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ストレージパリティ補助金の公募情報を紹介します【令和4年度】

ブログ 更新日: 2023.01.25

ストレージパリティ補助金の公募が開始されました【令和4年度】

ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業(二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金)通称ストレージパリティ補助金の令和4年度分(令和3年度補正予算)の公募が始まっています。自己所有型の太陽光発電設備やオンサイトPPAモデル、蓄電池などの導入に補助が適用され、これら設備の導入による脱炭素経営や電気代削減、SDGs推進、BCP整備に役立てられます。
本記事では、ストレージパリティ補助金の概要や公募期間、補助対象事業、要件などを紹介します。

以下では、2022年8月31日に各省庁から、令和5年度(2023年)の概算要求が発表された情報をもとに令和5年度に活用できる補助金・税制優遇情報をまとめた最新の概算資料をダウンロードいただけます。

令和5年度最新補助金・優遇税制概算資料

令和5年度の太陽光発電関連の補助金の概算要求が発表されました。令和5年度も補助金は継続される見込みです。


【令和5年度|2023年度】太陽光発電に関連する補助金の概算要求情報まとめ

【令和5年度|2023年度】太陽光発電に関連する補助金の概算要求情報まとめ

環境省および経済産業省が公表した概算予算要求資料の情報をまとめました。補助内容は令和4年度よりもさらに拡充される見込みです。


 

 

ストレージパリティ補助金の概要

ストレージパリティ補助金は、ストレージパリティの達成に向けて自己所有やオンサイトPPAモデル等による自家消費型太陽光発電や蓄電池等の導入を行う事業の経費の一部を補助・支援することにより、設備の価格低減化や地域の再エネ主力化とレジリエンス強化の促進を加速化し、2050年カーボンニュートラルの実現に資することを目的としています。民間企業や青色申告をしている個人事業主、その他法人などが申請できます。

管轄は環境省で、補助事業は環境省より委託された一般社団法人環境イノベーション情報機構が行います。複数年度にまたがる事業の申請はできません。

予算 164億円
補助対象設備 ①自家消費型太陽光発電システム
※自己所有・オンサイトPPAモデル・リースで活用可能

②産業用蓄電池

③家庭用蓄電池

④車載型蓄電池

⑤充放電設備

⑥その他、補助対象設備の運用に直接必要な付帯設備等

補助額・補助率 ①太陽光発電システム
定額4万円/kW
・産業用蓄電池とセットかつPPA・リースでの導入の場合:5万円/kW
・戸建て住宅かつ蓄電池とセットでの導入の場合:7万円/kW

②産業用蓄電池
定額6.3万円/kWh
※関節補助対象経費(工事費など)の1/3が上限

③家庭用蓄電池
定額5.2万円/kWh
※関節補助対象経費(工事費など)の1/3が上限

④車載型蓄電池
・定額:蓄電池容量(kWh)の1/2に4万円を乗じた額
※最新のCEV補助金の「銘柄ごとの補助金交付額」が上限

⑤充放電設備
・1/2および設置工事費定額の合算
※設備は最新のCEV補助金の「銘柄ごとの補助金交付額」が上限、設置工事費は1基あたり産業用95万円、家庭用40万円が上限

※工事費一律10万円補助は廃止

対象 法人・個人事業主
公募期間 一次公募:2022年3月31日(木)~ 2022年5月  9日(月)正午まで

二次公募:2022年5月16日(月)~ 2022年6月15日(水)正午まで

三次公募:2022年6月20日(月)~ 2022年7月29日(金)正午まで

二次公募で予算に達したため終了しました

事業期間 2023年1月31日までにすべての支払いを済ませ、補助事業が完了すること

ストレージパリティとは

ストレージパリティとは、蓄電池を導入しないよりも、蓄電池を導入した方が経済的メリットが見込める状態を指します。
太陽光発電にもグリッドパリティと呼ばれる、太陽光発電による発電コストの方が、電力会社から購入する電気よりも安く経済的な状態を指す言葉がありますが、ストレージパリティはこの蓄電池版と言えます。

2050年のカーボンニュートラル・脱炭素社会の実現のために太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーの導入が活発に促進されています。しかし一方で、太陽光発電は天候により発電量が大きく左右されるため、安定供給のために調整力を持った蓄電池の導入も併せて推進されています。経済産業省の検討会によると、2030年頃に工事費を含めた蓄電池価格が6~7万円/kWhとなることでストレージパリティの達成が可能としています。

