追加性のある再エネの定義とは?RE100準拠の調達法【動画解説】

脱炭素 更新日: 2024.08.06

企業における再生可能エネルギーの導入が活発になる中、「追加性」のある、「追加性」の高い再生可能エネルギーかどうかが重要な判断基準の一つとなっています。
本記事では、「追加性」の定義とRE100が求める追加性要件、具体的な調達法をご紹介します。

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追加性とは?定義と重要視される理由

「追加性」は英語では「additionality」と表現される概念で、新たな再生可能エネルギー設備への投資を促す効果を表しています。

“それまで世界に存在していなかった、新たな再エネを生み出す”とも言い換えられ、追加性のある再生可能エネルギーの導入によって自社の脱炭素経営やCO₂削減に取り組めることはもちろんのこと、社会全体に再生可能エネルギーの導入を促す効果が期待されています。

追加性の定義

まず、「追加性」には統一された定義は存在していません。統一定義はないものの、以下のような概念は存在します。

新設の再生可能エネルギー設備の導入(追加)によって、CO₂を排出する火力発電の電力を置き換えられCO₂排出量を削減でき、さらなる新設の再エネ設備への投資を促す。既設の再生可能エネルギー設備で得られる電力や環境価値は、すでに消費されていることから追加性は小さい。
CO₂排出量を削減し、進行中の気候変動を抑制するためには、新設の再生可能エネルギー設備の電力および環境価値の利用が望ましい

概念をもとにいくつかの基準や考え方があることで、企業が追加性のある再エネを取得する際の判断基準をややこしくしていますが、自社が加盟・賛同するイニシアチブや団体の基準に沿うことが適当となるはずです。

RE100は2022年10月に技術要件を改定し、新たに追加性の基準を設けました。対象とする再エネ調達手法の分類分けや15年ルールなどを制定しています。次の章で解説します。

追加性が重要視される理由

「追加性」が重要視される理由には、気候変動を抑制する視点とビジネス要因の大きく2つの視点があります。

気候変動抑制の視点

一つ目は大元の気候変動を抑制する視点で、パリ協定の1.5℃目標の達成に向けた残余カーボンバジェットが残り少ないと推定されることが挙げられます。残余カーボンバジェットとは、パリ協定の1.5℃目標また2℃目標を達成するために、残り排出できるCO₂量を指します。

カーボンバジェットの推定には不確実性があるものの、2018年時点での残余量は400Gt-CO₂(50%の確率で1.5℃以下に抑制)で、世界全体の年間CO₂排出量が40Gt-CO₂であることを踏まえると、2018年からの10年間でCO₂の排出をピークアウトさせ、2030年以降は世界全体で削減していく必要があります。このことから、2020年~2030年の10年間は気候変動対策における「決定的な10年」と位置付けられています。

すでに世界に存在する再エネでは、カーボンバジェットに新たに与える効果があまり期待できない(すでに消化されている)ことから、残余カーボンバジェットの消費を抑制できる新たなCO₂削減効果を生み出す「追加性」が重要視されています。

カーボンバジェットと残余カーボンバジェット産業革命後のCO₂排出量と気温変化(出展)IPCC SR1.5

(参照)Global Warming of 1.5℃ – IPCC
(参照)IPCC「1.5℃特別報告書」の概要 – 環境省

ビジネス要因の視点

二つ目はビジネス要因の視点です。RE100をはじめとするイニシアチブや団体で追加性が重要視されるようになったことで、加盟・賛同する企業もその方針に準ずることが求められています。
投資家や顧客、取引先などのステークホルダーも企業の気候変動対策への取り組みを注視するようになり、追加性のある再エネを導入することでアピールできるほか、自社の脱炭素経営を推進できます。

また、企業が追加性のある再エネ設備への投資を加速させることで、経済を活性化させ、社会全体での気候変動対策への機運を押し上げる効果も期待できます。企業にとって「追加性」は、義務のような属性である一方、ビジネスの発展性が見込める付加価値でもあります。

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RE100における追加性の技術要件

「追加性」の定義は一様ではないことをご紹介しましたが、ここではRE100の追加性要件について触れます。

前章でも触れたように、RE100は2022年10月の改定で「追加性」に関する要件をRE100技術要件に追記しました。
RE100技術要件とは、RE100に参加する企業が再生可能エネルギー電力を調達し、RE100の目標に対する進捗を定義する際に遵守するルールです。企業が再エネ電力を調達し、その取り組みを発信する際の指針としても利用されています。

