自家消費型太陽光発電と蓄電池は好相性|メリットとデメリットを解説
太陽光発電 更新日: 2024.08.26
自家消費型太陽光発電の導入を検討されている方の中には、蓄電池と併用するべきか迷われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
電気代高騰や脱炭素への貢献などを背景に、自社に太陽光発電システムを導入する企業が増えています。しかし蓄電池の価格が割高な面もあり、初期費用回収期間が長期化するなどの懸念点もある状況です。
本記事は自家消費型太陽光発電と蓄電池の併用がおすすめの理由やメリット・デメリット、費用感も分かる内容となっていますので、ぜひご参考ください。
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現在の太陽光発電は自家消費が主流
発電した電気をまずは自家消費する太陽光発電システムは、数年前までは住宅用がメインで、産業用太陽光発電の導入目的は固定価格買取制度(FIT)を使った電力会社への売電がほとんどでした。しかし、近年のFIT価格の下落と電気料金の高騰によって、電気料金が売電価格を上回る逆転現象が起き、太陽光発電で得られる電力は自前で消費した方が経済的な状況となっています。
このため、最近では全量自家消費型の太陽光発電を自社に導入する企業が増えています。自家消費型太陽光発電がどのようなシステムか、なぜ今注目されているのか、背景を見ていきましょう。
自家消費型太陽光発電とは
従来の産業用太陽光発電は、売電型や投資型で売電収入を得るモデルが主流でした。電力会社へ売電で収入を得るのではなく、自社で利用して消費するのが自家消費型太陽光発電です。電気の自家消費で電力コストを削減し、利益率を改善することが自家消費型太陽光発電導入の目的になります。自家消費型太陽光発電は全量自家消費型と余剰売電型の2種類あり、違いを表にまとめました。
比較項目 | 全量自家消費型 | 余剰売電型 |
自家消費割合 | 全て | 少なくとも30% |
向いている企業 | 工場や冷凍冷蔵倉庫、スーパー・ドラッグストアなど屋根面積が広く、かつ電力消費量が大きい事業所を所有する企業 | 介護福祉施設や事務所、物流倉庫など電力消費量が小さかったり、屋根があまり大きくない事業所の企業 |
運転開始前に必要な対応 | 電力会社側に電気が流れないよう制御するための機器取付が必要 | 電力会社に売電するための契約や連系が必要 |
消費電力量が少ない企業でも、コスト削減や防災対策が目的などの状況によっては全量自家消費型もおすすめです。電力会社から電気を買う電気料金の方が、売電で得られる収入よりも割高になったことから、できるだけ発電量は売電せず消費した方が経済的で、初期投資費用の回収も早くなる傾向にあります。
自家消費型太陽光発電が注目される背景
2012年に再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)が開始されて以降、再生可能エネルギーでは太陽光発電が最も普及しています。従来はFIT制度を利用した売電収入を得る産業用太陽光発電が主流でしたが、売電単価は年々価格が下がっている状況です。売電単価が下がっていることにより、売電を目的とした産業用太陽光発電の利益率が以前よりも低下してきています。
このような中、電気料金値上がりへの対策で、売電型よりも利益率が高い自家消費型太陽光発電が注目を集めるようになりました。2020年10月に当時の菅首相が行ったカーボンニュートラル宣言以降は、脱炭素・CO₂排出削減という面でも注目され、脱炭素化を図りたい企業による導入が加速しています。
また、初期投資費用を第三者が負担することで0円で自家消費型太陽光発電システムを導入できる「PPAモデル」も登場し、自家消費型太陽光発電の普及拡大の追い風になっていると言えます。
自家消費型太陽光発電は蓄電池と併用がおすすめ
太陽光発電システムを導入するだけでも、電力の自家消費は可能です。しかし雨天時や夜間は太陽光発電システムからは電力の供給がないほか、導入先の工場などでの一日を通した電力使用の傾向と太陽光発電の時間帯別の発電量がある程度マッチしていないと、購入する電力量が増えてしまい経済効果が不安定になりかねません。
そこでおすすめしたいのは、蓄電池との併用です。以下では蓄電池の役割や太陽光発電との併用がおすすめな理由を説明します。
蓄電池とは
蓄電池は充電式電池のことで、二次電池とも呼ばれます。一度電力を使い切っても、充電すれば繰り返し使用できる特性があります。主な蓄電池の種類は、以下の6つです。
