Column コラム

エネルギーマネジメントとは|脱炭素と電気代高騰に対応する企業のかしこい選択

電気料金 更新日: 2022.04.12

東日本大震災以降、電力供給への不安や電気料金の高騰が発生し、「エネルギーマネジメント」という省エネなど電力の効率的な使用を促す活動が注目されるようになりました。

そしてその9年後の新型コロナウイルスによって、またも日常生活や企業の経済活動は変化を余儀なくされ、エネルギーの省エネだけではない、企業活動そのものを変革させる意味合いをも持つようになってきました。

混同しやすいEMSとの違いにも触れながら、企業が取り組むべき最新のエネルギーマネジメントをご紹介します。

昨今のビジネス潮流であるカーボンニュートラル・脱炭素への対応にも、エネルギーマネジメントは貢献します。以下の資料では、脱炭素経営を実現するための手法をまとめておりますので、ぜひ貴社での活動にお役立てください。

 

 

エネルギーマネジメントとは

エネルギーマネジメントとは会社の事務所やビル、工場、住宅、地域などのエネルギー使用を見える化し、効率的に使用するための企業や個人、地域の活動を指します。

具体的にはEMSを導入することによるエネルギー使用の見える化であったり、太陽光発電で発電した電気を事務所などで使う自家消費であったり、高効率な機器への入れ替えによる省エネだったりです。

エネルギーマネジメントを縮めて「エネマネ」とも呼びます。

EMSとの違い

EMSはEnergy Management System(エネルギーマネジメントシステム)の略で「エムズ」と呼びます。エネルギーの使用状況を見える化し、制御できるシステムです。

エネルギーマネジメントとEMSの違いは、エネルギーマネジメントが省エネ活動全体を指し、EMSはその活動の一部だという点です。EMSは現在のエネルギー使用を把握できるため、エネルギーマネジメントではまず最初に導入すべきシステムと言えます。

EMSには導入する設備や場所により、BEMSやHEMS、FEMSなどと呼ばれます。BEMSは企業の事務所やビル(Building)、HEMSは住宅(Home)、FEMSは工場(Factory)に導入するEMSを指します。他にはCEMS(Community:地域)、MEMS(Mansion:マンション)などがあります。

 

エネルギーマネジメントの実施-効果的なサイクル

エネルギーマネジメントの取り組みは、EMSによる現状の見える化→分析→改善施策立案→太陽光発電や蓄電池の導入→見える化による実施施策の効果測定→分析→改善施策立案...というPDCAのような一連のサイクルで回っています。

見える化

EMSによるエネルギー使用の見える化を図ります。EMSがないと電気やガス、水道などのエネルギーがどこでどれだけ使われているのかがわからず、省エネをしようにも改善すべき箇所がわかりません。そのため、現状把握に必須のシステムです。また、改善策実施後の効果測定にも欠かせず、エネルギーマネジメントによる省エネの実現はEMSの導入が大前提です。

分析

見える化により得られたデータを分析します。省エネを妨げている要因はどこなのか、改善策による効果がどの程度あったのかを効果測定します。

改善策立案

分析により得られた結果から、改善計画を立案します。

実行

立案した改善策を実行します。実行した後は再び、見える化→分析...という一連のサイクルを絶えず実行していきます。

 

エネルギーマネジメントが必要な理由-なぜ必要か

EMSによるエネルギーの見える化から始まるエネルギーマネジメントですが、なぜ今注目され、企業に必要とされているのでしょうか。

理由はこれまでの省エネという価値に加え、昨今のRE100やRE Action、SDGsといった環境や社会を巻き込んだビジネスの潮流を受け、エネルギーマネジメントにも新たな付加価値が見出されたためです。

経済的なメリット

まずは経済的なメリットです。

エネルギーマネジメントに取り組めば、割高な電気の使用量を抑えることができます。
無駄なエネルギーを省く省エネ効果が得られ、電気代などのコストを削減し企業の利益体質を改善できます。

