環境省の太陽光発電関連の補助金まとめ【令和6年度最新】
補助金 更新日: 2024.09.13
環境省から展開されている太陽光発電の導入に使える補助金をご紹介します。2050年カーボンニュートラルの実現に向けては、温室効果ガスの排出削減が急務とされています。発電時に温室効果ガスを排出しない太陽光発電は、カーボンニュートラルの達成および企業の脱炭素化にも効果的な事業であるとして、環境省をはじめ国からの補助金および各自治体からも数多くの補助事業が実施されています。
本コラムでは、太陽光発電設備の導入に関連して、環境省から実施されている補助金をご紹介いたしますので、事業所等での活用の参考となれば幸いです。令和7年度の概算要求も反映しています。
太陽光発電の導入に活用できる補助金をまとめた補助金大全を、無料でダウンロードいただけます。どうぞあわせてご参考ください。
- 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金|民間企業等による再エネの導入及び地域共生加速化事業
- ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業
- 設置場所の特性に応じた再エネ導入・価格低減促進事業|①地域共生型の太陽光発電設備の導入促進事業
- 設置場所の特性に応じた再エネ導入・価格低減促進事業|②建物等における太陽光発電の新たな設置手法活用事業
- 設置場所の特性に応じた再エネ導入・価格低減促進事業|③窓、壁等と一体となった太陽光発電の導入加速化支援事業
- 離島の脱炭素化等推進事業
- 新手法による建物間融通モデル創出事業
- データセンターのゼロエミッション化・レジリエンス強化促進事業
- 脱炭素技術等による工場・事業場の省CO₂化加速事業(SHIFT事業)
- 建築物等のZEB化・省CO₂化普及加速事業
- ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業
- サステナブル倉庫モデル促進事業
環境省だけでなく法人向け太陽光発電の補助金をまとめたコラムも公開しています。
二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金|民間企業等による再エネの導入及び地域共生加速化事業
令和7年度要求額:119億円 ※令和6年度要求額:193.37億円
環境省令和7年度概算要求より抜粋
環境省主導で主に民間企業を対象とした自家消費型・地産地消型の太陽光発電設備の導入を促進し、再生可能エネルギーの主力電源化とレジリエンス強化を目的とした補助事業です。補助事業は5つに分けられます。
- ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業
- 対象事業:オンサイト型太陽光発電設備および蓄電池の導入事業
- 設置場所の特性に応じた再エネ導入・価格低減促進事業
- 対象事業①:地域共生型の太陽光発電設備の導入促進事業
- 対象事業②:建物等における太陽光発電の新たな設置手法活用事業
- 対象事業③:窓・壁等と一体となった太陽光発電設備の導入加速化支援事業
- 離島の脱炭素化等推進事業
- 対象事業:離島における群単位での太陽光発電設備等の再エネ設備と管理制御機器の導入事業
- 新手法による建物間融通モデル創出事業
- 対象事業:TPOモデル(第三者所有モデル)において太陽光発電設備等の再エネ設備および蓄電池と需要側設備の導入事業
- データセンターのゼロエミッション化・レジリエンス強化促進事業
- 対象事業:データセンターの新設あるいは改修とあわせた太陽光発電設備等の再エネ設備の導入事業
ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業
通称「ストレージパリティ補助金」と呼ばれる環境省の補助事業で、工場の屋根や敷地内の地上のオンサイトに自家消費型太陽光発電および蓄電池を導入する事業で活用できる補助金です。蓄電池の導入が必須の補助金で、例年特に人気のある補助金です。
補助対象事業
オンサイト自家消費型太陽光発電と蓄電池
初期費用ゼロ(PPA・リース)や自己所有によって業務用施設・産業用施設・集合住宅・戸建住宅へ自家消費型太陽光発電設備および蓄電池(V2H充放電設備を含む)を導入する事業
補助対象経費
太陽光発電設備、定置用蓄電池(業務・産業用/家庭用)、車載型蓄電池、充放電設備
以上の設備を導入する事業の工事費、設備費、業務費、事務費
補助額
・太陽光発電設備
業務用施設 | 産業用施設 | 集合住宅 | 戸建住宅 | |