- リチウムイオン電池
- ニカド電池
- ニッケル水素電池
- 鉛蓄電池
- NAS電池
- 全固体電池
中でもリチウムイオン電池はほかの3種類よりもエネルギー密度が高く、電気自動車にも搭載されています。太陽光発電システムと併用して導入される蓄電池も、リチウムイオン電池を採用した蓄電池が多い傾向です。
ほかには、NAS電池と全固体電池が挙げられます。NAS電池は、株式会社日本ガイシと東京電力が共同で開発した世界初の実用大容量蓄電システムです。産業用蓄電池として大型施設や工場などの停電対策として導入され、大容量・高エネルギー密度・長寿命が特徴で、エネルギー密度が高いことからエネルギーあたりの体積のコンパクトさにも優れています。
最近ニュースなどでも見聞きする全固体電池は、電流を発生させるために必要な電解質を、通常液体であるところを固体にした仕組みの電池です。エネルギー密度はリチウムイオンの3倍で、充電に要する時間は3分の1に短縮されると見込まれています。
蓄電池の役割
蓄電池が持つ役割は、以下の2つです。
- 電気代削減
- 緊急時の非常用電源
燃料費が高騰する以前から、電気料金は高い状態が続いています。このため、企業にとって電気代などの固定費削減が課題になっている状況です。また近年では、BCP対策や脱炭素を促進する目的で、蓄電池を導入する企業も増えています。
太陽光発電と蓄電システムをセットで導入することにより、自家消費できない分の電気を蓄電池に蓄えられれば購入する電力量が減少し、電気代削減効果を高められるほか、再エネ由来の電力を最大限利用することでCO₂の排出削減につながり、また停電時に非常用電源として利用でき防災対策にも有用です。
自家消費型太陽光発電と蓄電池の併用がおすすめな理由
太陽光発電の電気を全量自家消費する運用で、蓄電池なしの場合だと電力を消費しきれないケースがあります。蓄電システムを自家消費型太陽光発電システムと併用し蓄電する仕組みがあれば、発電した電気をより効果的に活用できます。
実際に環境省が紹介している太陽光発電と蓄電池の導入事例集では、自家消費率が9割を超える事例が多数です。
- 【経済効果】電気の自家消費率と電気代削減効果のアップ
- 【脱炭素】再エネ電力の自家消費率アップによるCO₂排出量の削減
- 【防災対策】停電時の非常用電源・BCP対策
上記の3点について、自家消費型太陽光発電システムのみでも同様の効果は得られますが、天候や運用状況によって効果が最大化しにくいことは事実としてあり、蓄電池を併用することで、運用上の不足を補い太陽光発電のポテンシャルを最大限発揮させられるため併用がおすすめです。
以下から、詳しく見ていきましょう。
(参照)自家消費型太陽光発電・蓄電池の導入事例集|環境省
自家消費型太陽光発電と蓄電池を併用する5つのメリット
自家消費型太陽光発電と産業用蓄電池を企業が設置する際のメリットは、5つあります。
- 天候や時間に左右されずに自家消費できる
- デマンドコントロールで電気代削減の可能性がある
- BCP対策で非常用電源として利用できる
- 脱炭素やカーボンニュートラルに貢献できる
- 補助金制度が整えられているため導入費用を抑えられる
具体的にどんなメリットが得られるのか、解説していきます。
天候や時間に左右されずに自家消費できる
太陽光発電は陽の光をエネルギー源として、電気を作り出す仕組みです。このため太陽光発電設備単体の場合、夜間や雨の日などは自家消費できません。
蓄電池を併用していれば余剰分の電力を蓄えられるため、太陽光発電の電気を自家消費できる割合が増えます。天候や時間に左右されることなく、蓄電池に蓄えた太陽光発電の電気で自家消費できる点が併用のメリットです。
また、小さな規模から自家消費型太陽光発電と蓄電池を自作する事で部分的なオフグリッドを行い、電気代節約に取り組む方も増加傾向にあります。
デマンドコントロールで電気代削減の可能性がある
デマンドコントロールとは、電気の消費量がピークとなる時間帯に使用する電力量を減らし、基本料金が低くなるように調節することです。電気料金の基本料金は最大デマンド値と呼ばれる、一日の消費電力を30分コマに区切った際の最大値によって決定します。
自家消費型太陽光発電と蓄電池の併用で、各時間帯の電力消費量を上手く調整できれば、この最大デマンド値を下げ、基本料金が下がる可能性があります。月々の基本料金が抑えられれば電気代削減に繋がる点が、自家消費型太陽光発電と蓄電池併用のメリットです。