コスト削減は企業経営において普遍的な課題ですが、なぜ今またエネルギーマネジメントの省エネなのでしょうか。

ポイントは3つです。

  • 電気料金の高騰
  • 太陽光発電設備の値下がり
  • 売る電気よりも買う電気の方が高い→自社で使った方が経済的

|電気料金の高騰


出典:資源エネルギー庁資料より作成

東日本大震災による甚大な被害が1つの要因となり、電気料金は2011年から値上がり傾向にあります。確認の取れた直近データとして、2019年度の17.0円は相当高い水準です。そしてこの高騰は、今後も高水準で推移していくことが予想されます。

再生可能エネルギー導入拡大のための賦課金の増大、東日本大震災により発生した賠償金負担および廃炉費用負担、容量市場の約定額負担が今後発生してくる、物によってはもうすでに発生しているためです。

こうしたすでに明らかになっている今後の上昇要因をできるだけ回避するために、省エネ、また買う電気をできるだけ減らす取り組みが必要なのです。

|太陽光発電設備の値下がり

太陽光発電は固定価格買取(FIT)制度下において、最も導入の進んだ再生可能エネルギーです。業者間の好意的な競争のおかげで、コストは10年前からは80%、5年前からは60%、3年前からは10%下落し、低コスト化が進んでいます。


出典:資源エネルギー庁資料より作成

太陽光発電の構造は半永久的に発電でき、効果的に発電できる期間はおよそ30年と言われています。

低コスト化が進んだことで、FIT価格の下落が進む現在でも10年程での投資回収が可能で、補助金や税制優遇を使えばさらに回収を早めることが可能です。少なくとも20年間は、電気代削減効果が期待できるのです。

|売る電気よりも買う電気の方が高い→自社で使った方が経済的

FIT価格(売電単価)の下落、そして電気料金の高騰から、太陽光発電で発電した電気の売電収入と電気を買う買電費用の逆転が数年前から発生しています。

つまり、発電した電気を売るのではなく自社で使う方が経済的なメリットがある、ということです。


出典:資源エネルギー庁資料より作成 ※2020年以降の電気料金は予測値

自社で使うことを「自家消費」と呼んでいますが、自家消費することで買う電気よりも安い電気を使えるだけでなく、その分の電気の購入量をおのずと削減することにもなるため、二重の電気代削減効果を得られます。


 

企業も再エネ導入を経営戦略とする時代

続いて、最近になって見出された新たな付加価値です。

RE100やRE Action、SDGsに代表される環境・社会・経済を相互連携させ、より良いものにしていく国際的なイニシアチブは、日本でも大企業を中心に取り組みが広がり、近年は中小企業や地方自治体においてもその波が押し寄せています。

コロナ禍からの復興を環境への投資で成し遂げようとする「グリーンリカバリー」が、合言葉のように叫ばれるようにもなりました。2020年以降を生きる企業の環境や社会への活動は、これまでのCSRのような責任という範囲に留まるものではなく、コロナにより痛みを伴ってもたらせたニューノーマルな世界のスタンダードになりつつあります。

|2050年カーボンニュートラル宣言

2020年10月に菅首相は、2050年までに日本国内での温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を宣言しました。「温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」ということは、消費電力量のすべてを再生可能エネルギーに置き換え、CO2などの温室効果ガスを全く排出しない、ということではありません。森林やCO2回収技術などを駆使し、温室効果ガスの排出と吸収をニュートラルな状態にすることを指します。

政府が全世界に向けてこのような宣言をしたことで、日本国民一人一人がこの目標を達成するべく行動する必要も発生しました。

事務所屋根などを活用した太陽光発電が必要

カーボンニュートラルを実現するためには、再生可能エネルギーのさらなる導入が欠かせません。再生可能エネルギーの導入または脱炭素化を経営戦略に組み込んでいる企業は増加傾向にはありますが、さらに環境への意識を強めていく必要があります。

なぜかというと、カーボンニュートラルを実現するためには、再生可能エネルギーの本丸である太陽光発電を300GW以上導入する必要がある(出典:一般社団法人太陽光発電協会)ためです。300GWは、現在の導入量の5倍に相当する数字ですが、それ以上に導入を進めていかなければなりません。

