と緊急時のどちらでも活用可能です。

また、自然災害時などに周辺住民に工場を開放する災害協定を締結している企業もあり、地域貢献という側面もあります。地域との共生がより求められる社会で、地域との関係作りにも役立てられます。

余った電気は売電(余剰売電)できる

現在の太陽光発電は自家消費が前提ですが、使い切れず余った電気はFITを使った売電も可能です。以前の売電収入を目的として投資型の産業用太陽光発電ほどの収入は見込めませんが、自家消費し切れず余った分の電気も捨てずに済みます。

注意しなければならない点は、余剰売電をする場合は補助金を活用できない点です。余剰売電による売電収入よりも、完全自家消費目的で補助金を活用した方が利回りははるかに良いので、補助金が通らなかった場合の代替案としての捉え方が良いでしょう。蓄電池を併設すれば、余剰分を貯めておき夜間などに放電できるのでおすすめです。補助金は蓄電池へも適用でき、蓄電池を併設することで補助金に通りやすくなるというメリットもあります。

 

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工場への太陽光発電の設置、電気代削減、省エネ、脱炭素経営などお困りごとやお聞きになりたいことなどございましたら、お気軽にご相談ください。
ご都合のよろしい日程を以下から選択いただけます。

 

太陽光発電を工場に設置するデメリット

太陽光発電を工場に設置するメリットに続いてデメリットについてもご紹介します。デメリットをできるだけ回避、抑制する方法についてもご紹介します。取り上げてきたように多様なメリットがある太陽光発電ですが、デメリットも事前に把握しておき対処方法を検討しておけば、導入後のギャップを防ぎ効果的な運用ができます。

初期費用が高額

何度か触れてきましたが、工場への太陽光発電の投資には最低でも500万円、規模が大きければ数千万、億近い費用がかかります。見積りを依頼してみたら、高額な見積額を提示されて断念してしまう、ということもあるかもしれません。一社だけでなく複数の業者への相見積りで、できるだけ費用を落としつつ、下記の対策を検討してみてください。

太陽光発電は長く利用することでメリットも大きくなりますので、短期的な視点ではなく、長期的な視点を持つことが肝要です。

(例)屋根面積に応じた発電容量と費用の概算
屋根面積(㎡) 発電容量(kW) 初期費用(万円)
300 32 500
550 65 1,000
1,600 195 3,000
4,300 480 7,500

電気代削減効果でおよそ10年で元が取れる

太陽光発電で発電した電気を自家消費することで、それまで電力会社から購入していた電気を削減でき、太陽光発電の導入前と導入後の電気料金の差分で初期費用の元を取れます。設備の規模に関わらず10年程度での回収が可能で、導入費は実質ゼロ円とも言えます。

補助金・税制優遇活用で費用低減

太陽光パネルやパワーコンディショナなどの機器と設置工事費などに補助金が適用できます。初期費用の回収を早める目的で税制優遇を活用する場合は、即時償却によって実質的に設備取得額を減額できます。補助金と即時償却を活用すれば数年程、回収を早められます。

PPA・リースを活用する

PPA(電力購入契約)またはリースを利用することで、初期費用0円・ランニングコスト0円で太陽光発電を設置できます。PPAではPPA事業者が太陽光発電設備の所有権を持ち、需要家にはPPA事業者から電気が供給され、PPA事業者に電気料金を支払います。リースもリース事業者が設備を所有する契約形態で初期費用がかからず設備を導入でき、定額料金をリース事業者に支払います。

定期的なメンテナンスが欠かせない

太陽光発電システムは「メンテナンスフリー」という見方をたまにされますが、そんなことはありません。定期的なメンテナンスを怠ると発電量が落ちて寿命を縮めるだけでなく、発電が止まっていたのに長い間気付かなかった、という事態になりかねません。メンテナンスを実施する箇所は太陽光パネル、パワーコンディショナ、ケーブル、接続箱、架台、キュービクルなどで、目視による点検のほか、機器を用いた電気測定、温度調査など多岐にわたり素人では対処できません。