PPA・リース | 5万円/kW | 7万円/kW | ||
自己所有 | 4万円/kW | – |
・定置用蓄電池(業務・産業用):4万円/kWh
・定置用蓄電池(家庭用):4.5万円/kWh
・車載型蓄電池:蓄電容量(kWh)の2分の1に4万円を乗じた額
・充放電設備:2分の1および設置工事費(1基あたり業務・産業用は95万円、家庭用は40万円を上限)を合算した額
補助上限額
太陽光発電設備:2,000万円
蓄電池・充放電設備:1,000万円
合計:3,000万円
参照
ストレージパリティ補助金に関する詳細は以下コラムでも解説しています。
設置場所の特性に応じた再エネ導入・価格低減促進事業|①地域共生型の太陽光発電設備の導入促進事業
営農地やため池等への太陽光発電設備の導入を支援する環境省の補助金です。営農地への設置はソーラーシェアリング(営農型発電)形式、ため池への設置は水上太陽光発電形式となります。蓄電池も補助対象で、PPA・リースにも対応しています。
補助対象事業
営農地やため池等に太陽光発電設備等を導入し、発電した電気を自営線で供給あるいは農林水産関連施設または地方公共団体の施設に供給する事業
補助対象経費
太陽光発電設備、定置用蓄電池(業務・産業用/家庭用)、自営線、エネルギーマネジメントシステム(EMS)、受変電設備、その他執行団体が適当と認める設備
以上の設備・機器を導入する事業の工事費(本工事費、付帯工事費、機械器具費、測量および試験費)、設備費、業務費および事務費
補助率
2分の1
補助上限額
1.5億円
参照
(参照)地域における太陽光発電の新たな設置場所活用事業(営農地、ため池、廃棄物処分場)|公募情報
設置場所の特性に応じた再エネ導入・価格低減促進事業|②建物等における太陽光発電の新たな設置手法活用事業
通称「ソーラーカーポート補助金」と呼ばれる駐車場を活用した太陽光発電(ソーラーカーポート等)および充電設備の導入を支援する環境省の補助金です。駐車場の有効活用の目的から、近年需要が高まっている補助金で、自己所有が前提ですがPPA・リースにも対応しています。
補助対象事業
オンサイト自家消費型ソーラーカーポート
駐車場を活用した太陽光発電設備(ソーラーカーポート)の導入を行い、発電した電気を敷地内で消費する太陽光発電事業
補助対象経費
太陽光発電一体型カーポート、太陽光発電搭載型カーポート、定置用蓄電池、車載型蓄電池、車載型蓄電池の通信・制御機器、車載型蓄電池の充放電設備または充電設備
以上の設備・機器を導入する事業の工事費(本工事費、付帯工事費、機械器具費、測量および試験費)、設備費、業務費および事務費
補助額
8万円/kW
補助上限額
1億円
参照
ソーラーカーポート補助金に関する詳細は以下コラムでも解説しています。
(参照)再生可能エネルギー事業者支援事業費(ソーラーカーポート)|公募情報
設置場所の特性に応じた再エネ導入・価格低減促進事業|③窓、壁等と一体となった太陽光発電の導入加速化支援事業
窓、壁等の建材と一体型の太陽光発電設備の導入を支援する環境省の補助金です。太陽光発電の適地は年々減少してきており、さらなる再エネの導入のポテンシャルを開拓していくことを目指す補助事業です。
補助対象事業
①窓と一体となった太陽光発電設備
建材としての機能を有し、断熱性能および透過率が基準値以上であるもの
②壁等と一体となった太陽光発電設備
建材としての機能は有するものの、断熱性能または透過率が①に適合しないもの
補助対象経費
窓ガラスや壁等と一体となった太陽光発電パネル、基礎、接続箱、パワーコンディショナ、配線、工事費、その他執行団体が必要と認める設備
補助率
①5分の3・②2分の1
補助上限額
①5,000万円・②3,000万円
参照
(参照)窓、壁等と一体となった太陽光発電の導入加速化支援事業|公募情報
離島の脱炭素化等推進事業
離島において、太陽光発電設備などの再生可能エネルギー設備と需要側設備を群単位で管理・制御する計画および導入事業を支援する環境省の補助金です。計画策定支援事業と導入支援事業の2つの事業があります。
補助対象事業
①離島再エネ主力化計画策定事業
離島において、再生可能エネルギー設備と需要側設備がそれぞれ1つ以上含み、群単位で管理・制御することで、離島全体の電力供給量に占める再エネの割合を高める事業計画(離島再エネ主力化計画)を策定する事業
②離島再エネ主力化設備導入事業
離島再エネ主力化計画と同等である事業計画に基づいて、再エネ設備および需要側設備をそれぞれ1つ以上管理・制御するためのオフサイトから運転制御可能な需要側設備・システム等の導入を行う事業