この300GWのうち、企業の事務所や工場などの屋根あるいは空いている用地への導入量は約64GW、約20%を企業において導入することが想定されています。


出典:一般社団法人太陽光発電協会

CO2の排出は約9割が企業によるもの

カーボンニュートラルの実現には再生可能エネルギーの導入拡大に加え、省エネや先進技術の導入によりCO2の排出を抑制する電力消費量の削減もカギとなります。

2018年度の日本国内のCO2排出量は約11億3,800万トン(出典:温室効果ガスインベントリオフィス)で、その約86%が産業部門つまりは企業からの排出です。

部門別で見ると鉄鋼業が2位以下に大きく差をつけトップ、その下には化学工業、乗用車、貨物自動車、窯業・土石製品製造業、農林水産業と続きます。これら産業に限った話ではありませんが、特にCO2排出の多い産業ではカーボンニュートラルを実現するために、ドラスティックな変化が求められています。

2035年までに新車販売の100%EV化は、到底一企業で通り組める目標ではありませんが、電力使用の見直しや太陽光発電の導入によるCO2排出の削減は、一企業で十分取り組むことができ、今後重要度を増していく経営戦略です。


出典:三菱UFJリサ―チ&コンサルティング・温室効果ガスインベントリ資料より作成


出典:三菱UFJリサ―チ&コンサルティング・温室効果ガスインベントリ

|サプライチェーンまでを含めた100%再エネ化の波

RE100という企業活動で消費するエネルギーをすべて再生可能エネルギーで賄う国際的な環境イニシアチブは、全世界で290社を超える企業が加盟し、日本からは50社が加盟しています(2021年3月時点)

RE100に加盟することは脱炭素化および再生可能エネルギーの普及に貢献していること内外にアピールできるだけでなく、昨今のESGを重要視するマーケットの側面からも無視できない評価基準となっています。加盟できるのは限られた世界的な大企業であるため、そうした意味でも一種のステータスとも言えます。


出典:JCLPウェブサイトより作成

RE100で求められている再生可能エネルギー100%は、加盟する自社だけの目標ではないことも特徴です。

加盟する企業のグループ会社や部品などを供給するサプライチェーンも、再生可能エネルギー100%を達成する必要があります(※条件あり)。自社は加盟していなくても、ある日突然、親会社や川上の取引先からの要請で、太陽光発電を導入したり再生可能エネルギー由来の電力を買ったりなどで、比率を上げていく必要が出て来るやもしれません。

例えば、Appleは2018年に全世界にある同社の施設すべてにおいてRE100を達成しました。同時に、2015年に立ち上げた「サプライヤー・クリーン・エネルギー・プログラム」において、日本を含めた全世界のサプライヤーに対して、同社に供給する部品製造などを行う生産活動で2030年までにRE100を達成することを求めています。

すなわち、再生可能エネルギー100%でなければ、もはやAppleとは取引できないということです。

こうした動きは、全世界の加盟企業290社のうち50社を日本が占めていることからも無関係の話ではなく、中小企業であっても、自社は加盟していなくとも、RE100を達成する必要が必ず発生してきます。そうした時に、太陽光発電の導入や再生可能エネルギーを取り扱っている新電力会社プランへの切り替えなどのエネルギーマネジメントは、再エネ比率を高めるための有力な選択肢となります。

 

BCP:災害やパンデミックなどの緊急事態への対応

新型コロナウイルスによって、我々は、未来は予見できない不確実なものであることを痛感しました。近年多発する豪雨や大型台風による被害、そして東日本大震災とどれも記憶に新しい出来事で、いつ起こるかわからない非常事態の頻度は以前よりも明らかに上昇しています。

企業がこうした緊急事態に直面した際に、できるだけ被害を最小限に抑え、迅速に事業を再開するために事前に対応方法などをまとめた計画をBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)と呼び、近年、非常に注目されています。

