【2026(令和8)年度】物流脱炭素化促進事業を解説|補助率1/2の倉庫限定補助金

補助金 更新日: 2026.01.28

【2026(令和8)年度】物流脱炭素化促進事業を解説|補助率1/2の倉庫限定補助金

物流業界では、脱炭素への対応が避けて通れない課題になっています。トラック輸送や倉庫運営では多くのエネルギーを消費し、CO₂排出量も少なくありません。一方で、物流は私たちの生活や産業を支える基盤であり、単純に活動量を減らすのは難しい分野です。

こうした背景のもと、国(国土交通省)が実施しているのが「物流脱炭素化促進事業」です。本事業では、太陽光発電や蓄電池、EV充電設備などを一体的に導入・活用により、最大1/2の補助率で設備投資を支援しています。

そこで本記事では、物流脱炭素化促進事業の概要や補助対象設備、申請要件について、令和7年度の公募要領をもとに解説。さらに倉庫・物流施設で太陽光発電と蓄電池を導入するメリットや注意点についてもまとめました。

脱炭素対応やエネルギーコスト削減を検討している物流企業の担当者様は、ぜひ参考にしてみてください。

 

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物流脱炭素化促進事業とは

物流脱炭素化促進事業とは、国(国土交通省)が物流の現場でCO₂を出しにくい仕組み・設備の導入を助ける制度です。具体的には、次のような場合に補助金が利用できます。

  • トラックの配送拠点や倉庫に太陽光発電を設置
  • 電気をためる大きな蓄電池を設置して夜も再エネ電気を使う
  • 電気トラックや電気フォークリフト、EV充電設備を導入

物を運ぶ場所を再生可能エネルギー中心にして、化石燃料から離れようとする取り組みともいえます。

物流向けである理由

この補助金は物流限定ではありますが、1/2と非常に高い補助率が設定されています。物流分野は、トラック輸送や倉庫運営など、多くのエネルギー・CO₂を消費します。一方で私たちの生活や産業を支える基盤でもあり、単純に縮小したり止めたりできません。

物流企業の倉庫や配送拠点は設備規模が大きく、エネルギーの使い方を変えてCO₂を削減する必要があります。そのため国は物流分野に特化した、物流脱炭素化促進事業を設けています。

国がこの事業を進める背景・目的

国の長期目標として、2050年のカーボンニュートラルが挙げられます。まずは中期目標である2030年までに、CO₂排出量を削減する必要があるでしょう。

しかし太陽光発電や蓄電池などの脱炭素設備は初期投資が大きく、企業によっては導入が進みにくい実情があります。そこで国が支援して企業の負担を減らし、業界全体の脱炭素化を底上げ。最終的に2050年のカーボンニュートラルの実現を後押しします。

(参考)国土交通白書2022 交通・物流の脱炭素化に向けた取組みの課題と方向性|国土交通省

 

物流脱炭素化促進事業の公募内容

物流脱炭素化促進事業補助対象設備
(引用)【2次公募】物流脱炭素化促進事業のお知らせ|パシフィックコンサルタンツ株式会社

物流脱炭素化促進事業は、国土交通省の事業を、パシフィックコンサルタンツ株式会社が事務局として実施する補助事業です。2026年(令和8年)の情報はまだないため、令和7年度の公募要領をもとに対象設備や補助要件を解説します。

令和8年度予算

令和8年度の予算情報は現時点で公開されていません。公募が実施されない可能性もあり得ますので、活用を検討されている倉庫事業者様は随時ご確認ください。
令和7年度の予算は12億円でした。

(参考)令和7年度国土交通省関係補正予算の配分について|国土交通省
(参考)令和8年度予算決定概要|国土交通省

補助対象事業

物流分野において、脱炭素化につながる設備や車両を一体的に導入する事業が対象です。水素または再生可能エネルギーを活用した、次のような取り組みが求められます。
 

取り組み内容 水素 再生可能エネルギー
創る
  • 水素製造設備の導入または活用
  • 水素の購入
  • 太陽光発電設備の導入または活用
  • 再エネ電力の購入
溜める・使う
  • 水素貯蔵設備の導入または活用
  • 水素充填設備の導入
  • 物流業務用FCV車両等の導入
  • 大容量蓄電池の導入または活用
  • EV充電スタンドの導入
  • 物流業務用EV車両等の導入

ただし水素でも再エネでも、創るから1つ以上、溜める・使うから2つ以上を導入し一体的な取り組みとすることが条件です。単に設備を導入するのが目的ではなく、再生可能エネルギーを実際の物流業務で継続的に活用することが重視されています。そのため、設備の組み合わせや運用方法まで含めた計画が求められます。