補助対象経費
①人件費・業務費
②再生可能エネルギー発電設備、定置用蓄電池、充放電設備、充電設備、車載型蓄電池、蓄熱槽、エネルギーマネジメントシステム(EMS)、通信・制御機器、同期発電設備、オフサイトから運転制御可能な需要側設備、エネルギーマネジメントに資する設備および設備同士を結ぶ自営線、熱導管等
補助率
①4分の3
②3分の2
補助上限額
①1,000万円
②3億円/年
参照
(参照)離島等における再エネ主力化に向けた設備導入等支援事業|公募情報
新手法による建物間融通モデル創出事業
TPOモデル(第三者保有モデル)を活用し、複数の建物間(需要場所間)で電力融通を行い、平時の省CO₂と災害時の雛拠点機能を両立する事業を支援する環境省の補助金です。太陽光発電設備に限らず、蓄電池、需要側省エネ設備、自営線等、直流給電網も含めた第三者による包括的な設備導入とエネルギーマネジメントによって、脱炭素化が加速することを目指します。補助事業は計画策定支援と導入支援事業の2通りがあります。
補助対象事業
①TPOモデル計画策定支援事業
省CO₂と災害時のエネルギー確保が可能となるTPOモデルによる建物間電力融通に関する計画の策定を行う事業
②TPOモデル設備導入事業
①で策定した計画あるいはそれと同等の計画に基づき、再生可能エネルギー設備等を導入する事業
補助対象経費
①人件費・業務費
②再生可能エネルギー発電設備、エネルギーマネジメントに資する設備および設備同士を結ぶ自営線・熱導管等(自営線地中化のための設備含む)、受変電設備、定置用蓄電池、充放電設備、充電設備、車載型蓄電池、EMS、通信・制御機器、運転制御可能な需要側設備(ヒートポンプを活用した給湯器・空調等調整力強化に資する需要側の設備、コジェネ等)
補助率
①4分の3
②2分の1あるいは3分の2
補助上限額
①1,000万円
②3億円/年
参照
(参照)TPOモデルによる建物間融通モデル創出事業|公募情報
データセンターのゼロエミッション化・レジリエンス強化促進事業
データセンターへの再生可能エネルギー設備や蓄電設備の導入を支援する環境省の補助金です。新設、既設どちらにも活用でき、PPA・リースにも対応しています。
補助対象事業
①データセンター新設支援事業
地域の地域の再生可能エネルギーを最大限活用したデータセンターの新設に必要な再エネ・蓄エネ設備の導入および空調設備等の省CO₂型設備の導入を行う事業
②データセンター改修支援事業
既存データセンターの再エネ・蓄エネ設備の導入および空調設備等の省CO₂型設備への改修を行う事業
③コンテナ型データセンター等導入支援事業
地域再エネの効果的・効率的活用に資するコンテナ・モジュール型データセンター等の導入を行う事業
補助対象経費
①②
・再生可能エネルギーの使用に関する設備およびその付帯設備
・再生可能エネルギーの変動調整機能およびその付帯設備ならびに当該機能およびに付帯設備を制御、運用するために必要な機器および設備
・データセンターの高効率空調・冷却に関する設備およびその付帯設備
・電力供給に必要な設備
③①②に加え、
・ICT機器およびその付帯設備
・ICT機器等を収納する外装箱
補助率
2分の1
補助上限額
①10億円
②3億円
③1億円
参照
脱炭素技術等による工場・事業場の省CO₂化加速事業(SHIFT事業)
令和7年度要求額:68.60億円 ※令和6年度要求額:90億円
令和7年度環境省概算要求より抜粋
脱炭素経営の潮流と2050年カーボンニュートラルの達成に向けて、工場および事業場におけるエネルギー起源のCO₂削減を目指す環境省の補助事業です。太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーと省エネ設備が対象で、再生可能エネルギーのみの導入は補助対象外です。太陽光発電設備などを対象とする場合には、必ず省エネ設備も併せて導入する必要があります。
補助事業は計画策定支援事業と設備更新支援事業に分かれます。
補助対象事業
①CO₂削減計画策定支援
中小企業等の工場・事業場におけるCO₂削減目標を定める計画の策定支援
②省CO₂型設備更新支援
①で策定した計画あるいは同等の計画に基づいて、CO₂を削減する設備への更新を支援
A:標準事業・・・一定割合以上のCO₂を削減する計画に基づく設備更新を支援
B:大規模化・燃料転換事業・・・大規模な電化・燃料転換を伴う設備更新を補助
C:中小企業等・・・CO₂削減量比例型の設備更新を補助
補助対象経費
①人件費、業務費、一般管理費