このBCPという観点からも、エネルギーマネジメントは重要な役割を果たします。

太陽光発電と蓄電池があれば、インフラが寸断された停電下でも電気が使え、スマホやPCを使った家族や社員との連絡が取れます。また、一刻を争う事態には、重要な判断を下す場面が多々発生しますが、その際に欠かせない情報収集も可能となります。

どんな活動にも電気は欠かせないインフラであり、緊急事態時でも電気を使えることが、迅速な事業再開を可能とするための最低条件と言えます。以上から、太陽光発電と蓄電池の導入というエネルギーマネジメントは、BCPにおいても重要視されています。


出典:帝国データバンク資料より作成


いま、エネルギーマネジメントに取り組む意義

|取り組まないという経営判断は重大なリスクと同義

ここまで紹介してきたように、経済的なメリット企業の再エネ化の波、そしてBCP策定があり、エネルギーマネジメントが注目されています。

電気料金の高騰やFIT価格の下落、カーボンニュートラルやRE100などは、どれも外的な要因に思えてしまいますが、今行動を起こさなければ電気代のコストは上昇し続け、再エネ化の波に乗れず取引先から除外されてしまいます。

エネルギーマネジメントに取り組まないことは、企業にとって重大なリスクを負うことと同義なのです。

|企業価値が上がり、新規案件の引き合いや優秀な人材を獲得できる

逆にエネルギーマネジメントに取り組めば、電気代を削減でき省エネとコストダウンが実現。

脱炭素や再生可能エネルギーへの貢献が評価され、円滑な資金繰りや新規案件の引き合い、優秀な人材をリクルートできる。

地震や大規模停電などの緊急事態に直面した際も、いち早く事業を再開できる。

企業価値が上がり、持続可能な企業の創造につながる。これこそが、いまエネルギーマネジメントに取り組む意義です。

 

中小企業ができるエネルギーマネジメント実践例

EMSの導入

現状の電力使用だけでなく、改善策実行後の効果も測定する「見える化」ツールのEMSは、エネルギーマネジメントを実施する上で欠かせません。上述したように、EMSは導入する場所や用途によって様々な呼ばれ方があり、それぞれにメーカーや商社から商品展開がされています。

まずは、自社のどこにEMSを導入したいのか、事業所なのか工場なのか店舗なのか。通常は最も電力使用量の多い場所に導入することが、最も効果的な省エネとなるはずです。

導入場所の目星がついたら、その場所に適したEMSを提供しているメーカーや商社に問い合わせてみましょう。
色々なEMSのおさらい:EMS(一般的には事業所)・BEMS(ビル)・HEMS(住宅)・FEMS(工場)・CEMS(地域)・MEMS(マンション)

|EMSを使った省エネ効果

一元化した管理システムの構築

企業の生産活動において、電力を消費するデバイス・機械は数多くあります。特に工場などの大規模な需要場所ではなおさらで、それらデバイスや機械の電力消費量のデータは、それぞれが独立して管理されているケースがあります。EMSによってこのデータを一つにまとめ、工場全体を管理する統一されたシステムを構築します。

コストをかけない省エネ

改善策の実行は、必ずしも効率の良い機器への買い替えや太陽光発電の導入だけではありません。EMSによって電力使用が見えるようになれば、エアコンの温度を調整したりアイドリングを止めたりすることだけでも、省エネができていることを実感できます。

太陽光発電の導入

太陽光発電は2012年から始まった固定価格買取(FIT)制度によって急速に普及してきましたが、これまでの太陽光発電はほとんどが「売電型」と呼ばれる、発電した電気の一部あるいは全量を売るモデルでした。しかしながら、上述のように近年の電気料金の高騰およびFIT価格の下落から、売るよりも使った方がお得になるため「自家消費型」が注目されています。

太陽光発電を導入することで、割高な電気料金の購入量を抑え、屋根上などで発電した割安な電気を使うことでの省エネ効果が得られます。さらに、自社で使う電力に占める再生可能エネルギーの比率を上昇させることもできます。

