【平均30%の削減】企業の電気代高騰は太陽光発電が解決します
電気料金 更新日: 2023.05.13
2021年の秋頃からはじまった電気代高騰が長引いています。
背景には、世界的な原料の高騰やウクライナ情勢などが複雑に絡み合っており、一消費者の私たちではどうにでもできません。それならばと、さまざまな電気代高騰対策を取られているかと思いますが、本記事では太陽光発電による電気代高騰対策をご紹介します。
数ある対策の中でも、特に大きな削減効果が期待できますので、ぜひ自社での電気代高騰対策のご参考にしてみてください。
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電気代高騰で有効な太陽光発電とは
自家消費型太陽光発電のイメージ図
昨今の電気代高騰対策で有効な太陽光発電システムは、自家消費型太陽光発電です。
自家消費型太陽光発電とは、太陽光発電で発電した電気を自社の事業所や工場などで消費することによる電気代削減を目的とした太陽光発電システムです。
設置には初期費用がかかりますが、設置後に得られる電気はタダで利用でき、電力会社から購入する電力量を削減できるため、太陽光発電で発電した電気を利用すればするほど電気代を削減可能です。
工場・介護福祉施設・店舗への設置で平均3割の電気代削減効果が期待できます
太陽光発電は売電よりも自家消費の時代
太陽光発電と聞くと、FIT制度による発電した電気を売電することで収入を得る売電事業を連想される方もいらっしゃるかと思います。しかし、FIT制度における売電価格が低下した現在では、売るよりも自家消費で使った方が経済的になりました。
電気料金とFIT(事業用太陽光)価格の推移
上図の通り、2019年からは電気料金がFIT価格を上回るようになったため、現在はFITで売電しても損にしかなりません。グラフには表されていませんが、2022年以降の電気料金は値上がりしていますので、太陽光発電で発電した電気はまず自家消費することへの動機をさらに強めています。
3つの電気代削減モデル|こんな企業におすすめ
自家消費型太陽光発電を用いた電気代削減モデルには、導入する企業の業種や電気の使用方法などによって、おおよそ以下の3つのモデルが考えられます。
図内の黄色の領域で示される「太陽光発電量」「太陽光出力量」「太陽光消費量」は、いずれも太陽光発電から得られる電力で賄えている電力量を表しています。
「電力使用量」は太陽光発電由来の電気に加え、電力会社から購入している買電量を合算した全体の使用量を示し、青色の領域は買電量を表しています。
最小デマンドモデル
【こんな企業におすすめ!】
【あまり向かない企業】
|
太陽光発電の余剰発電分が発生しないように、太陽光発電システムの設置容量を電力使用量に応じて設定するモデルです。
太陽光発電の発電量が最小デマンドを上回ることが(瞬間的に発生する可能性はあるものの)基本的にはなく、RPR(逆電力継電器:太陽光発電で発電された電力が配電線に逆潮流する現象を防ぐ機器)の作動リスクを抑えられます。
太陽光発電システムの出力を抑える必要がないため、出力制御のための機器設置の必要はありません。応じて、出力制御のリスクがないことも利点です。
その反面、電力使用量に対して、太陽光発電システムの設置容量を小さくせざるを得ないため、電力使用量がある程度大きい事業所でないと電気代削減効果は他のモデルに比べ限定的になりがちです。
電気代削減効果 | 補助金 | 税制優遇 | 売電収入 |
△ | △ | ◯ | ✕ |
出力制御モデル
【こんな企業におすすめ!】
【あまり向かない企業】
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太陽光発電の余剰発電分が発生しないように、太陽光発電の発電量を出力制御機器で出力を制御するモデルです。
最小デマンドモデルが、設置容量を抑えることで余剰発電分の発生を回避していたのに対し、このモデルでは出力制御機器によって出力を抑制することで、発電量が電力使用量を上回らないように制御します。RPRの作動リスクを低減でき、太陽光発電システムが停止する機会を抑制します。
広い屋根スペースを十分に活用でき、大きな電気代削減効果が期待できます。
蓄電池とセットでの導入もおすすめです。
上図のグラフでは、10時~15時にかけて出力制御が発生し、太陽光発電の発電量を活用できていません。この分を蓄電池に貯め、例えば夜間に放電することで発電量をフルに活用でき、電気代削減効果をさらに高められます。
電気代削減効果 | 補助金 | 税制優遇 | 売電収入 |
◯ | ◯ | ◯ | ✕ |
余剰売電型モデル
【こんな企業におすすめ!】
【あまり向かない企業】
