太陽光発電はPPAと自己所有のどっちがお得?違いと経済性を徹底比較

太陽光発電 更新日: 2025.12.16

太陽光発電はPPAと自己所有のどっちがお得?違いと経済性を徹底比較

電気代の高騰や脱炭素化の流れにより、太陽光発電の導入を検討する企業が増えています。しかし導入方法にはPPAと自己所有があり、「どちらが自社に合っているのか分からない」という悩みも。

事業期間における経済性を考えると自己所有の太陽光発電の方がお得です。
しかし両者は初期費用・所有権・経済性などが大きく異なるため、選び方を誤ると本来得られるはずの効果を逃してしまいかねません。

そこで本記事では、PPAと自己所有の違いをわかりやすく整理。それぞれのメリット・デメリットや、シミュレーション結果をもとに最適な選択の考え方を解説します。自社にとってどの導入方法が長期的な利益につながるのか、判断する材料にお使いください。

もし「導入の方向性は決まっていない」「費用対効果が知りたい」などの悩みがある場合もご安心ください。記事の後半では導入判断を進めるためのよくある質問も提示しています。ぜひ読み進め、自社に最適な再エネ導入の形を見つけてください。

 

PPAと自己所有の違い

太陽光発電を設置する際の手法として、PPAと自己所有の方法が挙げられます。
自己所有は文字どおり、自分(自社)で設備を所有することを指します。一方でPPAとは、Power Purchase Agreementの略称で、電力購入契約です。
2つの違いを以下の表に示します。

PPA 自己所有
設置場所 自社屋根や地上 自社屋根や地上
設備の持ち主 PPA事業者 需要家
初期投資 PPA事業者 需要家
メンテナンス PPA事業者 需要家
発電した電気 PPA事業者から需要家が購入 自家消費や売電など自由
電気代削減効果 限定的 平均40%削減
環境価値 契約による
(基本的には需要家に帰属)
需要家
資産計上 オフバランス オンバランス
補助金 活用可能 活用可能

コスト面の違い

例えば、自社工場の屋根に自家消費型太陽光発電設備を導入する際には、少なくとも1,000万円以上の初期投資コストがかかります。導入後も定期的なメンテナンスが必要で、年間でkWあたりおよそ0.5~1万円のランニングコストが発生します。

設備を自己所有とする場合には、これらコストを自社で負担しますが、PPAとする場合には初期投資コスト・ランニングコストともに自社での負担は発生しません。コスト負担がまったく発生しない点がPPAの最大の特徴で、高額な初期投資額が導入のネックとなっていたり、毎年のランニングコストの支払いや処理が煩わしく思えるのであれば、PPAは有力な選択肢と言えます。

経済性の違い

結論から言えば、太陽光発電設備の導入による電気代削減効果を重視する場合は、自己所有が最適な選択肢です。

自己所有は初期投資コストとランニングコストがかかるものの、発電した電気のすべてを自社で使用でき、電力会社からの買電量を削減できます。その削減量の累積で10年弱での投資回収が可能です。元を取った後も10年、20年と運用できるため長期期間にわたってコスト削減効果を得られます。

一方のPPAは経済性を重視して導入されるケースはほぼありません。PPAでは発電した電気を自社で使えるところまでは同じですが、その電気使用の対価を設備所有者であるPPA事業者に毎月支払います(契約内容によって一辺通りではない)。この対価のkWh単価と電力会社から購入している電気料金単価との差額が、PPAの経済効果となりますが、一般的に最大でも5円程度です。
自己所有が太陽光発電の使用電気量の全量が削減効果である一方、PPAはその一部のみの限定された削減効果であることから、経済性では自己所有が有利です。

環境価値の違い

環境価値は基本的にどちらも需要家に帰属します。自己所有は自社設備から得られる価値であるので、何の障害もなく自社に帰属します。

PPAの場合であっても、基本的には需要家に帰属します。この点がPPAを導入する要因の1つでもあり、コストをかけずに追加性のある環境価値を取得できるというメリットです。
ただ、PPA事業者や契約内容によっては需要家ではなくPPA事業者側の権利とする可能性もあるので、PPAで環境価値を自社に帰属させたい場合は、契約前にあらかじめ確認をしましょう。

助成制度の違い

環境省などから展開されている各種補助金は、おおむね自己所有でもPPAでも活用できます。PPAで補助金を利用する際の補助対象事業者はPPA事業者となり、補助額を需要家に請求する電気料金に転嫁させる仕組みです。