 

補助事業要件

本補助金の採択を受けるための主要要件を紹介します。

  • 自家消費型太陽光発電設備や蓄電池等の導入を行う事業であること
    ※FITやFIPによる売電を行わないこと
  • 太陽光発電設備を導入する場合の自家消費率:戸建て住宅30%以上・その他50%以上を導入場所の敷地内(オンサイト)で自家消費すること
  • 停電時にも必要な電力を供給できる機能を有する太陽光発電設備等を導入すること
    自立運転機能のあるパワーコンディショナを使うなど
  • 太陽光発電設備の太陽電池出力が10kW以上であること
    ※戸建て住宅は10kW未満の申請のみ可
    ※太陽電池出力は太陽光パネルの総出力ではなく、パワーコンディショナの発電出力と比較した際のどちらか低い値
  • 本補助事業の実施により得られる環境価値を需要家に帰属させるものであること
    ※補助対象設備の法定耐用年数が経過するまで、補助事業によって得た環境価値をJ-クレジット制度に登録しないこと
  • CO₂削減が図れるものであること
  • 異なる需要地を一件の申請とすることは不可。ただし、戸建て住宅は20戸までまとめて申請可能

 

申請対象者

代表申請者また共同申請者が、日本国内で事業活動を展開していることが前提です。

  • 民間企業(株式会社・合名会社・合資会社・合同会社・信用金庫・相互会社・有限会社)
  • 青色申告をしている個人事業主
  • 独立行政法人
  • 地方独立行政法人
  • 国立大学法人、公立大学法人および学校法人
  • 社会福祉法人
  • 医療法人
  • 協同組合
  • 一般社団/財団法人および公益社団/財団法人
  • その他環境大臣の承認を得て委託先機構が適当と認める者

 

補助対象設備の要件

主要要件を抜粋して紹介します。

太陽光発電設備

太陽光発電設備のみでも申請は可能です。

  • すべての系統において過積載率が100%以上であること
    ※戸建て住宅は100%未満でも可
  • 太陽光発電設備の発電電力量などの計測機器を導入し、CO₂削減量の実績値を正確に把握できるものであること
    計測機器を導入しない申請は不可
  • 自立運転機能付きのパワーコンディショナを導入し、停電時に対象施設で必要な電力を供給できること。自立運転時の出力は単相、三相を問わない
    本補助事業で蓄電池を導入する場合、蓄電池と組み合わせることで停電時に対象施設で必要な電力を供給できるものであること
    蓄電池で停電時に対象施設で必要な電力を供給できる場合、自立運転機能付きパワーコンディショナを導入しないことも可能
  • パワーコンディショナや変圧器(トランス)などの機器は原則としてアンカーボルトなどで固定して設置すること。置き基礎は認められない
  • (非常用コンセントを設置する場合)停電時に必要な電力を使用する場所が事務室などの屋内の場合、原則として非常用コンセントの設置場所は同じ室内にすること。やむを得ず非常
    用コンセントを対象施設の屋上や裏側などの離れた場所に設置する場合、停電時に非常用コンセントを活用できるようにするための措置(延⾧コードを用意するなど)を講じること
    停電時に使用を想定している機器を接続できない場所に非常用コンセントを設置することは認められない
    非常用コンセントを屋外に設置する場合、原則として防水対応のコンセントとすること。雨に濡れたときなどに漏電が発生しないよう、対策を講じること。防水対策を講じずに屋内用のコンセントを屋外に設置することは認められない
  • 実証段階、中古、リユースの製品でないこと

国内外を問わず豊富な太陽光発電メーカーのパネルを取り扱っています

蓄電池

既設の太陽光発電設備の有無に関わらず、蓄電池のみでの申請は認められません。ただし、太陽光発電設備を補助対象外で新規に導入する場合に限り、蓄電池のみでの申請が可能です。

