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RE100とは?加盟企業や条件などをわかりやすく解説

ブログ 更新日: 2023.02.27

「RE100」とは、2014年に設立された、企業の事業活動における電力の最終消費量のすべてを再生可能エネルギーで賄うことを目標とした国際的な枠組みです。現在、世界中の名だたる企業が加盟しており、2023年2月1日現在、全世界で397社が参加しています。日本の参加企業数は77社で、アメリカに次いで世界第2位の加盟数です。
本記事では、RE100について解説します。RE100への加盟条件やメリットについても説明します。

RE100とは

「RE100」とは、「Renewable Energy 100%」の略称で、企業の事業活動において消費するエネルギーの100%を再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的なイニシアチブです。2014年、パリ協定が翌年に控えた時期にイギリスの国際環境NGO「The Climate Group(TCG)」によって設立され、現在はTCGと気候変動の情報開示を推進するNGO「CDP」とともに運営されています。

RE100に加盟した企業は、遅くとも2050年までに再生可能エネルギー100%を達成することが目標とされています。中間目標の最低ラインは「2030年60%、2040年90%」になりますが、日本の遅れている再エネ環境を鑑み、日本企業の中間目標設定は必須から推奨に緩和されています。その代替要件として日本企業には、『日本の再エネ普及目標の向上』と『企業が直接再エネを利用できる、透明性ある市場の整備』に関する、政策関与と公的な要請を積極的に行うことがTCGより求められています。

このように企業同士が結集し、再生可能エネルギー100%を目指すことで、脱炭素社会実現への好循環が生まれます。企業が再生可能エネルギーの必要性を政府や関係機関に訴えかけ、電力を供給する電力会社や小売電気事業者が自発的に再生可能エネルギーの開発を進め、政府や関係機関がそれに沿った関係法令を作ることにより、脱炭素社会実現を加速させることがRE100設立の目的です。これにより、企業が再生可能エネルギーに取り組むことで、社会全体の気候変動対策が進み、企業にとっても経済的なメリットが生まれることが期待されています。

RE100に加盟するための条件

RE100に加盟するためには、事業運営を100%再生可能エネルギーで行うことを宣言する必要があります。企業の多くは、加盟に合わせて再エネ化100%達成の年を同時に宣言しています。100%再エネ化は企業単位で達成することが必要で、各地に事業所がある企業は、そのすべてで再エネ100%を達成する必要があります。

また、RE100の加盟には以下の要件に該当する必要があります。(参加可否の判断はTCGにて行われます。)

  • 消費電力が年間100GWh以上であること(日本企業の場合は50GWh以上)
  • 年間電力消費量が100GWh未満(日本企業では50GWh未満)の企業は以下の特徴を1つ以上有している場合は例外的に加盟できる可能性がある。
    • RE100事務局が重視している地域における主要な事業者であること
    • RE100事務局が重視している業種における主要な事業者であること
    • RE100事務局が重視している地域において政策提⾔に参加する意思があること
    • グローバルまたは国内で認知度・信頼度が⾼い
    • 主要な多国籍企業(フォーチュン1000⼜はそれに相当)
    • その他、RE100の⽬的に利する国際的・地域的な影響⼒を持つこと
  • 自社事業で使用する電力(GHGプロトコルのスコープ2および1の電力消費)の100%再エネ化に向けて期限を切った目標を設定し、公表すること
  • グループ全体での参加及び再エネ化にコミットすること
  • 毎年以下の内容の進捗報告を行うこと
    • 企業情報(売上など)
    • 目標(再エネ目標、戦略、ロードマップ)
    • 実績(電力消費量、再エネ購入量、再エネ発電量)
    • 第三者監査を推奨(目標未達成のペナルティなし)

<再エネ設備メーカーの場合>

  • 年間消費電⼒量が100GWh以上であること
  • 主要事業が再エネ設備メーカーであること。また、再エネ発電所建設・運営、再エネ電⼒⼩売、再エネ関連のコンサルティング・法務サービス提供等を⾏っている場合には、それらからの収⼊の合計が売上の50%以下であること
  • ゴールドメンバーで参加すること

<金融機関の場合>

  • ⾃社ポートフォリオの気候変動への影響を測定し開⽰すること ※可能な限り早い段階で⾏うこと
  • ⽯炭⽕⼒及び⼀般炭採掘に関与する事業や企業への資⾦供給を段階的に停⽌すること※先進国は2030年まで、途上国は2040年まで
  • 化⽯燃料に関連する事業や企業に多額の投資を⾏っていないこと