補助対象事業者・企業

物流脱炭素化促進事業では、次のような物流企業が補助対象となっています。

  • 倉庫事業者
  • 貨物運送事業者
  • 貨物利用運送事業者
  • トラックターミナル事業者

さらにこれらの事業者と共同で事業を実施する場合は、以下の事業者も認められています。

  • リース事業者
  • PPA事業者
  • 不動産事業者

ただし国交省の補助金停止・指名停止措置を受けていたり、暴力団排除規定に該当したりする事業者は対象外です。

補助率

補助率は、補助対象経費の1/2以内す。
水素を活用した取り組みは最大2.5億円、再生可能エネルギーを活用した取り組みは最大2億円と上限が定められています。

ちなみに既設設備は経費対象外になりますが、要件に含められます。これについての詳細は、下図に示すとおりです。

物流脱炭素化促進事業の対象設備
(引用)令和7年度物流脱炭素化促進事業(補助事業)公募要領【2次公募】|パシフィックコンサルタンツ株式会社

設備規模が大きくなりやすい物流施設にとって、補助率1/2は投資判断に大きく影響する水準といえるでしょう。

補助対象設備

営業倉庫または貨物運送事業者の集配施設に設置された設備が、補助対象です。具体的には以下の設備が挙げられます。

  • 水素関連設備
    • 水素製造設備
    • 水素貯蔵設備
    • 水素充填設備
    • 物流業務用FCV車両
  • 再生可能エネルギー関連設備
    • 太陽光発電設備
    • 大容量蓄電池
    • EV充電スタンド
    • 物流業務用EV車両
  • エネルギーマネジメントシステム(EMS)
  • 無人搬送車、無人配送ロボット等(先進的取組)

これらの設備は日本国内で定められている性能表示基準や安全基準、電気基準に適合している必要があります。

スケジュール・申請方法

令和8年度は未公表です。参考までに、令和7年度は以下のスケジュールで実施されました。

1次公募:令和7年5月13日(火)14:00~6月12日(木)16:00まで(必着)

2次公募:令和7年6月13日~7月11日

令和8年も4月下旬頃から、国土交通省の情報を気にしておくと安心です。

申請要件・注意点

物流脱炭素化促進事業の申請要件や注意点として、次の事項が挙げられます。

  • 創る・溜める・使うを組み合わせた構成が必須
  • 太陽光発電は自家消費が前提(売電や証書化が想定される場合は対象外)
  • 蓄電池は主力電源・EV充電用途として活用する
  • CO₂削減量の算定・報告が必要
  • 設備は日本国内の安全・性能基準を満たす

とくにこの補助金は、単体設備でなく、一体化させた組み合わせが求められている点が特徴です。例えば太陽光発電設備であれば、パネルの導入だけでなく、蓄電池やEV充電スタンドも組み合わせましょう。補助金の活用を前提とする場合は、早い段階から要件を確認しながら計画を進めると安心です。

 

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物流脱炭素化促進事業で太陽光発電と蓄電池を導入するメリット

物流施設は屋根が広く相応の電力使用量があり、太陽光発電設備と相性がいいです。そこで、物流脱炭素化促進事業を用いて太陽光発電・蓄電池を導入するメリットとして、次の3つを紹介します。

  • 【補助率1/2】初期投資を下げられる
  • 電気代削減と運用最適化の実現
  • 脱炭素対応とBCP対策の評価

いずれもコスト面だけでなく、物流拠点の安定運営につながるメリットです。

補助金活用で初期投資を大きく下げられる

太陽光発電と大容量蓄電池の一体化導入は、物流脱炭素化促進事業の補助要件の1つです。最大で1/2が補助対象になり、初期投資が大きく下がります。
太陽光発電で活用できる補助金はほかにもいくつか展開されていますが、いずれもkWhあたり◯万円、限度額は数千万から最大1億円までと、物流脱炭素化促進事業と比べると見劣りします。この手厚い補助が本事業の大きなメリットです。

太陽光発電設備の費用相場はkWあたり15万円前後で、屋根が広い物流倉庫では、太陽光発電設備だけでも4,000万円~5,000万円かかります。蓄電池も導入すると総額は1億円近くにもなります。
高額な投資額を半額に削減できる補助金活用は、合理的な手段といえます。

電気代削減と物流拠点の運用最適化を同時に実現

太陽光発電と蓄電池のシステムは、余剰分は貯めて、夜は蓄電池から使う運用方法です。時間帯によって電力の使い方が変わる物流施設には、向いているシステムといえます。

昼間:フォークリフトや事務作業など倉庫稼働

夜間:冷蔵・冷凍、EV充電

このように時間帯に合わせた太陽光発電活用が可能なため、電気代削減と運用最適化を同時に実現できるでしょう。物流拠点で使う機械・車両は、EVや充電設備との相性が抜群なので最適化に向いています。

脱炭素対応+BCP対策を同時に評価される

太陽光発電と蓄電池を組み合わせれば、CO₂の削減効果だけでなく、非常時の活用もできます。次のような場合でも、物流拠点として対応できるでしょう。

  • 停電時でも倉庫・事務所が稼働できる
  • 災害時の非常用電源になる
  • 安定供給ができる物流企業として評価される

つまり脱炭素対応だけでなく、BCP対策をしている企業として信頼されます。

 

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情報収集の時間短縮、設備投資のご検討にぜひご活用ください。

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物流脱炭素化促進事業に関するよくある質問

ここまで、物流脱炭素化促進事業の概要や要件、さらに活用することで得られるメリットについて解説しました。しかし補助金を検討する企業の中には、まだ疑問が残るケースもあるでしょう。そこでよくある質問を7つ紹介します。

Q1:太陽光発電は必須か?

