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【令和6年度】需要家主導による太陽光発電導入促進補助金の公募情報について

補助金 更新日: 2023.04.24

経済産業省が展開する「需要家主導による太陽光発電導入促進補助金」の公募について解説します。

令和4年度に始まった当補助事業は、令和5年度も公募が実施されます。オフサイトの太陽光発電に使える補助金制度となっており、大規模な再エネ電力を求めている需要家にうってつけの補助事業です。

現在は二次公募期間です。

  • 太陽光発電導入促進事業:令和5年4月3日~令和5年5月26日
  • 併設蓄電池導入支援事業:令和5年4月10日~令和5年6月2日

以下からは、令和5年度に太陽光発電の導入で活用できる補助金・税制優遇制度の概算資料を無料でダウンロードいただけます。こちらもどうぞご参考ください。

令和5年度補助金・税制優遇概算資料

令和5年度の太陽光発電に使える補助金は、需要家主導による太陽光発電導入促進補助金以外にも豊富に用意されています。詳細を以下ブログで解説しています。


【令和5年度|2023年度】太陽光発電に関連する補助金の概算要求情報まとめ

【令和5年度|2023年度】太陽光発電に関連する補助金の最新情報まとめ

環境省および経済産業省が公表した最新の補助金情報をまとめました。補助内容は令和4年度よりもさらに拡充されています。


 

 

補助金概要

需要家主導による太陽光発電導入促進補助金は、太陽光発電所を所有する発電事業者とその発電所で得られる再エネ電力の供給を受ける需要家、発電された電気を系統上で調整する小売電気事業者の3者による事業の導入を補助する補助金で、経済産業省によって令和4年度から始まりました。発電事業者と需要家が別事業体である、オフサイトコーポレートPPAの事業を念頭においた補助金ですが、3者の一部またはすべてが同一であっても問題ありません。補助事業の対象者は発電事業者です。

令和5年度からは蓄電池併設型の新たな申請区分が追加されます。

需要家主導による太陽光発電導入促進補助金のスキーム図(引用)需要家主導による太陽光発電導入促進補助金スキーム図:執行団体事務局(JPEA太陽光発電推進センター)

予算額 255億円
補助対象事業 ①需要家主導型太陽光発電導入促進事業
FIT・FIPおよび自己託送を活用しない新規に取得・設置する太陽光発電所で発電した電気を、一定期間以上にわたり需要家に供給する事業

②再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入支援事業
FIP認定を受けた再生可能エネルギー発電所(太陽光発電に限定しない)の一部として、蓄電池を新規に取得・設置する事業

補助対象事業者 民間団体、地方公共団体・企業
補助対象経費 太陽光発電設備および併設される蓄電池の設計費、設備購入費、土地造成費、工事費、接続費

蓄電システムの設計費、設備購入費、土地造成費、工事費

補助率
自治体連携型以外(民間団体):1/2
自治体連携型(地方公共団体・企業):2/3
※蓄電池に係る経費:1/3


原則:1/3
※地域新電力に電力供給の場合:1/2
※二次公募が実施される場合の補助率は1/4(地域新電力特例は1/3)

補助上限額 なし
公募期間 一次公募

①令和5(2023)年2月3日(金) ~ 同年3月24日(金)
②令和5(2023)年2月3日(金) ~ 同年3月31日(金)

二次公募

①令和5(2023)年4月3日(月) ~ 同年5月26日(金)
②令和5(2023)年4月10日(月) ~ 同年6月2日(金)

補助事業の目的

政府が掲げる2030年温室効果ガス46%削減(2013年比)、2050年カーボンニュートラル達成に向けては、再エネのさらなる導入拡大と自立化が欠かせません。ただ、その進捗は芳しくなく、さらに導入を推し進める必要があること、また需要家である企業を取り巻く環境は脱炭素、SDGsといった新様式に変化しつつあり、企業は対応に迫られています。本補助事業を通して、需要家である企業の主導による新たな太陽光発電の導入モデルを実現させ、再エネの導入拡大と自立化を促すことを目的としています。

令和5年度からは蓄電池併設型の補助が新設され、再エネ電源の導入拡大と稼働率の最大化には蓄電システムが必要であること、またレジリエンスの強化といった側面もあることがうかがえます。

需要家主導型太陽光発電導入促進事業

地域共生を前提に、需要家が主体となって小売電気事業者および発電事業者とともに取り組む太陽光発電の導入や当該太陽光発電設備への蓄電池の併設を支援することで、再生可能エネルギーの導入の加速化および最大限の活用を促し、エネルギー危機に強い経済構造への転換を図ることを目的としています。

再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入支援事業

再生可能エネルギー設備への蓄電池の併設を支援することで、再生可能エネルギーの導入の加速化および最大限の活用を促し、エネルギー危機に強い経済構造への転換を図ることを目的としています。

 