  • 据置型(定置型)であること。原則として、ンカーボルトなどで固定して設置すること。置き基礎は認められない
  • 平時に本補助事業で導入する太陽光発電で発電した電気を優先的に蓄電するもので、充放電を繰り返すことが前提
  • 原則として自家消費率を向上させるものであること
  • 平時において深夜電力などで毎日のように系統から充電することや、既設の太陽光発電設備の発電電力で充電することは認められない
  • 平時における充放電を前提とせず、停電時のみの使用は認められない
  • 停電時に対象施設で必要な電力を供給できるものであること
  • 蓄電池のみの補助対象経費(税抜)のkWhあたりの金額が、定置用蓄電システム普及拡大検討会(経済産業省資源エネルギー庁)で設定された目標価格以下の蓄電システムであること
    2022年度産業用蓄電池目標価格:19万円/kWh(税抜・工事費込み)
    2022年度家庭用蓄電池目標価格:15.5万円/kWh(税抜・工事費込み)
  • (家庭用蓄電池の場合)申請時点で、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)により登録されている製品であること
  • 実証段階、中古製品でないこと
  • (パワーコンディショナと蓄電システムが一体となったハイブリッドシステムの場合)目標価格との比較において、ハイブリッド部分のうち蓄電システム以外のパワーコンディショナの機能に係る経費分を控除することができる。
    ※蓄電システムとパワーコンディショナ機能の切り分けができない場合、パワーコンディショナ機能の系統側の定格出力2万円/kWを蓄電システム以外の経費として控除可能

産業用と家庭用の区分は以下の通りです。需要家が法人か個人かによる判断ではなく、製品単位での判断です。

区分 蓄電システム機器仕様
産業用 4,800Ah・セル以上
家庭用 4,800Ah・セル未満

産業用蓄電池、家庭用蓄電池とも豊富なラインナップを取り揃えています

車載型蓄電池

車載型蓄電池のみでの申請はできません。

  • 「太陽光発電設備」および「充放電設備」と同時に導入する場合で、外部給電が可能な電気自動車(EV)またはプラグインハイブリッド自動車(PHV)であること
  • 令和3年度補正予算「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」の「補助対象車両・設備」の銘柄に限る
    例)テスラ モデル3、日産 アリア・リーフ、ホンダ C40・Honda e、マツダ MX-30、トヨタ プリウスPHV、三菱 アウトランダー・アウトランダーPHV
  • 中古品でないこと

充放電設備

充放電設備のみでの申請はできません。

  • 「太陽光発電設備」および「車載型蓄電池」と同時に導入する場合で、平時において本補助事業で導入する「太陽光発電設備」からの電力が供給でき、「車載型蓄電池」に充電できるものであること
  • 停電時に本補助事業で導入する「車載型蓄電池」から対象施設に電力の供給ができるものであること
  • 令和4年度CEV補助金の「V2H充放電設備」の「補助対象V2H充放電設備一覧」に限る
  • 中古品でないこと

 

事業形態別の申請要件

ストレージパリティ補助金は「オンサイトPPAモデル」「自己所有」「リース」による設備の導入、事業実施が対象です。それぞれの主な要件を紹介します。

オンサイトPPAモデルとは、需要家が自己資本で太陽光発電設備を導入するのではなく、第三者であるPPA事業者の資本で自社社屋や敷地に太陽光発電設備を導入する契約形態です。

PPAに関するご相談窓口はこちら

オンサイトPPAモデル

  • 需要家がPPA事業者に対して行う支払いが、電力使用量に応じるなどで従量課金制である場合に「オンサイトPPAモデル」区分で申請する
    ※定額制の場合は「オンサイトPPAモデル」に該当しない
  • 需要家とPPA事業者が直接PPA契約を締結すること
  • 需要家とPPA事業者の間で原則として資本関係がないこと。第三者所有であること
  • PPA事業者の定款に小売電気事業や発電事業などが規定されていること
  • (PPA契約期間満了後に需要家に補助対象設備を譲渡する場合)その旨を申請書(需要家とPPA事業者との契約書、覚書など)に記載し、契約締結時に需要家に説明すること
  • (PPA契約期間満了後に太陽光発電設備等の譲渡を行い、法定耐用年数期間が経過した後に当該太陽光発電設備等の廃棄を行う場合)譲渡を受けた者の責任において太陽光発電設備等の廃棄を行う必要があり、法令に基づき適切に廃棄しなければならない旨を契約書や覚書などに明記すること
  • (リース事業者が実施体制に含まれる場合)PPA事業者とリース事業者との契約はファイナンスリースであること。オペレーティングリースは対象外