出典:JCLP『RE100について | JCLP』

RE100への加盟要件は多くの企業にとってハードルが高く、事実上、大企業に限られていると言えます。
RE100に加盟したくても条件を満たせない企業に対しては、日本独自の「再エネ100宣言 RE Action」という、主に中小企業を対象としたRE100よりも条件が緩和された枠組みに参加する選択肢があります。この枠組みに参加した企業や自治体は、RE100同様に、使用電力を100%再生可能エネルギーに転換する意思と行動を示します。

RE100に参加するメリット

次に、RE100に加盟するメリットを3つご紹介します。
企業の環境や社会に対する責任と行動が重要視される現代の国際社会では、再生可能エネルギーの活用が経営判断の一つとして広く認識されています。

投資家からのESG投資を呼び込みやすくなる

ESG投資とは、従来の投資基準である財務状況や企業の将来性だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の3つの要素を重要視した投資のことです。この考え方は、2006年に国連の提唱による「責任投資原則(PRI:Principles for Responsible Investment)」の策定により生まれました。

2015年には、国連でSDGsが採択されるとともにパリ協定が採択されたことで、中長期的な企業価値向上につながるESG投資が広がりました。ESGを考慮する動きは投資のみならず金融全体に広がりつつあり、巨額の資金を長期にわたって運用する年金基金などを中心に、多くの投資ファンドで採用されつつある基準です。ESGの観点から長期的なリスクを持っていると判断された企業はステークホルダーから敬遠されるだけでなく、優秀な人材を確保できるかについても、エネルギーを含めた社会的責任を負って運営している企業が好まれるようになってきています。

RE100に加盟し再エネ化100%を宣言することで、こうしたESGの点から投資家や金融機関からの評価が高くなり、資金調達などにおいて優位性を獲得することができます。

企業価値の向上

RE100に加盟することで、自社の脱炭素の推進に加えて、地球温暖化対策の貢献をアピールできます。グローバルに事業を展開する企業は、自社の二酸化炭素排出量削減を進めるだけでなく、サプライヤーに対しても排出量削減を求める傾向が強まりつつあります。

たとえば、Appleはサプライチェーンと製品全体で排出する二酸化炭素を実質ゼロに抑える「カーボンニュートラル」を2030年までに達成する公約を掲げています。この公約に応じてApple向けの生産を行っている国内企業では再エネ調達が進められています。

RE100に加盟して脱炭素を進めることが、こうした脱炭素を実践する企業に対して訴求力の向上につながります。

化石燃料に関するリスクを回避できる

日本のエネルギー構成の約7割は化石燃料由来です。その内のほとんどを海外からの輸入に頼っています。

これらの価格は世界情勢や供給量によって変化します。実際に2021年から燃料価格の高騰による影響で電気料金は上がり続けています。このような状況において、企業が化石燃料由来の電源を使用することは大きなリスクを伴います。化石燃料の価格が上昇すれば、企業のコストが上がり、利益率が低下します。

再生可能エネルギーの導入によって、燃料価格の変動リスクを回避しコスト削減にもつながります。

RE100に加盟している日本企業

2017年4月に株式会社リコーが、日本企業としてはじめてRE100への参加を表明しました。2023年2月1日現在、RE100の参加企業は全世界で397社、その内日本の参加企業数は77社で、RE100への加盟数はアメリカに次いで世界第2位となりました。
RE100に参加している企業の業種は、世界的には金融が多く、日本では製造業、建設業、小売業が多くなっています。
RE100に参加している日本企業は以下の通りです。