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屋根いっぱいに太陽光発電システムを設置し、余剰発電分は電力会社に売電するモデルです。
出力制御モデルでは制御していた発電量を、このモデルではFIT(・FIP)で電力会社に売電します。自家消費による電気代削減効果と売電収入の2つの経済メリットが期待できます。
ただ、上述のように、売電価格よりも電気料金単価の方が割高であるため、自家消費率を高め売電量をできるだけ小さくした方が投資回収は早まります。
このことから、屋根スペースが限られる企業の事務所やデイサービス施設への導入では、このモデルの採用が多いです。電力使用量も比較的小さいことから、上図のグラフのように、電力使用量の大半を太陽光発電の発電量で賄えてしまえます。
また、屋根スペースが広いものの、電力の使用量は比較的少ない倉庫にもおすすめです。広い屋根を活用し、設備容量の大きな太陽光発電システムを導入し、発電量の多くを売電するモデルです。
あるいは、自己が発電事業者となり、余剰発電分を他の需要地に供給するモデルも考えられます。需要地が全く別の事業者となる場合は、FIT売電価格よりも高い単価での契約が可能です。
2023年の下半期から2024年度のFIT売電価格は、12円/kWhとなることが決定しています。
電気代削減効果 | 補助金 | 税制優遇 | 売電収入 |
◯ | ✕ | △ | ◯ |
電気代削減のイメージ
事業所の屋根などに自家消費型太陽光発電システムを導入し、電気代を削減するイメージ例をご紹介します。これまでの導入事例では、平均30%の電気代削減効果があり、10年前後での投資回収を見込んでいます。
パネル出力150kWの太陽光発電システムを設置し、発電量の100%を自家消費した場合のシミュレーションです。屋根設置を仮定すると、屋根面積は約950㎡です。
A:年間発電量 | 165,000 | kWh |
B:電気料金(買電)単価 | 20 | 円/kWh |
C:年間電気代削減額(A×B) | 3,300,000 | 円 |
D:設置費用 | 24,000,000 | 円 |
投資回収年数(D/C) | 7.3 | 年 |
税制優遇制度や補助金を活用することで設置費用が割安になり、さらに投資回収を早めることが可能です。
即時償却が可能な中小企業経営強化税制を例に取って、法人税を30%と仮定すると、設置費用2,400万円×30%で節税額は720万円となります。
A:設置費用 | 24,000,000 | 円 |
B:節税額 | 7,200,000 | 円 |
C:実質投資額(A-B) | 16,800,000 | 円 |
D:年間電気代削減額 | 3,300,000 | 円 |
投資回収年数(C/D) | 5.1 | 年 |
自家消費型太陽光発電で使える補助金は、以下の記事で最新情報をまとめています。設置費用の3分の2を補助するような補助率の高い補助金もあります。
導入事例
弊社が自家消費型太陽光発電システムをお客様に導入した例の一部をご紹介します。
特別養護老人ホーム様
施設種別 | 施設 |
設置場所 | 屋根 |
設置容量 | 35.9kW |
蓄電池 | 有 |
削減率 | 10%以上 |
ファイナンス | 自己資金 |
特別養護老人ホーム様の屋根に、約36kWの太陽光発電システムを設置いたしました。
介護福祉サービス業は、インフラの安定的な確保と安全安心な環境の提供が欠かせません。平常時は太陽光発電の自家消費による電気代削減、非常時には緊急の電源としても活用できる点、また事業者様が取り組まれているSDGsの一環としても採用いただきました。蓄電池も併設しており、非常時のライフラインの確保に貢献します。
→詳細はこちら
クリーニング事業所様
施設種別 | 事業所 |
設置場所 | 屋根 |
設置容量 | 88kW |
蓄電池 | 無 |
削減率 | 80%以上 |
ファイナンス | PPA(オンサイト) |
クリーニング事業所様の屋根に、約90kWの太陽光発電システムを設置いたしました。初期費用およびランニングコストがともに0円で太陽光発電システムが導入できるPPAによって導入しています。
クリーニング業は環境と密接に関わりのある業界で、事業者様も環境に配慮した洗浄剤を使用するなどでSDGsへの取り組みを進めています。太陽光発電の導入に際しては、電気代削減効果への期待に加えて、SDGsの面での貢献も期待されています。
→詳細はこちら
医療法人様
施設種別 | 施設 |
設置場所 | 地上 |
設置容量 | 2.3MW |
ファイナンス | PPA(オフサイト) |
オフサイトPPAを活用し、2.3MWの電力を医療法人様の全国に点在する施設に供給します。