太陽光発電設備は補助金とは別に、各種税制優遇制度も対象です。取得額の特別償却や税額控除が活用できますが、設備所有者が第三者であるPPAでは活用ができません。

 

PPAのメリット・デメリット

PPAの仕組み|環境省

(引用)再生可能エネルギー導入方法|環境省

太陽光発電をPPAで導入した場合、PPA事業者が設備を所有するため、資産保有せずに再エネ利用が実現できます。メリットとデメリットを詳しく説明します。

PPAのメリット

初期費用0円・ランニングコスト0円

PPAの最大のメリットは、初期費用0円で太陽光発電設備を導入できる点です。太陽光発電設備はPPA事業者が支払うため、需要家は初期費用がかかりません。さらに故障やメンテナンスもPPA事業者負担。
設備投資リスクを軽減できる
のは大きなメリットです。

追加性が担保された環境価値

さらに追加性のある環境価値も、初期投資なしで取得できます。CO₂排出量を削減でき、新たな再生可能エネルギー設備への投資を促せるのが追加性です。これについては以下の記事で詳しく解説しています。
RE100やSBTなどの気候変動対策に関する国際的なイニシアチブにおいても、PPAで得られる環境価値は評価が高く、企業としてはPPAによる環境価値の取得は脱炭素化における優先対策事項です。


追加性のある再エネの定義とは?RE100準拠の調達法【動画解説】

追加性のある再エネの定義とは?RE100準拠の調達法【動画解説】

「追加性」は英語では「additionality」と表現される概念。新たな再生可能エネルギー設備への投資を促す効果を表しています。
“それまで世界に存在していなかった、新たな再エネを生み出す”とも言い換えられます。自社の脱炭素経営やCO₂削減に取り組めることはもちろん、社会全体に再生可能エネルギーの導入を促す効果が期待されています。


電気料金高騰のリスクヘッジ

PPA契約では、長期間にわたって電気料金の一部が固定化されます。そのため電気料金の変動リスクも軽減できるメリットも挙げられます。
これはPPAの重要なメリットの1つで、電気の調達コスト(電気代)は2025年時点で5年前と比べて44.5%上昇し、依然として高止まりが続いています。この状況から、多くの企業が今後5~15年後で電力コストが国内事業や利益に与える影響を懸念しています。
電気の調達の先付きが不透明な中で、PPAによって長期にわたって電気料金の一部でも固定化できるメリットは、経済性の観点だけでなく中長期の経営・事業戦略においても重要な役割を果たします。

電力コストの上昇と将来への懸念

つまり初期費用0円・設備投資リスクを軽減した状態で設備を導入でき、環境価値や電気料金のメリットも享受できるのがPPAです。

PPAのデメリット

初期費用0円が魅力的なPPAですが、契約期間が長期に及ぶ点を敬遠する需要家が多いことも事実です。途中解約は難しいため、数年で「やっぱり辞めたい」とは切り替えられません。
さらに自己所有で太陽光発電を導入した場合と比較すると、総支払額は高くなる傾向にあります。これはPPA事業者の利益の上乗せが理由です。

そして最大の注意点は与信調査が行われる点です。PPA事業者側で調査されるため、場合によっては「PPA契約はできない」と断られるケースもあるでしょう。ただし事業者によって与信調査の内容は異なるため、1社から断られたからといって諦める必要はありません。

PPAについては以下の記事でも深く解説しています。あわせてご参考ください。


太陽光発電のPPAモデルの実態とは?メリット以外の注意点やデメリットも解説

太陽光発電のPPAモデルの実態とは?メリット以外の注意点やデメリットも解説

太陽光発電のPPAモデルとは、初期費用とランニングコストがともに0円で太陽光発電システムを導入し、再生可能エネルギーが使える仕組みです。
初期投資コストやリスクを抑えられるため、近年、企業でも積極的に活用されています。しかし活用できる企業には条件があること、経済性はいまいち期待できないという実態もあります。


 

自己所有のメリット・デメリット

自己所有による自家消費型太陽光発電の導入

(引用)再エネ調達のための太陽光発電設備導入について|環境省

屋根や敷地内に、自社が所有する形で太陽光発電設備を導入するのが「自己所有」です。

自己所有のメリット

経済性

自己所有はPPAと比較して、長期的にみると経済性が高くなります。PPA契約ではPPA事業者の利益が上乗せされますが、自己所有は設備も電気も自社のもの。さらに余った電力を売れる(余剰売電)ため、収益化も可能です。長い目で見るとお得になるのは、自己所有だと言えます。
初期投資額は10年弱、補助金を使えば2~3年程度短縮して回収でき、以降は電気代削減効果が実質的な利益となります。