ただ、最大デマンド値は一度でも最大値を更新してしまうと、基本料金の単価がその値に応じて変更されてしまうため、蓄電池によって最大デマンド値を下げる運用をしたい場合はとりわけ注意が必要です。
BCP対策で非常用電源として利用できる
BCP(Business Continuity Plan)とは、企業における事業継続計画を指します。大規模な自然災害や火災などが起きた場合に備えて、平常時に準備しておくことと緊急時の動き方を決め、事業への損害を最小限に留めることがBCP対策の目的です。
自然災害で停電になり復旧に時間がかかると、工場の製造ラインが止まったり、店舗の営業ができなくなったりします。こうした停電時に蓄電池の電気を使えれば、災害による損害を少なくできます。非常時の電源を確保してBCP対策にもなることが、太陽光発電と蓄電池併用のメリットです。
脱炭素やカーボンニュートラルに貢献できる
世界中で対策に取り組んでいる脱炭素やカーボンニュートラルに貢献できる点も、太陽光発電と蓄電池を併用するメリットです。日本における電力の主力は火力発電で、以下図表から分かるように7割以上を占めています。
(出典)今後のエネルギー政策について|経済産業省資源エネルギー庁
燃やすと二酸化炭素(CO₂)を排出する化石燃料を燃焼させた火のエネルギーで発電する方式が、火力発電です。カーボンニュートラルが全世界規模で求められる中、CO₂排出の大きな要因となっている火力発電は削減していく方向性にあり、発電時にCO₂が発生しない太陽光発電の電気を蓄電池に蓄えて自家消費量を増やせば、火力発電に頼る割合を減少させていくことができます。
企業においても、自家消費型太陽光発電と蓄電システムの併用で、電気の自家消費率が向上すれば、CO₂を削減できて脱炭素やカーボンニュートラルにつながるでしょう。
補助金制度が整えられているため導入費用を抑えられる
脱炭素やカーボンニュートラルを推進する方法として、蓄電池は政府が導入を推奨している設備の1つです。このため、国や自治体によって蓄電池導入を支援するための補助事業が幅広く展開されています。年度初めや補正予算案が可決・成立後のタイミングで、公募が始まるのが一般的です。補助金制度で細かく決められている条件を満たせば、補助金が給付されます。
蓄電池の製品価格や設置工事費が年々減少傾向にあるとはいっても、費用相場はまだ割高な状況が続いています。補助金を利用して導入費用を抑えられる点が、太陽光発電と蓄電池を併用するメリットの1つです。
蓄電池の導入で活用できる各種補助金制度は、この後ご紹介します。
以下からは、自家消費型太陽光発電および蓄電池の導入で使える補助金をまとめた資料を、無料でダウンロードできます。どうぞ併せてご参考ください。
自家消費型太陽光発電と蓄電池を併用する3つのデメリット
自家消費型太陽光発電と蓄電システムの併用には、デメリットになってしまう部分もあります。
- 設置スペースの確保が必要
- 製品寿命が短く交換が必要
- 投資回収までの期間が長い
メリットがあれば必ずデメリットもあるもので、導入検討の際にはこの3点についても考慮しておきましょう。
設置スペースの確保が必要
蓄電池の設置のためには、ある程度広いスペースが必要な点がデメリットと言えます。容量別に蓄電池の外形寸法の例を、表にまとめました。
メーカー | 型番 | 蓄電容量 | 外形寸法 |
田淵電機 | EIBS7 | 7.04kWh | 幅580×高さ1,070×奥行370mm |
ニチコン | DS2016A | 16.2kWh | 幅1,714×高さ1,930×奥行740mm |
エネルギーギャップ | EGS2600J/5200J/7800J | 26.1kWh/52.2kWh/78.3kWh | 幅800×高さ1,900×奥行1,000mm(EGS2600Jのみ) 幅1,600×高さ1,900×奥行1,000mm |
Sungrow | ST159KWH-50HV | 159kWh | 幅1,800×高さ2,400×奥行1,000mm |
蓄電池は基本的に地上にコンクリート基礎で設置します。蓄電池の周辺は災害対策で1m程度離隔を取る必要があるほか、直射日光のあたらない日陰でかつ塵粉や鉄粉が降りかからない場所が適当で、蓄電池の大きさによっては適した設置場所がない可能性があります。蓄電池の容量は、主に太陽光パネルの発電量と負荷設備の消費電力量で決定しますが、事前に設置場所もあわせて検討しておくと良いでしょう。
製品寿命が短く交換が必要