コストは年々下がり、多様な導入方法、中には補助金が出る導入方法もあるため、導入には適した時期と言えます。

|2021年以降の太陽光発電の導入方法

FITを使った導入-自家消費型太陽光発電

FITは数年前から自家消費を前提としており、発電した電気をまずは自社で30%以上消費した上で、余った余剰分をFIT制度の固定価格で売電します。FIT価格は電気料金よりも安いため、できるだけ使った方が、投資回収を早められます。

この導入方法では多くの場合、事業所や工場の屋根、あるいは敷地内の空地に設置します。

工場や倉庫に太陽光発電をつけたい

医療介護福祉施設に太陽光発電をつけたい

ドラッグストア・スーパーに太陽光発電をつけたい

PPA・TPO

PPA・TPOは第三者保有モデルと言われ、太陽光発電に出資する事業者が別にいるため、自社でPPA・TPOモデルを使って太陽光発電を導入する場合は、初期費用・ランニングコスト0円で導入できることが魅力です。

ただし、設置場所が自社事業所の屋根であっても、太陽光発電設備の保有はあくまで出資する事業者である点に注意が必要です。これが、初期費用・ランニングコストともに0円で導入できる理由です。

設備は事業者との取り決めによって多少異なりますが、10年ほど経てば無償で事業者から提供されます。

また、PPA・TPOには環境省から補助金が出ているため、今最も導入しやすい太陽光発電です。

PPA・TPOモデルはこちら

自己託送

屋根に太陽光発電を設置したいけど、スペースがなくて設置できない。空地もない。そういった場合でも、太陽光発電を導入できる仕組みが自己託送です。

電気を消費する事業所や工場などの需要地から離れた空地に設置した太陽光発電で発電した電気を、電力会社の送配電網を通して、電気を消費する事業所や工場に届ける仕組みです。電気の届け先はグループ会社内まで適応されるため、グループ単位での再生可能エネルギー率向上にも貢献します。

屋根にスペースがない。近くに空地もない。でも太陽光発電を導入したい。そんな時は自己託送です

蓄電池の導入

蓄電池は家庭用の比較的小規模なサイズから、工場や物流倉庫までをカバーできる大容量のものまで幅広いラインナップがあります。店舗や事業所なら7~12kWhほど、医療・介護施設なら12kWh以上のもの、工場クラスでは78kWh以上が一応の目安ですが、消費する電力量やバックアップしておきたい容量によって異なるため、販売店と相談しましょう。

価格は高いと思われがちですが、リチウムイオンバッテリーの技術革新と着実な普及によって下落しています。今後、EVが主流となることを考えれば、さらなる低コスト化も期待できます。

自社に合った蓄電池とは?

|蓄電池の省エネ効果

ピークカット-デマンド抑制

ピークカットは⼀⽇のうちで最も電⼒の使⽤量が多い時間帯に、蓄電池に貯めた電⼒や太陽光発電で発電した電⼒を使⽤することで、電⼒使⽤ピーク時に電⼒会社から買う電⼒量を減らします。

これによって最⼤デマンド値が抑えられ基本料⾦が削減でき、電⼒会社から買わない分の電⼒量料⾦も削減できます。

ピークシフト

ピークシフトもピークカットと同じく最⼤デマンド値を抑制する効果がありますが、ピークカットとは違って使⽤する電⼒量は変わらず、⼀⽇の時間帯によってばらつきのある使⽤電⼒量を均⼀にすることで最⼤デマンド値を抑えます。

例えば、電⼒をあまり使わない夜間に蓄電池に電⼒を貯め、電⼒をよく使う昼間に放電する使い⽅があります。

新電力への切り替え

新電力への切り替えは、最も簡単にできる電気代削減方法の一つです。ほとんどの場合、旧東京電力や旧中部電力などの大手電力会社よりも5%ほど安いプランが用意されています。

新電力と言っても、旧一般送配電事業者(旧東電や旧中電)が整備している送配電網を利用するため、電気の質は変わりありません。仮に新電力からの電気の供給が難しくなった場合でも、旧東電や旧中電から電気が供給されるので停電の心配はありません。

新電力は2021年3月時点で709社が登録されており、各社様々なプランが用意されています。その中から自社に合ったプランを探すことは、数が多いだけにハードルが高いと感じるかもしれません。