補助対象事業要件

公募要領から、需要家主導による太陽光発電導入促進補助金の補助対象事業の要件をまとめます。太陽光発電事業と蓄電池事業に分けてご紹介します。

需要家主導型太陽光発電導入促進事業の事業要件

  • 高圧・特別高圧の設備について、申請時に接続検討申込が完了していること
  • 低圧の設備について、申請時に系統連系申込を完了していること
    ※いずれの場合も補助事業期間内に回答あるいは承諾を得ていること。得ていなくとも申請は可能だが、補助対象経費に制限が生じる。
  • 非FIT・非FIPの設備であること
    ※申請中の案件で採択を受けた場合、採択後の申請取り下げは可能。
  • 自己託送でなく、系統に接続し供給すること
  • 原則として令和6(2024)年2月29日までに運転開始する新設の太陽光発電設備であること
    ※運転開始は系統連系を指す。
  • 合計出力2MW以上(ACベース)の設備
    ※ACベースとは太陽電池出力とパワーコンディショナの出力のどちらか小さい値。
    ※複数設備での申請は可能だが、1地点につき30kW以上、申請平均で50kW以上であること。
  • リース・レンタルによる設備設置は補助対象外
  • 補助対象経費のうち蓄電池を除く単価が23.6万円/kW(ACベース)未満であること
    ※蓄電池を導入する地点の設備については、15.0万円/kW(DCベース)未満。
  • 蓄電池を導入する場合の蓄電池の単価が19万円/kWh以下であること
  • 8年以上にわたり、需要家が電力供給を受ける契約を締結すること
  • 発電量の7割以上を需要家に供給する契約であること
  • 「事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)」に則って事業を実施すること
  • 関係法令の規定を遵守すること
  • 「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を遵守するように努めること

蓄電池導入に関する詳細要件

蓄電池を導入する場合、太陽光発電設備と同一の受電地点(系統接続点)である必要があります。

蓄電池の充電は太陽光発電設備からの充電に加え、パワーコンディショナを通した系統からの充電も認められます。その場合は、当該電力量を計量し、蓄電池から系統に出力する電気について、太陽光発電設備から充電した電気と系統から充電した電気を分けて計量できるように設計、整備する必要があります。

蓄電池の単価要件は、複数地点で新設する設備の合計でも可能ですが、1地点あたりの蓄電池の容量(kWh)は、蓄電池に接続される太陽光発電設備の出力(ACベース)に0.5を乗じた値以上である必要があります。1地点における太陽光発電設備の最低出力が30kWとされていますので、蓄電池の最低容量は15kWh以上となります。

蓄電池は合計で、太陽光発電設備の合計出力(ACベース)に3を乗じた値が補助対象の上限規模とされます。

蓄電池を導入する場合、上記に加え以下3つの要件をすべて満たす必要があります。

  1. 電力需給ひっ迫警報・注意報・準備情報が発出された際、節電等の要請時間帯において、可能な限り導入する蓄電池を利用した電力供給を行うこと
  2. 充電や放電といった蓄電池の運用実績を取得、保管するとともに、JPEAが要請した場合には、当該運用実績を提出すること
  3. 採用予定の蓄電システムのBMSのメーカー等について、過去5年間の実績を含め、国際的に受け入れられら基準等に反していないこと。開発供給の適切性が確保されていること

3者間契約の詳細要件

契約の方式や数は限定されません。発電事業者、需要家、小売電気事業者の3者が、一部またはすべてが同一であっても問題ありません。ただし、補助対象事業者(発電事業者)と小売電気事業者は一申請あたり一事業者に限り、需要家は複数者も可能です。

申請後、契約期間内の需要家および小売電気事業者の変更は認められません。

すべての補助対象設備が運転開始した日から6か月以内に、需要家が受電を開始する必要があります。受電の開始が遅れる場合は、交付決定が取り消されます。

再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入支援事業の事業要件

  • FIP認定を受けた設備が含まれること
    ※申請時交付決定時に、FIP認定を受けていなくとも良い。補助対象事業の完了時に、FIP認定を受けた上で運転開始していること。
  • 申請時に、系統連系申込の回答を得ていること
    ※すでにFIT・FIPの認定を受けているが、蓄電池を併設するためにFIP認定を新たに受ける場合は不要。
  • FIP認定設備が原則として令和6(2024)年2月29日までに運転開始する新設設備であること
  • 補助対象経費の単価が19万円/kWh以下であること
  • 蓄電池の容量(kWh)は1,000kWh以上であること
    ※または、蓄電池に接続されるFIP認定設備の出力(AC ベース)に0.5 を乗じた値。
  • 他、太陽光導入支援事業における蓄電池の詳細要件3点

 

補助対象経費

続いて、需要家主導による太陽光発電導入促進補助金の補助対象経費をまとめます。太陽光発電事業と蓄電池事業に分けてご紹介します。

需要家主導型太陽光発電導入促進事業の対象経費

設計費 設備等の設計に要する経費
設備購入費 太陽電池モジュール、パワーコンディショナ、モニターシステム、架台、接続箱、受配電設備、遠隔監視制御装置、蓄電池、その他付属機器
土地造成費 設備設置に必要な土地造成費
工事費 基礎工事、設置工事、電気工事、フェンス工事
接続費 工事費負担金