自己所有

  • 太陽光発電設備を自己資本で購入する場合に「自己所有」区分で申請する

リース

  • 需要家の電力使用量に関わらず毎月一定額を支払う定額制で、契約内容がファイナンスリースの場合に「リースモデル」区分で申請する
    ※従量課金制の場合は「リースモデル」に該当しない
  • 需要家とリース事業者が直接リース契約を締結すること
  • 需要家と定額制のサービス契約を締結する場合、発電事業者の定款で小売電気事業、発電事業などが規定されていること
  • 需要家とファイナンスリース契約を締結する場合、リース事業者の定款でリース業などが規定されていること
  • (リース契約期間満了後に太陽光発電設備等の譲渡を行い、法定耐用年数期間が経過した後に当該太陽光発電設備等の廃棄を行う場合)譲渡を受けた者の責任において太陽光発電
    設備等の廃棄を行う必要があり、法令に基づき適切に廃棄しなければならない旨を契約書や覚書などに明記すること
  • (転リースを行う場合)リース事業者同士の契約はファイナンスリースであること。転リースにより補助事業を実施する旨を申請書に記載すること

 

交付申請時の審査における主な評価ポイント

ストレージパリティの達成に資する事業かどうか【加点項目】

  • 目標価格をクリアする蓄電池の導入

ストレージパリティ補助金は太陽光発電設備のみでの申請も可能ですが、蓄電池と併せて申請した方が採択される確率は高くなります。令和3年度の採択事業も蓄電池を併設する事業が圧倒的に多いようです。
尚、補助対象外で蓄電池を導入する場合は加点項目としての評価の対象外となりますので、蓄電池も併せて導入する場合は本補助金を活用しましょう。

二酸化炭素排出削減効果【加点項目】

  • 設備導入によるCO₂削減量(t-CO₂/年)
  • 費用効率性(t-CO₂削減あたりのコスト

太陽光発電設備の補助対象経費(税抜)のみの費用効率性の上限は36,000円/t-CO₂です。同一条件で比較をするため、蓄電池などを導入する場合でも太陽光発電設備のみの費用効率性が評価の対象となる予定です。

需要家における脱炭素経営への取り組み【加点項目】

  • RE100再エネ100宣言 RE Actionへの参加
  • SBTの認定
  • TCFDへの賛同表明

温対法の地域脱炭素化促進事業の対象区域【優先採択事項】

昨年改正された温対法において、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて地方自治体も実効性を持った脱炭素化や地球温暖化対策の計画を策定し、その目標達成に努力することが求められています。その一環として、地域脱炭素化促進事業計画の認定制度が導入されます。この認定を受けると、自然公園法・温泉法・廃棄物処理法・農地法・森林法・河川法の関連手続きをワンストップで受けられ、手続きの円滑化と効率化を図ることができます。

ストレージパリティ補助金でも、この促進区域に需要地がある申請事業は優先して採択されます。
尚、促進区域は2022年4月1日より開始の制度で、今後、全国の自治体で定められていくと思われます。


2021年改正温対法の3つのポイントを解説

2021年改正温対法の3つのポイントを解説|地球温暖化対策の切り札

国内における地球温暖化対策を推進する地球温暖化対策推進法(通称温対法)の改正法が2021年5月26日に成立しました。2020年10月に当時の菅首相が宣言した「2050年までのカーボンニュートラルの実現」を初めて法律に明記したことがポイントです。


 

お問い合わせ先

公募全般に関するお問い合わせは、以下のお問い合わせフォームからのみ受け付けています。電話でのお問い合わせは受け付けていません。

https://inq.eic.or.jp/subsidy/st_r03c/

◯公募要項:https://www.eic.or.jp/eic/topics/2022/st_r03c/001/files/yoryo.pdf

◯Q&A:https://www.eic.or.jp/eic/topics/2022/st_r03c/001/files/qa.pdf

 

こちらの記事では、令和4年度に太陽光発電の導入で活用できる補助金を紹介しています。併せてご覧いただくことで、事業にあった補助制度の情報が得られるかと思います。


【令和4年度補助金】太陽光発電導入で活用できる補助金

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令和4年度に太陽光発電の導入で活用できる補助金情報を6つご紹介します。環境省や経済産業省、自治体から補助制度が出ています。


また、本記事で取り扱ったストレージパリティ補助金も継続される見込みの令和5年度に活用できる補助金・優遇税制の情報をまとめた概算資料をダウンロードいただけます。

令和5年度最新補助金・優遇税制概算資料

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