自社に合った新電力とは?

|新電力の選び方

基本料金と使用電力量

電気料金は大きく電気の使用に関わらず支払う基本料金と、使用した電力量に応じて支払う電力量料金とで構成されています。ここでは主要な3プランを紹介します。事前に電気量明細を確認して自社がどれくらい電気を使っているのか、どの時間帯が多いのかを把握しておくと選定が捗ります。

・基本料金 電力量料金

このプランでは、電力量料金が高めに設定されているため、あまり電気を使わない業態がおすすめです。基本料金0円で、電力量料金だけというプランも存在します。

・基本料金 電力量料金

このプランでは、基本料金が高めで電力量料金が割安に設定されており、日頃から電気を多く使う業態がおすすめです。

・2・3タイム制

朝~昼・夜の2タイム制あるいは朝・昼・夜の3タイム制をとるプランです。多くの場合、夜間が割安に設定されているので、夜間に多く電気を使う業態がおすすめです。

再エネプラン

太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー由来の電気を使えるプランです。

RE100などに加盟していることから、再生可能エネルギーの比率を上げたい企業におすすめのプランですが、RE100に適合するためには注意が必要です。再生可能エネルギー由来と言っても、発電場所から需要地へ電気を届ける際には既存の送配電網を使わざるを得ないため、他の火力や原子力由来のエネルギーと混ざってしまい、再生可能エネルギー由来の電気を買うだけではRE100に適合した電気とはみなされません。そのためRE100に対応するには、再生可能エネルギーの発電所で発電された電気であることを証明するトラッキング付き非化石証書のついた再エネプランを選ぶ必要があります。

再エネ(RE)プランを設けている新電力は数多くありますが、RE100に適合するためにはトラッキングされた再生可能エネルギーかどうかの確認をしましょう。

地域新電力

新電力会社のなかには、ある特定の地域のみに電気を供給している「地域新電力」と呼ばれる地域密着型の新電力があります。

特徴はサービス提供範囲が限定されている、その地域で発電した再エネを使えるプラン、資本はその地域の企業だけで成り立っている、地域通貨などの多彩な複合サービスなどです。これら特徴からわかるように、地域新電力は電力サービスを通した地域の活性化や地方創生を目的としています。東京一極集中の是正とも合致し、全国規模でこうした新電力会社が立ち上がっています。

競争力という面では大手の電力会社には劣ってしまいますが、地域に根差した企業にとっては、ともに地元を盛り上げていくパートナーとなるのではないでしょうか。

 

エネルギーマネジメントを導入したお客様の声

太陽光発電や蓄電池の導入、新電力への切り替えといったエネルギーマネジメントを導入されたお客様の声をご紹介します。

|マーブ工業株式会社 様 製造業・事業所

製造業のお客様で、事業所の屋根に太陽光発電を設置されました。その際に既存の電力契約を見直したことで、さらに電気代削減につながっています。

詳しい事例を見る

 

|静岡県浜松市 診療施設 様 医療・診療施設

太陽光発電の導入と新電力への切り替えをされました。営業時間の関係から消費電力のほとんどを太陽光発電で賄っておられます。

詳しい事例を見る

 

 

今後のエネルギーマネジメント

創る・省く・使う・蓄える

これまでのエネルギーマネジメントは、東日本大震災直後の電力不足を改善するためにスタートした背景から、省エネにフォーカスされていました。その後、上述したように社会情勢の変化によって、省エネだけではない再生可能エネルギーの導入拡大やBCP、企業価値の向上など新たな付加価値が見出されるようになりました。

エネルギーマネジメントは、これまでの省エネに重点が置かれた「省く」から、自前の太陽光発電によって電力を「創り」、省エネで「省く」、効率的に「使う」、余った電力は「蓄える」という4つのフェーズが有機的に連動する概念に変わりつつあります。

省エネによるコストカットを実現しつつ、持続可能な企業の創造に貢献するエネルギーマネジメントは、アフターコロナやWithコロナと呼ばれる時代に最適な経営戦略です。

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