電気代補助金が7月使用分から開始!世帯別の軽減額はどれくらい?
電気料金 更新日: 2025.07.23
2025年の7,8,9月使用分に対して、電気・ガス料金の支援が行われます。
政府は、電力使用量が増加する夏季に向けて、「電気・ガス料金負担軽減支援事業補助金」を2025年7月使用分から再実施します。これは、電気・ガス料金の上昇による家計や企業のコスト負担を軽減し、例年に比べて暑くなる今夏に適切なエアコンの使用を推奨し、環境を整えることを目的とした国の支援策です。
本記事では、補助制度の仕組みや対象、電力使用量に応じた支援額の目安、過去の支援策との比較について解説いたします。
2025年7月使用分からの「電気・ガス料金負担軽減支援事業補助金」とは
電気・ガス料金負担軽減支援事業補助金とは、物価高の観点から電力使用量が増加する7月、8月、9月使用分の電気・ガス料金の補助を行う補助事業です。これらの使用分は、一般的に翌月の検針・請求となるため8月・9月・10月分の請求書に反映されます。
これは、令和6年11月22日に閣議決定された「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」の内の具体的な施策の1つにあたります。
政府が掲げる経済対策の目的は主に2つあります。1つ目が、継続する物価高騰の影響を緩和し、家計および企業の経済的負担を軽減すること。2つ目に、猛暑が予測される夏季において、特に高齢者をはじめとした社会的弱者が電気料金を懸念してエアコンの使用をためらうことなく、熱中症を予防するという目的になります。このため、本制度は「熱中症対策支援」としても位置づけられています。今年の夏の電気・ガス料金支援策は予算総額2881億円が割り当てられています。
電気・ガス料金負担軽減支援事業補助金の支援内容
この補助事業では、7,8,9月使用分の電気・ガス料金の補助が行われ、標準的な仮定で3ヶ月間で3000円程度引き下げられる見込みで、電力需要が高くなる8月に補助額も手厚く設定されていることが特徴です。
特に、今夏は平年に比べて全国的に気温が高くなることが予想され、適切にエアコンを使用し熱中症予防行動に務めることが推奨されています。
値引き額は受電形式により異なり、一般的な家庭やほとんどの企業の受電形式は「低圧受電」か「高圧受電」に大別されます。
低圧電力(低圧): 一般家庭、小規模なオフィス、小売店、飲食店などが該当します。これらの事業者は、1kWhあたり2.0円~2.4円の値引き適用を受けます。
高圧電力(高圧): 大規模なオフィスビル、スーパーマーケット、病院、工場などが該当します。膨大な電力消費量を背景に、1kWhあたりの基本料金は低圧より安価に設定されています。そのため、家庭や中小企業よりも低い値引き単価(1kWhあたり1.0円~1.2円)が適用されています。
受電形式ごとの値引き単価を以下に示します。
| 低圧 | 高圧 | ガス | |
| 7月使用分 | 2.0円/kWh | 1.0円/kWh | 8.0円/m3 |
| 8月使用分 | 2.4円/kWh | 1.2円/kWh | 10.0円/m3 |
| 9月使用分 | 2.0円/kWh | 1.0円/kWh | 8.0円/m3 |
熱中症対策は万全に!今年も電気・ガス料金の支援を実施。よくいただく質問に資源エネルギー庁がお答えします!|エネこれ|資源エネルギー庁
補助対象外となる事業者
契約電力が2000kW以上の特別高圧受電の企業や、都市ガスではなくLPガスを契約している家庭などはこの補助事業からは対象外となります。
しかし地域の実情に応じて、「特別高圧」の電気やLPガスなどを使用する中小企業などにも支援ができるよう、「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金(重点支援地方交付金)」として、1,000億円を積み増す予定もあり、地方自治体によっては別途支援が行われる可能性があります。
電気代削減に貢献する太陽光発電と蓄電池の導入には国や地方自治体から補助金が出ており導入を促進しています。補助金を活用することで初期費用を抑えながら導入し、より費用対効果の高い導入が可能となります。

2025年7月最新|令和7年度法人向け太陽光発電の補助金総まとめ
2025年に法人・企業が太陽光発電の導入で活用できる補助金の公募情報をまとめています。
2025年度も環境省のストレージパリティ補助金や経済産業省の需要家主導補助金など、2024年に活用できた補助金が2025年も継続して活用できる見込みです。
世帯別の値引き額はどれくらい?
家庭における電力消費量は、世帯人数、住居タイプ(戸建か集合住宅か)、そして地域によって大きく異なります。特に夏季は、エネルギー消費全体に占める冷房の割合が急増し、電力消費量が年間で最も高い水準に達します。
以下では、世帯別の月間電力使用量(7月)を参考に値引き額をシミュレーションしました。
| 電力使用量 | 7月,9月使用分 | 8月使用分 | 3ヶ月合計軽減額 | |
| 単身世帯(集合住宅) | 210kWh | 420円/月 | 504円 | 1,344円 |
| 2人世帯(集合住宅) | 338kWh | 676円/月 | 811円 | 2,163円 |
| 3人世帯(集合住宅) | 434kWh | 868円/月 | 1,041円 | 2,777円 |
| 4人世帯以上(戸建) | 560kWh | 1,120円/月 | 1,344円 | 3,584円 |
上記の表の通り、世帯数に応じて電力使用量が多くなる傾向があり、補助期間内の合計軽減額も、単身世帯では約1,300円程度で4人世帯以上では3,500円程と、世帯数に応じて合計の軽減額も大きくなっています。