太陽光発電は、必須ではありません。例えば水素を中心とした構成であれば、太陽光発電を導入しなくても認められます。

ちなみに倉庫や配送拠点では屋根スペースを活用しやすく、結果的に太陽光発電を組み込んだ計画が選ばれやすい傾向にあります。

Q2:なぜ蓄電池が求められるのか?

太陽光発電だけでは脱炭素化の効果が限定的になります。再エネ電力を安定して効率的に使う仕組みとして、太陽光発電の導入の場合は蓄電池も求められます。蓄電池のメリットは次のとおりです。

  • 余った電気を貯めておく
  • ピークカット・ピークシフトに役立てる
  • 防災に役立てられる

蓄電池の導入メリットについては、以下の記事でも解説しています。注意点も分かるので、ぜひ参考にしてみてください。


蓄電池の導入は企業にとって必要?導入のメリットと注意点

蓄電池の導入は企業にとって必要?導入のメリットと注意点

蓄電池とはその名の通り充電を行うことで電気を蓄え、繰り返し使用できる電池のことを指します。蓄電池があれば、余った電気を貯めたり、防災に役立てたりできます。ただし注意点もあるので、導入前に把握しておきましょう。


Q3:PPAモデルでも補助対象になるのか?

条件付きで、PPAモデルも補助対象になっています。PPAを使う場合は、PPA事業者と物流事業者との共同申請が必要です。ただし太陽光で発電した電力が自家消費されることが前提条件のため、設計時は気をつけましょう。

太陽光発電のPPAモデルについての概要は、以下の記事で解説しています。オンサイトPPAやフィジカルPPAなどの名称についても理解が深まるので、ぜひ参考にしてください。


太陽光発電のPPAモデルの実態とは?メリット以外の注意点やデメリットも解説

太陽光発電のPPAモデルの実態とは?メリット以外の注意点やデメリットも解説

太陽光発電のPPAモデルとは、初期費用とランニングコストがともに0円で太陽光発電システムを導入し、再生可能エネルギーが使える仕組みです。


PPAの契約内容によっては補助対象外となる可能性もあるため、設計段階での確認が欠かせません。

Q4:太陽光発電のみで申請できるか?

太陽光発電のみでは、申請できません。本事業では設備の導入よりも、使い方が重視されているためです。よって、蓄電池やEV充電設備などとの一体化が必要です。

Q5:売電できるか?

自家消費を前提としているため、売電は原則不可です。公募要領にも、以下のように記載されています。

原則、実施計画時点で売電または証券化が発生することが予見される場合は補助対象事業の要件として対象外とする
(引用)令和7年度物流脱炭素化促進事業(補助事業)公募要領【2次公募】|パシフィックコンサルタンツ株式会社

発電量と消費量のバランスを考慮せず、売電が発生する設計になっている場合は、申請前に見直しましょう。

Q6:既存の倉庫・物流施設も対象になるのか?

新築施設に限った制度ではなく、既存の営業倉庫や拠点への設備導入も対象です。さらに既存設備も一部要件として認められています。ただしこの場合は、補助対象には含まれないためご注意ください。

Q7:補助金を使う負担・リスクはあるか?

物流脱炭素化促進事業を使う注意点として、次の内容が挙げられます。

  • 原則3年間のCO₂削減量の報告
  • 補助対象設備の適切な管理
  • 一定期間内の売却・転用の制限

これらは補助金を適正に活用するための一般的なルールであり、特別に厳しい内容ではありません。導入後の運用を想定した計画を立てておけば、実務上の負担は限定的といえるでしょう。

 

物流脱炭素化促進事業の活用に悩む場合は、スマートブルーにご相談を!

物流脱炭素化促進事業は、物流分野におけるCO₂排出量の削減を目的に、国が設備導入を支援する補助金制度です。補助率は最大1/2と高く、太陽光発電や蓄電池、EV充電設備などの導入で、初期投資を抑えながら脱炭素化を進められます。電力使用量が多い物流施設には、電気代削減やBCP対策の観点でもメリットがあるでしょう。

ただし単体設備では申請できないなど、制度特有の要件もあります。そのため、補助金の内容を理解したうえで、自社に合った設備構成を検討するようにしましょう。

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