近年主流のリチウムイオン蓄電池の寿命は、一般的に10~15年です。一方で太陽光パネルは効率よく発電できる期間が25~30年程度までと言われ、蓄電池と太陽光発電をセットで同時に導入する場合、蓄電池のほうが先に寿命を迎えます。寿命を迎えた際には、現状では蓄電池そのものの買い替えが必要です。
蓄電池の寿命には種類や容量、サイクル数が関係し、容量とサイクル数が多い方が寿命は長くなる傾向にあります。サイクル数とは、充電と放電を1セットとして捉え、何回充放電を繰り返すことができるかを表した単位です。1サイクルのカウントは、蓄電池が空の状態からフル充電を行い、充電が0%まで使い切ると1サイクルとしてカウントされます。
実際の運用においては蓄電池の容量が0になることはなく、非常時に使えるように常に一定量の残容量が設定されています。そのため、運用におけるサイクルのカウントは充放電が繰り返された積上げによって回数が重なっていきます。
(参照)2040年、太陽光パネルのゴミが大量に出てくる?再エネの廃棄物問題|経済産業省 資源エネルギー庁
投資回収までの期間が長い
蓄電池は価格が下がっている傾向ですが、それでもまだ金額は割高と言えます。このため太陽光発電のみの場合と比べて、蓄電池を導入する場合の投資回収期間が長くなるデメリットがあります。一般的に言われている初期費用の回収期間は、以下のとおりです。
- 太陽光発電のみ:10年程度
- 太陽光発電と蓄電池を併用:10年以上
太陽光発電に蓄電池を組み合わせれば、自家消費できる電力量が増加して利益率が向上するため、投資回収完了までの期間はそこまで長くならないと考えられそうですが、しかし実際には太陽光発電単独よりも回収期間が長くなる現状があるのは、まだ蓄電池の費用が割高なことが理由と言えます。
蓄電池の導入費用相場
産業用蓄電システムの導入時に必要な費用の相場は、工事費込みで14.9万円/kWhです。ただ、この金額は全体の平均値であり、蓄電池容量や導入場所、運用方針によってばらつきがある点に留意が必要です。
蓄電池の設置は、導入する設備の環境や設置条件によって必要な作業が異なります。例えば、太陽光発電と蓄電池の物理的な距離が離れている場合は、接続するケーブルの配線距離が長くなるためその分費用が上がります。
ここからは、業種別に、太陽光発電と蓄電池を併用して導入する際の費用を見ていきましょう。
(参照)定置用蓄電システムの普及拡大策の検討に向けた調査|株式会社三菱総合研究所
製造業の蓄電池導入費用
工場の屋根など設置スペースが広く、電力消費量も大きな製造業では、大規模な太陽光発電システムと蓄電システムが導入されるケースが多くあります。規模が大きい蓄電システムには、容量100kWh以上の蓄電池を採用するケースもあり、初期費用は平均で2,000万円前後です。
製造業は自家消費型太陽光発電の導入に積極的な業界の1つで、その背景には日本で排出されるCO₂の多くを排出している現状があり、カーボンニュートラルへの意欲が強いことが挙げられます。昨今の電気代高騰もあり、電気代削減とCO₂削減の面で太陽光発電と蓄電池をセットで導入する製造業企業が相次いでいます。
介護福祉業の蓄電池導入費用
介護福祉業では施設の規模や事業形態により、必要な蓄電池容量が変わります。デイサービスを提供している施設の場合は10kWh未満が適当で、導入費用は120万~140万円程度(パワコン機能を備えたハイブリッド型)が目安となります。
利用者が入所するタイプの介護施設などは、デイサービスよりも電力消費量が大きいほか夜間にも電力消費があるため、20~50kWh程度の蓄電池が必要になります。kWhあたりの導入費用の目安は400万~1,000万円程です。
卸小売業の蓄電池導入費用
スーパーやドラッグストアを運営する卸小売業には、蓄電池容量50~100kWhが適しています。50kWhの場合は、100kWh程度ではが目安となります。
以下の図表は関東圏内にある食品スーパーの時間帯ごとの電力消費量をグラフ化したものです。
(出典)2.飲食料品小売業のエネルギー消費|農林水産省
営業時間中はもちろん、冷凍冷蔵ケースがあるため営業時間外にも一定数の電力を消費していることがわかります。日中は太陽光発電の電気を直接自家消費し、太陽光発電が発電しない夜間や早朝は蓄電池に蓄えた電気を利用することで固定費削減が見込めるでしょう。
蓄電池の導入に利用できる補助金
初期費用が割高な蓄電池ですが、導入のタイミングによっては補助金制度を利用できる可能性があります。補助金は大きく分けて国が推進する事業と、自治体が個別に実施するものの2種類です。蓄電池の導入にはどのような補助金を利用できるのか、ご紹介します。