電気代が高い!2025年のいま高騰する原因を解説します
2021年から電気代が高い状態が続いています。いま現在、一般家庭や会社を問わず直面している電気代が高い原因は「燃料費調整単価の値上がり」「電気料金プランの単価上昇」「市場価格の高騰」の3つが考えられます。
申請や手続きは不要
電気・ガス料金負担軽減支援事業の値引きに関して、家庭や企業などでの申請や手続きは不要です。電気・都市ガスの小売事業者などが、家庭・企業などへ請求する月々の料金から使用量に応じて値引きがされるようになっています。
この事業では、電気やガスの販売元である小売事業者が国から値引き原子を受け取り、消費者である家庭や企業へ還元する形となっているため、使用量から値引き単価を差し引いた分が請求される形となります。
電気料金の変動とその要因
この電気・ガス料金の補助事業は2023年ごろから電気料金の支援が行われてきました。その背景には、日本の電気料金構造を背景とした電気料金の高騰があります。
以下のグラフは全国における平均電気料金単価推移です。(消費税及び再生可能エネルギー賦課金は含まない単価)
2022年初頭にかけて電気料金は高騰を続け、2022年4月の低圧料金は24.92円だったのに対して、ピーク時の2023年1月時点で31.25円を記録し、約6円の値上がり幅となり、企業や家庭問わず大きな影響を与えました。

こうした変動が発生する主要因には「再生可能エネルギー発電促進賦課金」と「燃料費調整制度」があります。
上昇を続ける再生可能エネルギー発電促進賦課金
「再生可能エネルギー発電促進賦課金」(再エネ賦課金)は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)の費用を賄うため、全ての電力利用者が電気使用量に応じて負担する全国一律の賦課金のことを指します。
再エネ賦課金は、2012年の制度開始以来、2023年度の一時的な低下を除き、一貫して上昇を続けており、2025年5月分から2026年4月分までの電気料金に適用される単価は、過去最高の1kWhあたり3.98円となっています。
世界情勢や為替、再エネ賦課金などの影響を受ける複雑な電気料金構造の日本の電源構成のうち、約7割が火力発電(天然ガス・石炭・石油)に依存しています。この火力発電の燃料となる天然ガス・石炭・石油の9割以上を海外からの輸入に頼っています。
こうした背景から、電気・ガス料金負担軽減支援事業が実施され、家計や企業の負担を直接的かつ即時に軽減し、経済活動の下支えが行われます。
一方で、世界的に脱炭素化の潮流と、2050年カーボンニュートラル達成に向かっている中で、エネルギーの使用に対する支援が、省エネの意識やエネルギー削減によるインセンティブ効果の低減にもつながるため、いつまでも続けるべきではないという見方もあります。

2025年度再エネ賦課金は3.98円!値上がりの要因と推移をおさらい
経済産業省は2025年3月21日に、電気の使用量に応じて需要家が負担する再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)の2025年度単価を3.98円/kWhにすることを公表しました。
2024年度は3.49円で、0.49円の値上がりとなります。
価格変動に影響を与える燃料費調整制度
この制度は、火力発電の燃料となる原油、液化天然ガス(LNG)、石炭の輸入価格の変動を、毎月の電気料金に反映させる仕組みです。
算出方法として、過去3ヶ月間の平均燃料価格を、2〜3ヶ月後の電気料金として反映します。例えば、1月〜3月の燃料価格の動向が、6月分の請求書に適用される燃料費調整単価として反映されます。
日本はこうした原油や液化天然ガス(LNG)、石炭を輸入に頼っているため、需給バランスによって変動する燃料の国際商品価格や、為替の変動によって大きく変動します。
そのため、近年のウクライナ情勢や急激な円安を背景とした電気料金高騰の直接的な原因となりました。これが、政府による一連の価格激変緩和対策の引き金となっています。