発電所は需要場所である医療施設とは離れた場所にあり、発電で得られる電力は送配電網を通って、施設に供給されます。2.3MWもの発電設備を屋根や敷地内に設置することは容易ではありませんが、オフサイトPPAによって大規模な電力の調達に成功しました。
→詳細はこちら
統計:電気代削減目的での導入が96%・効果を実感が82%
太陽光発電の一括見積サイトを運営する株式会社グッドフェローズが、ユーザーに対して行ったアンケート調査によると、太陽光発電システムの設置目的は「電気代の削減」が96.7%とほぼすべてのユーザーが電気代削減を目的に導入していることがわかりました。また、太陽光発電による電気代削減効果を実感しているユーザーは82.2%だったとのことです。
太陽光発電の電気代削減効果への期待と、その実用性を裏付ける結果となりました。
(参照)【電気代削減に効果】電気代の高騰が続く中、太陽光パネルを設置した方の82.2%が「電気代を削減できた」と実感!|PR TIMES
電気代削減に効果的な自家消費型太陽光発電の概要資料を、以下より無料でダウンロードいただけます。
電気料金は今後も必ず支払い続けますので、少しでも早く電力会社からの購入量を減らす施策を打った方が間違いなく経済的です。太陽光発電に少しでもご興味がございましたら、まずはお気軽に資料をご参考ください。
2023年電気代高騰の3つの要因
ここまで電気代削減に有効な太陽光発電はどのようなものかご紹介してきました。この章では、2023年のいま、電気代が高騰しているそもそもの要因を3つご紹介します。
ただ、複数の事柄が複雑に絡み合って引き起こされているため、以下で紹介する要因が解消されれば電気代は安くなるのかというと、そうも言い切れない点が昨今の電気代高騰問題の難しいところです。
燃料費調整単価の値上がり
まず、電気料金の構成をおさらいします。電気料金は電力会社との契約プランで決まる定額の「基本料金」、電力の使用量に応じて請求される従量課金の「電力量料金」、再エネ普及のためにすべての需要家が負っている従量課金の「再エネ賦課金」の大きく3つで構成されています。
請求される電気代の大半は電力量料金が占めており、この構成要素の1つである燃料費調整単価がこの2年程で急激な値上がりを見せています。
(出所)電力会社各社資料より作成
燃料費調整単価は原油やLNG(液化天然ガス)・石炭といった化石燃料の価格変動を、電気料金に反映させ変動リスクを分散させるために存在します。日本は化石燃料のほとんどを海外からの輸入に頼っているため、取引価格や為替レートが大きく変動すると、燃料費調整単価もその変動に応じて変動する仕組みです。
3年程前から原油価格は上昇傾向が続いており、直近10年間で最高値の水準にあります。また、円安が2年程続いていることもあり、この2点から燃料費調整単価が慢性的に高値となっています。
電力会社の電気料金プラン
次に、電力会社の電気料金プランの改定が挙げられます。2023年4月に大手電力会社10社(東電や中電などの旧一般送配電事業者)のうち7社(北海道・東北・東京・北陸・中部・中国・四国)が高圧・特別高圧の電気料金単価の値上げを実施しています。これまで燃料費の高騰を調整単価への反映で何とか対応してきましたが、それも限界を迎え、やむなく電気料金への転嫁という形を取った格好です。
四国電力を除く他9社が、2022年の決算で数百億円から数千億円規模の赤字を発表していることからも、電力会社でさえも今の情勢に苦戦している様子がうかがえます。
市場価格の高騰
3つ目の要因は、卸電力取引所(JEPX)における取引価格の高騰です。
電力会社が電力を調達する方法には、①自前の発電所で発電する②市場で購入するの2つが挙げられます。市場で購入する場合には、電力の取引所であるJEPXから調達することとなりますが、JEPXの取引価格も世界的な燃料費高騰の影響や、自由市場であるが故の駆け引きなどから、ここ数年は不安定な動きを見せており、直近2年間はそれまでと比べると高値で推移しています。
(出所)JEPX市場取引結果より作成
2023年の電気代の実態と今後の展望
高騰が続く電気代ですが、2023年の今の電気代の実態はどうでしょうか。平均の電気料金単価の推移と軽減措置後の電気代の実態、そして今後の電気代の展望をご紹介します。
電気料金単価は直近2年で倍以上の値上がり
(出所)新電力ネット資料より作成
大手電力会社10社における企業向けの契約電力である高圧・特別高圧の、直近2年間の電気料金単価の推移です。現在は平均で20円/kWhを超えており、2年前の同時期に比べると倍以上の料金単価です。
一年前と比べても約80%、半年前からでも約40%の値上がり率を付けており、特に最近半年での値上がり率の高さが目立ちます。