②エネルギー使用設備機器(空調設備・給湯器・コージェネ・冷凍冷蔵設備など)、エネルギー供給設備機器(低炭素燃料供給設備および受変電設備・再生可能エネルギー発電設備・太陽熱供給設備・コジェネレーション発電設備)
以上の対象設備機器の導入および更新に係る工事費・設備費・測量試験費等
補助額・率
①50万円または100万円
②
A・B事業:1/3
C事業:いずれか低い補助額
(i)年間CO₂削減量×法定耐用年数×7,700円
(ii)補助対象経費の1/2
補助上限額
①補助額に同じ
②
A事業:1億円、B事業:5億円、C事業:補助額に同じ
参照
SHIFT事業に関しては以下コラムでも詳しく解説しています。
建築物等のZEB化・省CO₂化普及加速事業
令和7年度要求額:100億円 ※令和6年度要求額:47.19億円
令和7年度概算要求資料より抜粋
- ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業
- 新築建築物のZEB普及促進支援事業
- 既存建築物のZEB化普及促進支援事業
- 非住宅建築物ストックの省CO₂改修調査支援事業
- LCCO₂削減型の先進的な新築ZEB支援事業
- LCCO₂削減型の先導的な新築ZEB支援事業
- ZEB化推進に係る調査・普及啓発等検討事業
- 国立公園利用施設の脱炭素化推進事業
- 水インフラにおける脱炭素化推進事業
- CE✖️CNの同時達成に向けた木材再利用の方策等検証事業
- 省CO₂化と災害・熱中症対策を同時実現する施設改修等支援事業
- 業務用施設における省CO₂化・熱中症対策等支援事業
- フェーズフリーの省CO₂独立型施設支援事業
- サステナブル倉庫モデル促進事業
ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業
2050年カーボンニュートラル、2030年温室効果ガス46%削減をターゲットに、建築物等のZEB化・省CO₂改修を支援する環境省の補助事業です。ZEBは建物内で消費するエネルギーの全てを自家消費で賄う取り組みで、太陽光発電などの再生可能エネルギー設備、断熱設備、空調・給湯設備、需変電設備などが補助対象です。
補助対象事業
①新築建築物のZEB普及促進支援事業
②既存建築物のZEB普及促進支援事業
業務用建築物にZEBの実現に必要な省エネ・省CO₂性の高いシステムや高性能設備機器等を導入する事業。新築の場合は、太陽光発電システム等の再生可能エネルギー設備の導入が必須要件となります。
③非住宅建築物ストックの省CO₂改修調査支援事業
既存建築物ストックの省CO₂改修によるZEBの達成可能性・省CO₂効果についての調査を支援する補助事業です。
補助対象経費
断熱設備、空調・給湯設備、換気設備、再エネ設備、電源設備、BEMS、WEBPRO未評価技術15項目、省エネルギー性能表示設備
以上の設備費・工事費・事務費・その他費用
補助率
4分の1、3分の1、2分の1、3分の2
補助上限額
3億円もしくは5億円
参照
(参照)新築建築物のZEB普及促進支援事業既存ZEB普及促進支援事業(R5補正)一社静岡環境資源協会
サステナブル倉庫モデル促進事業
物流倉庫などの物流施設において、省CO₂型省人化機器等および再生可能エネルギー設備を同時導入する事業を支援する環境省の補助金です。物流業界の人手不足問題の解消とあわせてCO₂削減、また災害時のサプライチェーンの維持などの地域課題の解決も目指します。
補助対象事業
省CO₂化・省人化機器等の導入によるエネルギー消費削減、保管作業や荷役作業の省人化に伴う照明・空調のエネルギー消費削減、再エネ設備の導入によるエネルギー供給を同時に行う事業
補助対象経費
【省CO₂化・省人化機器】
無人フォークリフト、無人搬送車、無人牽引車、自動化倉庫設備等
【再生可能エネルギー設備】
太陽光発電設備等
以上の設備・機器を導入のために必要な工事費・設備費・業務費および事務費
補助率
2分の1
補助上限額
1億円
参照
(参照)公募情報|サステナブル倉庫モデル促進事業|公益社団法人北海道環境財団(環境省補助金専用サイト)
以上、環境省の補助金で太陽光発電に使える補助事業をご紹介しました。2050年カーボンニュートラル、2030年温室効果ガス46%削減の達成に向けて、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入拡大は重要な役割を担っていることから、関連省庁である環境省はさまざまな補助事業を展開しています。
また、太陽光発電に使える補助金は環境省だけでなく、経済産業省、国土交通省、各自治体も用意しています。詳細は補助金大全をダウンロードいただければ幸いです。