再エネ調達手法の分類

RE100技術要件では5つの調達タイプに大別しています。うち1つは日本国内では認められていないため、日本では以下4つの調達手法が該当します。

  1. 企業が保有する再エネ設備における自家発電
  2. 再エネ発電事業者との直接契約
    1. フィジカルPPA
    2. バーチャルPPA
  3. 電力供給者との契約
    1. 再エネ証書を含む電源特定メニュー
    2. 再エネ証書を含む電力小売メニュー
  4. 再エネ証書のみの調達

なお、RE100では、風力・太陽光・地熱・持続可能に調達したバイオマス(バイオガスを含む)・持続可能な水力による発電について再生可能と認めています。

追加性要件(15年ルール)

上記手法の調達において、2024年1月以降に調達する電力について追加性要件を定めています。

再エネ電源からの購入電力については、運転開始日(試運転日)またはリパワリング日から起算して15年以内の電源からの調達が必要

なお、以下の調達法については追加性要件の適用外とされています。

  • 再エネの自家発電(上記調達タイプ1)
  • 系統連系のない自営線によるフィジカルPPA(上記調達タイプ2.aの一部)
  • 長期契約のプロジェクトにおける需要家として当初から参画し、15年以上経過したものであっても契約を延長した場合の次の調達法
    • 敷地外の系統連系のない自営線によるフィジカルPPA(上記調達タイプの2.aの一部)
    • バーチャルPPA(上記調達タイプ2.b)
    • 電力供給事業者との電源特定契約(上記調達タイプ3.a)
    • 電源を特定した再エネ証書のみの調達(上記調達タイプ4の一部)
  • 2024年1月以前に運転開始した既存契約

加えて、年間の電力使用量のうち15%までは、15年ルールを満たしていない再エネ電力や証書の使用が例外的に認められています。

RE100における技術要件の改定RE100における技術要件の改定
(出展)高度化法の中間目標について – 資源エネルギー庁

つまり、自家消費型太陽光発電とオンサイト型のフィジカルPPAは、期間の制約なく追加性要件は適用されません。こうした基準は、CO₂排出削減のインパクトを念頭に置いて主に2つの観点から成り立っています。

一つ目は、再生可能エネルギーの投資回収に要する期間が、一般的に15年程度であることです。運転開始から15年以上が経過した発電設備は投資回収が完了しており、15年という期間で対象要件を区切ることで、新たな再エネへの投資を促す意味合いがあります。既存の再エネ設備もCO₂を排出しない電力を供給してはいますが、すでに社会で消費されていることから排出削減のインパクトは小さいと言えます。

二つ目は、企業が自社保有やPPAによって新たな再エネ設備の取得を続けることで、CO2を排出しない再エネ電力を新たに生み出し、長期に利用が可能となることです。小売電気事業者や非化石証書の購入は一過性であるのに対して、再エネ設備の取得は継続性があります。運転開始から15年以上が経過しても、継続的にCO₂の排出削減を続けられるためインパクトが大きいと言えます。

(参照)RE100技術要件 – RE100
(参照)高度化法の中間目標について – 資源エネルギー庁

 

追加性のある再エネ電力とない再エネ電力

「追加性」について、統一の定義はなくともなんとなく要件が見えてきたところで、「追加性」があるとされている再エネと、ないとされている再エネをまとめます。あくまで一般的な認識であり、イニシアチブや団体によってはこの限りではない可能性がありますのでご了承ください。

追加性のある再エネ

  • 自家消費型太陽光発電
  • オンサイトPPA
  • オフサイトPPA
  • バーチャルPPA
  • 小売電気事業者が提供する電源特定メニュー
  • 小売電気事業者が提供する電力小売メニュー
  • 電源特定証書の購入

以上の手法で得られる再エネが、「追加性」があるとされています。基本的に新設が条件です。

これらで得られる再エネは、いずれも再エネ電力を生み出す設備との紐付けができ、需要家による再エネ電力および環境価値の利用によって、発電事業者・小売電気事業者・施工販売店が収益を上げられ、新たな再エネ設備への投資を可能とします。

追加性のない再エネ

  • 既設あるいは運転開始から相当数の年月が経過した発電所
  • FIT発電所
  • トラッキングなしの電力/証書購入

上記の“追加性のある再エネ”以外の再エネということになりますが、既設の発電所由来の再エネ電力でも、RE100の追加性要件のように条件付きで認められる場合もあります。

FIT発電所は固定価格買取制度を利用した発電所で、FIT電力は国民負担によって成り立っている電力であることから、「追加性」はないとされています。小売電気事業者からの電力購入は、何由来の電力であるかを示すトラッキング機能がないと、認められません。証書も同様の考え方です。

 