節税効果

さらに太陽光発電設備を自己所有した場合、税制優遇制度が利用できます。初期年度に全額経費として計上するか、設備取得額の7%あるいは10%を控除するかのいずれかを活用できます。この制度については以下の記事で解説しているので、あわせてお読みください。


中小企業経営強化税制は2025年度も活用可能!太陽光発電の最強の税制優遇

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中小企業経営強化税制は設備投資を実施する中小企業が、設備取得額の即時償却または10%(7%)の税額控除を適用できる税制優遇制度です。自家消費型太陽光発電も対象です。中小企業経営強化税制について概要や対象事業、年度内に認定を受けるための手続きなどを解説いたします。


面倒な手続き不要で環境価値が帰属

メリットは経済性や節税効果だけではありません。面倒な手続きなしで環境価値が自社に帰属するのも、自己所有のメリット。
環境価値とは「当社では太陽光発電の導入によりCO₂が削減できた」と言える、権利のようなものです。太陽光発電を導入できない企業は環境価値の証書を購入するケースもあります。しかし自己所有の太陽光発電設備であれば、手続きなしで環境価値を得られます。

自己所有のデメリット

魅力的なメリットが多い自己所有ですが、デメリットも存在します。
大きなデメリットであるのが、資金面。太陽光発電設備の導入には高額な初期費用が必要であり、メンテナンスや故障対応に向けても資金準備をしなくてはいけません。前述のように設備投資には少なくとも1,000万円以上、毎年のメンテナンスにはkWあたり0.5~1万円、100kWの設備では毎年100万円程度のコストが発生します。

さらに償却資産としての経理処理も発生します。機械装置やエアコンのように自社で所有しているので、固定資産として計上しなくてはいけません。

 

PPAと自己所有のシミュレーション例

太陽光発電をPPAまたは自己所有で設置した場合、料金としてどのような効果が表れるのかシミュレーションしてみましょう。

【前提条件】

年間発電量 322,000kWh
自家消費率 80%
自家消費量 257,600kWh
初期投資額 55,000,000円
電力量料金単価 22.5円/kWh
年間電気代削減額 5,800,000円

※メンテナンス・故障によるマイナス費用や、余剰売電や優遇税制や補助金によるプラスの金額は一旦除外

PPAの場合

PPA単価を18円/kWhと想定した場合、257,600×18より、年間に約460万円のPPA利用料がかかります。一方商用電力を22.5円/kWhと想定した場合との差額は、約116万円。
つまり20年間使い続けたとすると、2,000万円~2,500万円の削減効果が得られます。

自己所有の場合

初期投資額を9~10年で回収できる計算(初期投資額/年間削減額)です。さらに20年間使い続けたとすると、5,800,000×20で1億円程度の削減。
つまり初期投資55,000,000円を引くと、4,000万円~4,500万円のプラス効果と考えられます。これは目減りする発電量を考慮した結果です。

よって単純な電気料金の削減効果では、自己所有の方が大きな効果といえます。

 

PPAと自己所有はどっちがお得になる?

長期的な経済効果で見ると、自己所有の方がお得といえます。しかし初期費用をかけずに環境価値を取得できたり、財務諸表を一時的にでも悪化させたくなければPPAの選択肢もおすすめです。
それぞれがおすすめなケースを整理してみました。

PPAがおすすめなケース

  • 初期費用をかけずに太陽光発電由来の電気を使いたい
  • 安定して環境価値を取得したい

初期費用をかけずに太陽光発電を始めたい事業者には、PPAがおすすめです。
PPAの最大のメリットは、初期費用が0円である点です。ランニングコストも0円で、脱炭素経営に取り組めます。

さらに長期かつ安定的に環境価値を取得したい事業者にも、PPAがおすすめできます。ただし契約内容によっては環境価値がPPA事業者に帰属してしまうため、契約締結時に確認が必要です。

自己所有がおすすめなケース

  • 経済効果を重視したい
  • 節税策としても活用したい
  • 売電収入も得たい

長期的に電気代を安くして総支払額を抑えたい事業者には、自己所有がおすすめです。シミュレーションで計算したように、長期で得られる経済的メリットは自己所有の方が大きいためです。

設備投資による節税効果を期待する事業者も自己所有がおすすめです。償却資産として計上され、毎年の減価償却による節税効果があります。さらに、税制優遇制度も活用すれば即時償却や税額控除など追加の節税効果も期待できます。

また売電収入を得たい場合も、自己所有をおすすめします。PPAでは基本的に売電はNGで、収益化はできません。

 

PPAや自己所有太陽光発電に関するFAQ

PPAや自己所有太陽光発電に関する、よくある質問を集めました。

オフサイトPPAとは何か?