20~30年にわたって効率的に使用するためにも、実績ある業者による定期的なメンテナンスは必要不可欠です。

(参考)太陽光発電システム保守点検ガイドライン|一般社団法人日本電機工業会・太陽光発電協会

キュービクルの改造が必要になる可能性

キュービクルのある高圧工場に太陽光発電を設置する場合、必ずキュービクルを通します。多くの場合、新しく太陽光発電の分を追加するだけの容量がキュービクル側になく、改造するか新設する必要があります。太陽光発電の設備費用だけでなくキュービクル関連の費用も見込んでおかなければなりません。また、太陽光発電設備を設置する業者に、キュービクルを開いて改造できる資格と人材がないことも多く、別の業者とやり取りする手間がかかるかもしれません。

発電量が天候や時間帯に左右される

太陽光発電は雨天時や夜間には発電できず、発電量は天候や時間帯に左右されます。朝夕や夜間により多くの電気を使う工場では、思ったような電気代削減効果が得られないかもしれません。発電量を最大限利用するためには、蓄電池を併設して日中に使い切れなかった電気を貯めておき、朝夕や夜間に放電したり、可能であれば機械の運転開始時間を日中にシフトしてみたりといった、工場側での工夫が求められます。

業者の良し悪しがある

太陽光バブルと呼ばれた2010年代半ばに太陽光を扱う業者が一気に増え、悪質な営業を行う業者や明らかに施工技術が足りない業者なども増えてしまいました。2010年代後半にバブルが落ち着いて以降は次第に淘汰されていき、悪質な業者は以前よりは減りましたが、それでも業者の選定には慎重さが求められます。

必ず相見積りを取り、金額の安さだけでなく工場での施工実績があるか、キュービクルの改造ができるか、メンテナンスにも対応しているか、自社施工か、現地調査の際の工事責任者に管理能力と知識があるかなど、大きな費用をかけて30年近く付き合っていく設備ですので、何となくの感覚ではなく裏打ちされた根拠に基づいて業者を選定しましょう。

 

屋根設置の際の注意点

太陽光発電を工場の屋根に設置する際には、メリットとデメリットのほかにも屋根に置くからこそ注意しなければならないポイントがあります。

工場の屋根に太陽光発電を設置する際、屋根材にもよりますが、太陽光パネルを固定する架台を留めるために屋根に穴を空けないとならない場合があります。施工技術が乏しい業者だと、穴から雨漏りが発生してしまいかねません。
また、屋根までカバーしている火災保険に加入している場合、架台の設置のために屋根に穴を空けることで保険適用外となります。設置工事の前に保険要件を確認しておき、施工方法によって回避できないか検討しておく必要があるでしょう。

太陽光パネルは一枚あたり20kgほどの重さがあり、㎡あたり10kg程度の重量が常に屋根にかかる計算になります。一般男性の体重を65kgと仮定して、屋根に上って作業して問題ないのであれば、特に気にするような重量ではありませんが、築年数が経過し老朽化が進んでいるような工場では強度計算を再確認した方がいいかもしれません。

屋根の面積の確保も気を付ける必要があります。屋根には空調の室外機やキュービクル、アンテナ、物置などが設置されていることが多く、単純な屋根面積に応じた太陽光パネル積載の見積りは禁物です。キュービクルや物置などの影が太陽光パネルにかかると、発電効率が低下してしまうため、業者が提出する図面が影を考慮した離隔を取っているか、現地調査をしっかりと行っているか、注意しましょう。

 

以上、太陽光発電を工場の屋根に設置する際のメリットとデメリット、また注意点をご紹介しました。工場に太陽光発電を設置すれば電気代削減や節税といった経済的なメリットのほか、脱炭素経営の推進や工場立地法の対策、BCP整備といった企業価値を向上させるメリットがあります。一方で、補助金や節税制度などを使わずに純粋に導入すると初期費用が高額であったり、メンテナンスが必要であったり、業者の良し悪しがあったりといったデメリットもたしかに存在します。

太陽光発電自体が短期的に大きな効果を期待できる商材では必ずしもなく、長期的に運用することでメリットが増大していきます。導入前に想定されるデメリットと注意点を洗い出し、できるだけ負の影響を抑えるように策を講じ、導入後は定期的なメンテナンスを実施し長期的にメリットを享受する体制を構築すると良いでしょう。

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