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追加性のある再生可能エネルギーの調達法

「追加性」があると認められる再生可能エネルギーについて、それぞれの概要と調達法をご紹介します。

太陽光発電の導入については、以下の動画でも解説しています。

自家消費型太陽光発電

自家消費型太陽光発電とは、CO₂の排出削減を図りたい建屋の屋根、あるいは需要場所の敷地内や敷地外の地上に太陽光発電設備を設置し、発電で得られる再エネ電力を系統を介さずに需要場所に供給し、供給地点での電力消費を主体とする太陽光発電です。

企業が再エネ電力を利用する際に最も一般的な調達法で、需要家が発電事業者も兼ね、電力供給に系統連系の必要もないことから他調達法に比べインストールが容易で、フィジカルな手法の中ではリードタイムが短い利点もあります。初期投資費用は最低でも1,000万円前後かかりますが、10年弱で回収でき経済性にも優れます。

RE100技術要件では自家発電に分類される再生可能エネルギーで、「追加性」のインパクトが特に大きい調達法とされています。


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オンサイトPPA

オンサイトPPAは、自家消費型太陽光発電の発電事業者を第三者のPPA事業者が担う第三者保有型モデルです。需要家は、自家消費型太陽光発電と同様に発電で得られる再エネ電力を利用でき、その利用代金をPPA事業者に支払います。。PPAは「Power Purchase Agreement|電力購入契約」の略称です。

発電設備の所有元は第三者であるPPA事業者であるため、初期投資費用やランニングコストといった費用はPPA事業者が負担し、需要家は契約で定められた再エネ電力の使用量に応じた代金を支払います。費用負担を抑えられるという利点がある一方、電気料金は割高な傾向があり、契約期間も15年以上と拘束期間は長めです。

RE100技術要件内ではフィジカルPPAに分類され、自家消費型太陽光発電と同様に「追加性」のインパクトが大きい調達法とされています。


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オフサイトPPA

オフサイトPPAは需要場所と発電場所が離れたPPAで、需要家・PPA事業者(発電事業者)・小売電気事業者の3つのプレイヤーがいます。オンサイトPPAと同様に再エネ設備はPPA事業者が所有し、電力の供給は需要場所と発電場所が離れているため、小売電気事業者が系統を介して需要家に供給します。需要家は初期費用・ランニングコストのどちらの負担もなく、再エネ電力の供給を受けられます。

発電設備が需要場所と離れていて良いため、遊休地などに設置された太陽光発電、日本海沿岸の風力発電など、発電能力の大きい再エネ発電所からの調達が可能です。発電所の開発が進み、再エネに適した土地が年々減少していることから、条件の良い発電所は取り合いが激化しつつあります。

RE100技術要件内ではフィジカルPPAに分類され、「追加性」のインパクトが大きい調達法とされています。


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バーチャルPPA

バーチャルPPAとは、PPAで供給される電力と環境価値を切り離し、環境価値のみを購入するPPAです。電力と環境価値の双方を購入するPPAはフィジカルPPAと呼ばれます。需要家は発電事業者と購入契約を交わし、発電事業者から直接購入するパターンと小売電気事業者を通すパターンの2通りがあります。

バーチャルPPAの利点は、既存の電力契約を変更する必要がなく環境価値だけの購入できる点と、環境価値を付随させる需要場所を選べる点です。フィジカル面の制約がないことで、電力契約や需要場所に縛られず自由に環境価値を利用できます。この点は証書の購入と同じ利点ですが、バーチャルPPAは事業者間の相対契約であることから、価格は双方の合意の元で決まり、契約期間中は固定されるという別のメリットもあります。

電源特定メニュー

電源特定メニューは、電力会社が提供する特定の電源から発電された電力のみを利用する電力小売メニューです。例えば、東京電力エナジーパートナーでは太陽光発電と水力発電の2つの電源に絞ったメニューが展開されています。

このうち、太陽光発電特定の「サンライトプレミアム」はFIT電気を除く太陽光発電由来の電力に、再エネ指定の非化石証書を付随させて供給するメニューで、「追加性」のある電力メニューとなっています。

水力発電特定メニューの「アクアプレミアム」は、揚水発電とFIT電源を除く一般水力発電を電源とし、再エネ指定の非化石詔書を付随させたメニューで、SBT、温対法、CDPに対応しています。RE100には対応していないことから、RE100基準の追加性要件は満たしていないものと思われます。