基本的な仕組みは、今までに解説したオンサイトPPAと同じですが、発電場所が変わります。自社屋根ではなく、物理的に自社の敷地と近接していない遠隔地で発電する形態が、オフサイトPPAです。

太陽光発電を設置するために十分な屋根スペース・敷地がない場合、離れた場所に導入します。物理的な制約が少ない点から、世界ではオフサイトPPAが主流になりつつあります。詳しく知りたい場合は、以下の記事をお読みください。


オフサイトコーポレートPPAとは?オンサイトPPAや自己託送との違い

オフサイトコーポレートPPAとは?オンサイトPPAや自己託送との違い

近年、企業が太陽光発電の新たな導入方法として活用しているオフサイトコーポレートPPAをご存知でしょうか。現在の主流であるオンサイトPPAや自己所有型の太陽光発電、また自己託送との違いに触れながら解説していきます。


自己所有で太陽光発電を設置するには補助金が使えるか?

国や都道府県、市町村の補助金が利用できます。補助金には申請期間や要件があるため、利用時は確認が必要です。補助金については以下の記事を参考にしてください。


令和8年度法人向け太陽光発電の補助金総まとめ

令和8年度法人向け太陽光発電の補助金総まとめ

2026年度に向けては2025年度よりも本予算・補正予算とともに増大される見込みで、過去一の予算額が期待されています。例年人気のある環境省のストレージパリティ補助金やソーラーカーポート補助金、国土交通省の物流脱炭素化促進事業など、2025年に活用できた補助金が2026年も継続して活用できる見込みです。


なお補助金が使えるのは、自己所有だけではありません。PPAにも使える補助金があります。詳細は以下の記事をご確認ください。


PPAで使える補助金情報をご紹介します【令和8年度最新版】

PPAで使える補助金情報をご紹介します【令和8年度最新版】

令和8年度に太陽光発電のPPAで使える補助金には、環境省の「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」の「民間企業等による再エネの導入及び地域共生加速化事業」のうちの「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」があります。これは、オンサイトPPAモデルでの導入に活用できます。


太陽光発電の設置は義務化されるのか?

太陽光発電の設置は、2025年現在義務化されていません。ただし2026年度から、目標策定の義務化が方針として決まっています。対象は省エネ法上の特定事業者です。


【2026年から】太陽光発電の設置義務化|工場屋根などへの設置目標

【2026年から】太陽光発電の設置義務化|工場屋根などへの設置目標

2026年度から義務化されるのは太陽光発電そのものの設置ではありません。「屋根に設置できるのか・どれくらい余地があるのか」を報告し、導入目標を提出する報告制度がスタートします。建物の状態によっては太陽光を載せる必要はなく、耐震不足や劣化などの理由があれば「設置困難」として報告できます。


薄型の太陽光発電はないのか?

屋根の耐荷重の制限が気になる場合は、フレキシブルソーラーパネルの導入がおすすめです。「通常の太陽光パネルは重さで設置できない」とされた屋根でも検討の余地があります。フレキシブルソーラーパネルについては以下の記事を参考にしてください。


フレキシブルソーラーパネルのメリットとデメリットとは?設置困難な屋根にも

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フレキシブルソーラーパネルは、薄くて軽く、曲げられる特徴がある太陽光発電です。そのため、通常の太陽光パネルでは設置困難とされた場所にも導入できる可能性があります。しかし一方で発電効率・寿命・価格について、不安が残りやすい実情もあります。


PPAで太陽光発電を設置する場合はどこに相談するべきか?

PPAでの太陽光発電設置実績のある業者に依頼しましょう。優良なPPA事業者とつながりがある業者ならば、何社か提案してくれます。
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PPAと自己所有で太陽光発電がお得になるケースは変わります!

太陽光発電には2つの導入方法があります。初期費用ゼロでリスクを抑えられるPPAと、長期的な経済性に優れる自己所有では特徴が大きく異なります。シミュレーションのとおり、長期的に電気代を大きく削減できるのは自己所有です。しかし初期投資を避けたい企業にはPPAが有力な選択肢となります。
自社に最適な導入形態を選ぶためには、費用対効果や契約条件を比較し、専門家へ相談しながら最適な導入プランを検討しましょう。

弊社では太陽光発電についての相談を無料で承っています。「PPAの事業者について知りたい」「自己所有と迷っている」などの相談も大歓迎です。以下のリンクより、お気軽にお問い合わせください。

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