需要家主導補助金|経済産業省
経済産業省から出ている補助金で、メインはオフサイトPPAを目的とした太陽光発電設備に係る導入費用の補助ですが、蓄電池も併設する場合は蓄電池にも補助金が出ます。また、FIP認定設備に蓄電池を設置する事業にも補助が出ており、2通りの補助事業が展開されています。
補助事業 | 補助対象設備 | 補助率 |
需要家主導型太陽光発電導入支援事業 | 太陽光発電設備等
蓄電池 |
太陽光発電:2/3あるいは1/2
蓄電池:1/3 |
再エネ電源併設型蓄電池導入支援事業 | 蓄電池 ※FIP認定取得が必須 |
1/2または1/3 |
ストレージパリティ補助金|環境省
環境省から出ている太陽光発電設備と蓄電池の導入を補助する補助金です。ストレージパリティとは、蓄電池を導入した方が経済的メリットがある状態を指し、蓄電池の価格低減に特に注力している補助金になります。蓄電池の導入は必須で、採択にはしっかりとした運用計画が求められます。
補助対象設備 | 補助額 |
太陽光発電設備
蓄電池 |
太陽光発電:5万円/kW(オンサイトPPA、リース)、4万円/kW(自己所有)
産業用蓄電池:5.3万円/kWh ※太陽光発電を新設する場合のみ、蓄電池とセットで補助対象となる |
ソーラーカーポート補助金|環境省
駐車場を利用した自家消費型太陽光発電であるソーラーカーポートの導入を補助する事業です。環境省から出ています。太陽光発電と併せて蓄電池も対象で、蓄電池の導入は必須ではありませんが、併用する事業の方が採択の可能性は高まります。地上に設置する定置用蓄電池のほか、車載型蓄電池つまりEVも対象です。
補助対象設備 | 補助額 |
太陽光発電一体型カーポート
太陽光発電搭載型カーポート 定置用蓄電池 車載型蓄電池 車載型蓄電池の通信・制御機器 車載型蓄電池の充放電設備 |
1/3
※車載型蓄電池関連は別計算 |
営農地・ため池・廃棄物処分場補助金|環境省
ソーラーカーポート補助金の兄弟のような補助金で、ソーラーカーポート補助金の適用場所が駐車場であるのに対して、こちらは農地・ため池・廃棄物処分場に太陽光発電設備を設置する際に使える補助金です。蓄電池を併設する場合は蓄電池も補助対象です。発電で得られる電気は、太陽光発電設備と隣接する設備や農林水産業用の施設、公共施設で全量消費する必要があり、活用できる場面は限られます。
補助対象設備 | 補助額 |
太陽光発電設備
定置用蓄電池 自営線 エネルギーマネジメントシステム 受変電設備 |
1/2 |
自治体による補助金
静岡県と愛知県、東京都の3つの自治体を例としてご紹介しますが、他自治体においても同等の補助事業が展開されています。自治体の補助事業は国公募のものとは少し傾向が違い、要件を満たしていれば先着順で採択されていくことがあります。
都道府県 | 静岡県 | 愛知県 | 東京都 |
補助対象者 | 静岡県内に事業所を有する各種法人、組合 | 愛知県内で事業を営む法人及び個人事業主 | 東京都内に事業所を有する各種法人、組合 |
補助対象設備 | 太陽光発電設備
蓄電池 |
太陽光発電設備
蓄電池 |
太陽光発電
蓄電池 |
補助額 | 太陽光発電:4万円/kW
蓄電池:6.3万円/kWh(家庭用は5.2万円/kWh) |
太陽光発電:5万円/kW
蓄電池:1/4(大企業)、1/3(中小企業、個人事業主) |
太陽光発電:2/3
蓄電池:3/4 |
表に掲載した補助金事業は一例です。公募は年度初めに行われることが多いため、補助金を利用したい場合は自治体のホームページをこまめにチェックすることがおすすめです。
まとめ
自家消費型太陽光発電と蓄電池は相性が良いシステムです。併用することにより、以下5つのようなメリットが得られます。
- 天候や時間に左右されずに自家消費できる
- デマンドコントロールで電気代削減の可能性がある
- BCP対策で非常用電源として利用できる
- 脱炭素やカーボンニュートラルに貢献できる
- 補助金制度が整えられているため導入費用を抑えられる
一方でデメリットとなる部分もあるため、自家消費型太陽光発電と蓄電池の併用を開始する前に費用対効果のじゅうぶんな検討が必要です。
- 設置スペースの確保が必要
- 製品寿命が短く交換が必要
- 投資回収までの期間が長い
自社の電気代削減や脱炭素対策でお悩みの方は、本記事を参考に自家消費型太陽光発電と蓄電池導入を検討されてみてはいかがでしょうか。