電気料金の内訳「燃料費調整額」とは?わかりやすく解説
燃料費調整額とは、毎月の電気代に含まれる費用の一つで、燃料費調整制度に基づいて設定される燃料費調整単価に使用電力量をかけて計算されます。
燃料費調整額は、電気代の内の電力量料金の一部に組み込まれていて、輸入する燃料費の価格に応じて変動し加算あるいは差し引いて計算されます。
電気・ガス料金負担軽減支援事業の変遷
この電気・ガス料金負担軽減支援事業は今に始まったものではありません。こうした支援策が開始されたのは2023年1月からで、当時は半年間の支援とされてきましたが、支援額を縮小しながら延長を重ね、約1年半の支援期間となりました。
ここからは、今までの支援事業について紹介いたします。
電気・ガス激変緩和事業(2023年1月~2024年5月)
電気・ガス激変緩和事業とは、エネルギー価格の高騰によって厳しい状況にある家庭や企業の負担を軽減するため、令和4年度第2次補正予算「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」として3兆円以上を計上して実施された補助事業です。
開始当時は、2023年1月使用分から9月使用分までの補助期間とされていましたが、終了月となる9月に補助期間を2023年の12月使用分までの延長、その後11月の「デフレ完全脱却のための総合経済対策」の中で2024年5月使用分までの補助の延長が決定しました。
段階的な縮小を続けながらも、1年以上補助を続け、エネルギー価格の高騰が落ち着いたことを背景に終了しました。
酷暑乗り切り緊急支援(2024年8月~10月)
酷暑乗り切り緊急支援とは、物価水準が高止まりする中で、家庭や企業を支援する経済対策のうちの1つで、電気代と都市ガス料金を支援する施策です。
長く続いた電気・ガス激変緩和事業が終了した後の、6月に当時の岸田首相が以下のように言及したことをきっかけに再度実施されました。
まず、第一段の対策としては、地方経済や低所得世帯に即効性の高いエネルギー補助を速やかに実施いたします。まず、燃油激変緩和措置は、年内に限り継続することといたします。
そして、酷暑、暑い夏を乗り切るための緊急支援、「酷暑乗り切り緊急支援」として、8月・9月・10月分、3ヶ月について、電気・ガス料金補助を行います。
名称にも打ち出しているように、酷暑、暑い夏を乗り切るための緊急支援が目的となっていたこともあり、延長などは行われず、実施期間は2024年8月使用分から10月使用分までで終了しました。
電気・ガス料金負担軽減支援事業(2025年1月~3月)
2025年1月から3月の期間で支援が行われた、電気・ガス料金負担支援事業は、「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」の具体的な施策の1つです。今夏の支援事業についても、この経済対策を指針に実施されます。
補助額の比較
以下の表では、今までの「電気・ガス激変緩和事業」「酷暑乗り切り緊急支援策」での支援金額をまとめています。
| 事業名 | 実施期間 | 低圧 | 高圧 |
|---|---|---|---|
| 電気・ガス激変緩和事業 | 2023.1 ~ 8 | 7.0円/kWh | 3.5円/kWh |
| 2023.9 ~ 2024.4 | 3.5円/kWh | 1.8円/kWh | |
| 2024.5 | 1.8円/kWh | 0.9円/kWh | |
| 酷暑乗り切り緊急支援 | 2024.8 ~ 9 | 4.0円/kWh | 2.0円/kWh |
| 2024.10 | 2.5円/kWh | 1.3円/kWh | |
| 電気・ガス料金負担軽減支援事業 | 2025.1 ~ 2 | 2.5円/kWh | 1.3円/kWh |
| 2025.3 | 1.3円/kWh | 0.7円/kWh | |
| 2025.7,9 | 2.0円/kWh | 1.0円/kWh | |
| 2025.8 | 2.4円/kWh | 1.2円/kWh |
このように2023年1月から継続的に支援事業を行いつつ、補助額は縮小してきていることがわかります。電気・ガス激変緩和事業以降は支援期間も限定的になり、補助額も2.0円/kWh前後を下限として補助が継続されています。
一見、補助額は大幅に縮小されているように感じられますが、電気料金の変動も加味されており、実質的な負担額は落ち着きを取り戻している状態と言えます。
より詳しい電気料金のシミュレーションについては、各電力会社や料金比較サイトで確認することをおすすめします。
セレクトラ・ジャパンの電気料金シミュレーターは、郵便番号と使用量を入力するだけで、自分に合った最適な料金プランを見つけることができます。
まとめ
2025年夏季の「電気・ガス料金負担軽減支援事業」は、電力需要がピークの水準に達する時期に合わせて、家庭や企業を支援する短期的な支援策です。
こうした背景には、変動の激しい世界の燃料市場と、国内の再エネ普及に伴う構造的なコスト増という、日本が抱えるエネルギー構造の根本的な課題が存在しています。そのため、日本のエネルギー構造の転換や、自給率の上昇が進まなければ、今後も電気料金の変動は激しいことが予想されます。
脱炭素の実現とエネルギー構造の解決に向けて、日本においても再生可能エネルギーの推進が活発に行われています。家庭や企業の屋根に太陽光発電の導入に対しても、国や自治体から補助金が出されていることがあり、日本の根本的なエネルギー構造の解決に向けた施策も今後より増えていくことが予想されます。
企業や家庭でできることは、使用する電力を削減する省エネのほかに、太陽光発電を導入することで電気を作る方法があります。自社の屋根や敷地内に太陽光発電を設置して、発電した電力を自社で使用することで、電気代の削減に加えて再生可能エネルギーを得ることができます。
脱炭素に取り組むことが、企業の経営課題と捉える企業も増加しており、取引先からの要望や、企業の社会的責任として脱炭素に取り組むことで優位性の獲得につながります。
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