業種 会社名
建設業 旭化成ホームズ/安藤・間/インフロニア・ホールディングス/熊⾕組/住友林業/積⽔ハウス/⼤東建託/⼤和ハウス⼯業/東急建設/
⼾⽥建設/⻄松建設/LIXILグループ
食料品 アサヒグループホールディングス/味の素/キリンホールディングス/⽇清⾷品ホールディングス/明治ホールディングス
化学 花王/資⽣堂/積⽔化学⼯業
医薬品 エーザイ/⼤塚ホールディングス/⼩野薬品⼯業/第⼀三共
ゴム製品 住友ゴム工業
ガラス・土石製品 TOTO//日本ガイシ
非金属製品 フジクラ
金属製品 ノーリツ
電気機器 アドバンテスト/カシオ計算機/コニカミノルタ/セイコーエプソン/ソニーグループ/ダイヤモンドエレクトリックホールディングス/TDK/ニコン/⽇本電気/パナソニックホールディングス/浜松ホトニクス/富⼠通/富⼠フイルムホールディングス/村⽥製作所/リコー/ローム
精密機器 島津製作所
その他製品 アシックス/オカムラ
陸運業 東急
情報・通信業 Zホールディングス/BIPROGYグループ/野村総合研究所
小売業 アスクル/イオン/コープさっぽろ/J.フロント リテイリング/セブン&アイ・ホールディングス/⾼島屋/丸井グループ/ワタミ
銀行業 城南信用金庫
金融・保険業 第⼀⽣命保険/T&Dホールディングス
その他金融 アセットマネジメントOne/芙蓉総合リース
不動産業 いちご/ジャパンリアルエステイト投資法⼈/東急不動産/野村不動産ホールディングス/ヒューリック/東京建物/三井不動産/三菱地所 /森ビル
サービス業 エンビプロ・ホールディングス/セコム/楽天

出典:環境省:RE100に参加している日本企業
2021年度時点で全397社のうち、61社が再エネ100%を達成し、日本企業は城南信用金庫1社が再エネ100%を達成しています。

RE100で認められる再生可能エネルギーの主な調達方法

RE100において再生可能エネルギーは、太陽光・風力・水力・バイオマス・地熱を利用した発電方法が再生可能エネルギーとして認められています。
企業が再生可能エネルギーを取り入れるにはさまざまな手法があります。

敷地内に自社所有で発電設備を設置

敷地内(オンサイト)に再エネ発電設備を自社で設け、専用線により発電した電力を直接調達します。企業の屋根上に太陽光発電を載せ、発電した電気を自社で使用する自家消費型太陽光発電もこの調達手法になります。

敷地内に他者所有で発電設備を設置

先ほどの自社所有と発電から消費までのスキームは同じですが、発電設備の所有権が異なります。発電設備となる敷地内の場所(オンサイト)を他社へ貸し出し、発電した電力を直接使用します。太陽光発電においてオンサイトPPAとも呼ばれ、自家消費した分は電気料金としてPPA事業者へ支払います。

敷地外に他社所有の発電設備から系統を経由して直接購入

敷地外の土地から、系統を経由して発電者へ再エネ電力を需要家へ供給します。発電事業者と需要家との直接契約により再エネ電力を調達します。太陽光発電においてオフサイトPPAと呼ばれ、近年再エネ電力の調達手法として拡大しています。

電力会社から再エネ由来電力の購入

小売電気事業者が提供する再エネ電力を購入して調達します。小売電気事業者は、自社の発電所や卸取引市場、再エネ電力証書から再エネ価値が付随した電力を提供します。
以下の表は、RE100参加企業の再エネ調達手法の推移を表しています。再生可能エネルギーの調達方法は、PPAの割合が年々増加傾向にあり、2019年度の前年度比は+ 7%と大きく増加しています。

RE100参加企業の再エネ調達手法の推移
 出典:環境省:RE100参加企業の再エネ調達手法

まとめ

RE100の設立により、企業が協力して再エネ調達の重要性を訴え、小売電力事業者が市場拡大のためにニーズに応じた再エネ電力の開発や新規参入を促進しています。
このような市場の活性化により、政府や関連機関が規制緩和を実施することで、脱炭素に向けた好循環を生み出し、調達選択肢の増加や価格低下につながることが期待されています。
RE100に加盟するための要件が厳しいことは、大企業が脱炭素に関心を持ち、需要を引き起こし、政府や電力会社に大きな影響を与えるための意図的な戦略かもしれません。

化石燃料に依存した発電方法に対するリスク認識が世界的に高まっているため、企業が将来的なエネルギー価格の上昇や供給量の不安定性などのリスクを避けるために再エネ電力への切り替えを進めることが求められています。再エネ電力への切り替えは、化石燃料によるリスク回避だけでなく、気候変動を防止するための貢献にもつながります。したがって、企業が再エネ電力への移行を進めることは、サステナビリティを考えた上での重要な取り組みの一つと言えます。

 

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