補助対象経費の要件・注意事項

  • 需要地の敷地内や屋根に設置するオンサイト型は補助対象外
  • 建物屋根の防水・改修工事、既存設備の移設・撤去・解体・処分費、補強工事費等は補助対象外
  • 交付決定前に造成工事を行っている場合は、その造成費は補助対象外
  • 蓄電池の種類(リチウムイオン、ナトリウム硫黄蓄電池など)は問わない。ただし、事業要件で触れた蓄電池要件は満たすこと
  • 接続費の補助対象経費は工事費負担金に限る。検討料や保証金等は補助対象外
  • 接続費について、一般送配電事業者の事情により、事業開始後に系統接続に遅延が生じた場合、太陽光発電設備等の工事がすべて完了していたとしても補助対象経費としては認められない
  • リース・レンタル、中古品は補助対象外
  • グループ企業間であることのみを選定理由とした調達は原則認められない
  • 自社調達によって事業を組成する場合は、利益を排除すること
  • 原則として、交付決定前に契約・発注等を行った経費は対象外

再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入促進事業の対象経費

設計費 設備等の設計に要する経費
設備購入費 蓄電池システムを構成する以下に該当するもの
①蓄電池部(リチウムイオン、ナトリウム硫黄等)
②蓄電池部制御部分(BMS等)
③電力変換装置(インバータ、コンバータ、パワーコンディショナ等)
④蓄電システム制御装置(計測・表示装置等、蓄電システムの付属設備であり必要不可欠なもの)
⑤付帯設備(空調設備、筐体、分電盤等)
⑥その他蓄電システムに必要不可欠なもの
土地造成費 設備設置に必要な土地造成費
工事費 基礎工事、設置工事、電気工事

補助対象経費の要件・注意事項

太陽光発電導入支援事業と同様。

 

審査ポイントと傾向と対策

最後に、審査のポイントをご紹介します。

令和4年の採択件数は全体で20件ほどでしたが、令和5年は応募数が増え、競争率、審査基準ともに高くなることが想定されます。確実に採択されるためには、事業要件を完全に満たした上で、以下項目について加点を稼いでいく必要があります。

需要家主導型太陽光発電導入促進事業の審査ポイント

  • 発電量の買取率(自家消費率)の高さ
  • 買取期間の長さ
  • 設備単価の低さ
  • 設備一ヶ所あたりの平均出力および蓄電容量の大きさ
  • 一需要地あたりの平均需要の大きさ
  • 運転開始日の早さ
  • 接続検討結果または系統連系申込について、運転開始期限内の接続可能との回答を得ている設備割合の多さ
  • 次の事業形態に合致する事業
    ※当該要件での加点を希望する場合は、それを証する書類を別途提出すること

    • 地域連携型・・・2者以上の需要家に供給する事業であって、すべての需要家が同一市町村に属しているもの。同一市町村でなくとも、エリアの一体性が説明できる場合も含む
    • 中小企業型・・・中小企業等による電力買取量が51%以上のもの
    • サプライチェーン型・・・2者以上の需要家に供給する事業であって、すべての需要家がいずれか別の需要家と、直近1年間において取引関係があること
  • ほか、蓄電池要件や給与増額、脱炭素先行地域など

再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入支援事業の審査ポイント

  • 導入する蓄電池について、JIS規格・IEC規格等の類焼試験に適合していることを証明する証明書が提出できるものであること(モジュール以上)。車載型蓄電システムの場合は、JETリユース電池認証等により蓄電システムの類焼に関する安全設計を証明できること
  • 故障や自然災害など有事の際のレジリエンス確保の観点から、以下の2点を満たす供給元から蓄電池の供給を受けること
    • 蓄電システムの早期復旧や原因解明が可能な体制が整っている
    • 蓄電システムの異常発生時に備えて、代替する蓄電システムの主要部品(電池セル等)を迅速に供給できる拠点が整っている
  • 蓄電池(蓄電システム)メーカーが、廃棄物処理法上の広域認定を取得していること
  • 運転開始日の早さ
  • 設備単価の低さ
  • など

 

参照

需要家主導による太陽光発電導入促進補助金 需要家主導型太陽光発電及び再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入支援事業費補助金(執行団体ウェブサイト)
令和4年度第2次補正予算 需要家主導型太陽光発電導入促進事業(執行団体ウェブサイト)
公募要領-令和4年度第2次補正予算 需要家主導型太陽光発電導入促進事業(執行団体ウェブサイト)
令和4年度第2次補正予算 再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入支援事業(執行団体ウェブサイト)
公募要領-令和4年度第2次補正予算 再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入支援事業(執行団体ウェブサイト)

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