大口需要家の企業の場合には、電力会社と別枠での契約締結をしている場合もあるかと思いますので、すべての企業がグラフの通りの料金推移とは限りませんが、平均値が右肩上がりで上昇していることから、電気代の高騰を実感されている企業が多いと想定されます。
政府の緩和対策措置適用後は負担減も・・・
長引く電気代高騰を受け、2023年1月の使用分(2月請求分)から政府による電気料金緩和対策措置が実施されています。高圧契約ではkWhあたり3.5円の補助があり、特別な手続き等は必要ないため、自動的に電気代の削減が実行されています。家庭用の契約区分と高圧のみで、特別高圧には補助が出ていない点はご注意ください。
仮に契約電力500kW、月に10万kWhの電気を使用する製造業で、緩和対策措置の前後の電気代を簡単に比較してみます。
例)東京電力EP 高圧電力A |
契約電力 /使用電力量 |
対策前 単価(円) ※2022年12月 ※新料金適用前 |
対策後 単価(円) ※2023年5月 ※新料金適用後 |
対策前 料金(円) ※2022年12月 ※新料金適用前 |
対策後 料金(円) ※2023年5月 ※新料金適用後 |
基本料金 | 500 | 1,390.87 | 1,390.87 | 695,435 | 695,435 |
電力量料金 | 100,000 | 21.12 | 27.39 | 2,112,000 | 2,739,000 |
再エネ 賦課金 |
100,000 | 3.45 | 1.40 | 345,000 | 140,000 |
燃料費 調整額 |
100,000 | 11.51 | 8.89 | 1,151,000 | 889,000 |
燃料費等 調整額 |
100,000 | 2.46 | 246,000 | ||
緩和対策 措置 |
100,000*2 ※燃料費調整(等)調整額から抜出 |
-3.5 | -700,000 | ||
請求額 | 4,303,435 | 4,009,435 | |||
削減率 | 6.83% |
(参照)高圧季節別時間帯別電力A(契約電力500kW未満)|電気料金プラン 高圧・特別高圧|東京電力エナジーパートナー株式会社
(参照)燃料費等調整単価および燃料費調整単価一覧表(高圧・特別高圧)|東京電力エナジーパートナー株式会社
試算では、緩和対策措置による値引きが70万円ありますが、2023年4月以降の契約で適用される新料金下での電力量料金の値上げにほぼほぼ吸収される形となりました。
それでもトータルで30万円ほど減額となっている要因は、再エネ賦課金単価と燃料費(等)調整単価の若干の減額です。再エネ賦課金は昨年度まで右肩上がりで推移していましたが、今年度は電気の取引価格が高騰したことによる電力会社側の売電収入増が影響し、制度が始まって以来、初めて前年度価格を下回りました。
10月以降は負担増の公算が大きい
現状ではトータルで削減できている電気料金ですが、緩和対策措置は9月使用分(10月請求分)までが期限です。10月使用分以降からは上記表の70万円の削減額がなくなり、再度電気代の負担が増します。
燃料費調整単価は、現在は下降傾向にあるものの、大元にある資源の取引価格は日本だけの問題ではないため、今後の予測は難しいです。再エネ賦課金についても、来年度も同じ状況が続くとは限りません。
東電の場合は、新料金が適用されるとkWhあたり6円を超える負担が固定で増えます。
こうしてまとめると、今後電気代が安くなる要因はなく、今一時的に安くなっているものの再度負担が増加するリスク要因の方が明確であることがわかります。
電気代高騰対策には太陽光発電|導入が早ければ早いほど効果大
以上、昨今の電気代高騰対策に有効な太陽光発電の紹介と、そもそも電気代が高騰している要因や今後の展望などを取り上げました。すでに触れている通りですが、今後の電気料金価格の推移は不透明ではありますが、原料の高騰や電力会社の料金プランの改定、緩和対策措置の期限などから、今後も上昇する要因の方が強調されています。
太陽光発電を導入することで、電力会社から購入する電力量を削減でき、電気代を削減できることはもちろんですが、不安定な電気料金の価格変動リスクを抑制できる利点もあります。短期的な電気代の削減と、長期的なコストの見通しを立てやすくなります。
弊社では、無料のオンライン相談を随時承っております。電気代高騰のお悩みや、太陽光発電の検討に関する疑問点などございましたら、下記よりお気軽にご相談ください。
まずは、通常業務に支障のない30分ほどのお時間で、現状のヒアリング含めご案内ができればと思います。
まだ相談するほどでもないという方は、自家消費型太陽光発電システムの概要資料や電気代削減手法ハンドブックをご用意しておりますので、どうぞこちらをご参考ください。