イニシャルコストを必要とせず、利用開始の手続きもそこまで複雑ではないことが利点である一方、料金メニューは割高に設定されていることから電力コストは増大します。

(参照)法人のお客様向け再エネ関連サービスラインナップ – 東京電力エナジーパートナー

証書付き電力小売メニュー

再エネ指定の非化石詔書を付随させた電力メニューで、大手電力会社のほかにも新電力も提供しており、中には「追加性」のあるメニューも展開されています。

株式会社UPDATERが提供する「みんな電力」の「RE100プラン」は、100%再生可能エネルギー由来の電力に再エネ指定の非化石証書を付随させたメニューで、国際イニシアチブでの利用が可能とされています。また、独自のブロックチェーン技術によって全電力量の提供元を確認することも可能で、透明性の高い再エネ電力を利用できます。

(参照)みんな電力 法人向けソリューション – みんな電力 from UPDATER

グリーン電力証書

グリーン電力証書は、再生可能エネルギーから得られる電力のうち環境価値を切り離した環境価値証書です。対象としている再生可能エネルギーは太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電、バイオマス発電です。

グリーン電力お収入を見込んで新設再エネ電力への投資が見込めるため、「追加性」のある調達法と認識されています。

需要家はグリーン電力証書発行事業者から証書を購入します。

(参照)グリーン電力証書の追加性に関する補足資料 – 環境省
(参照)「グリーン電力証書」購入ガイドライン- グリーン購入ネットワークGPN

非化石証書

非化石証書は、再生可能エネルギーなどのCO₂フリーの電源から発電された電力から環境価値部分を証書化したものです。電源には再生可能エネルギーのほかに原子力発電を含みます。

グリーン電力証書とJ-クレジットに比べて市場流通量が圧倒的に多く、価格も安価で需要家が直接購入できることから、証書購入によるカーボンオフセットの有力な選択肢となっています。

一方、RE100等のイニシアチブで利用するためにはトラッキングが必須で、トラッキング付き非化石証書に限り「追加性」があるとの認定を受けられます。

(参照)非化石価値取引について – 資源エネルギー庁

J-クレジット

J-クレジットは、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用によるCO2等の排出削減量や、適切な森林管理によるCO2等の吸収量を「クレジット」として国が認証した証書です。

J-クレジットはCDP・SBT・RE100に活用が可能です。
CDPとSBTに対しては、再エネ電力や再エネ熱由来のJ-クレジットを再エネ調達量として報告できます。RE100では再エネ電力由来のものを活用できます。いずれもScope2に対しての利用です。

(参照)J-クレジット制度とは – J-クレジット制度
(参照)CDP・SBT・RE100での活用

 

追加性のある再エネの拡大に向けた懸念と課題

最後に、「追加性」のある再エネの普及拡大に向けた懸念と課題をまとめます。気候変動を食い止めるためには、新設の再エネ設備への投資を促す圧力として「追加性」は重要な概念である一方、「追加性」ばかりを追い求められない事情もあります。

追加性要件への懸念

RE100で利用できる再エネと認定されるために15年以内という追加性要件が課されることで、日本国内の小売電気事業者と電力メニューおよび証書によって再エネを調達している需要家には対応が迫られています。

小売電気事業者が提供する水力発電主体の再エネ電力メニューには、古くから稼働している水力発電所由来の電力が多く含まれています。日本国内での水力発電の開発余地は限られ、過去15年以内に新たに運転開始された発電所もわずかで、水力発電由来の再エネ電力メニューを提供している小売電気事業者、また利用している需要家は注意が必要です。前章で紹介した東京電力のメニューもCDPとSBTには対応しているもののRE100には対応していません。

証書については、運転開始日が懸念となります。運転開始日の情報を含まず提供している場合があるためです。トラッキング付き証書の場合には運転開始日は記載されてはいるものの、購入した電力に後からトラッキング情報を付与するため、RE100等での利用には、その申請期間と適用タイミングのタイムラグをあらかじめ考慮する必要があります。

(参照)追加性が自然エネルギーの選択基準に、RE100も採用へ – 自然エネルギー財団

再エネ設備の導入余地

FIT制度が始まって以降、全国で再生可能エネルギーの開発が進み、再エネの導入量は大きく伸長しました。それ自体は良いことなのですが、FIT電力は追加性要件を満たしておらず追加性の観点からは活用ができません。そのため、開発が進み限られた国土の中で、追加性要件に合う再エネの開発が求められています。

再エネには最適な発電に適した要件があり、太陽光発電であれば日照量の多い平坦な土地、風力発電であれば安定した風の吹く人里離れた沿岸や山間部あるいは遠浅の洋上などで、条件のいい用地はFIT時代に開発し尽くされています。限られた国土の中でさらに再エネの導入を拡大するためには、今以上の創意工夫とイノベーションが欠かせません。

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