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電気料金の内訳「燃料費調整額」とは?わかりやすく解説

ブログ 更新日: 2022.11.30

火力発電所

毎月の電気料金の項目に燃料費調整額があります。日本の大半の電力会社でこの燃料費調整額が電気料金の一部として組み込まれています。最近では、一部の電力会社で燃料費調整額の上限を撤廃する発表があったり、燃料費調整額の高騰により企業によっては電気代の支出が大幅に増加したりなど「燃料費調整額」を耳聞きする機会が増えたのではないでしょうか。
今回は燃料費調整額とはなにか、電気料金の項目として組み込まれている理由となった制度の内容、算定方法や今後の見通しについて解説します。
電気料金に組み込まれている燃料費調整額を理解することで、電気料金の高騰電気料金の高騰を理解する一助ともなり、電気料金を削減する手法についてもご理解いただけるのでぜひご覧ください。


燃料費調整額とは

燃料費調整額とは、毎月の電気代に含まれる費用の一つで、燃料費調整制度に基づいて設定される燃料費調整単価に使用電力量をかけて計算されます。
燃料費調整額は、電気代の内の電力量料金の一部に組み込まれていて、輸入する燃料費の価格に応じて変動し加算あるいは差し引いて計算されます。この燃料調整額が導入されることとなった燃料調整制度をみていきましょう。

参考:今さら聞けない「電気代の仕組み」と今後の推移

燃料費調整制度とは

燃料調整制度とは、火力燃料(原油・LNG〔液化天然ガス〕・石炭)の価格変動を電気料金に迅速に反映させるため、その変動に応じて、毎月自動的に電気料金を調整する制度です。
日本の電力構成(2019年度)は、火力発電が75.8%(内訳:LNG〔液化天然ガス〕37.1%、石炭31.9%、石油等6.8%)再生可能エネルギーが10.3%、水力7.8%、原子力6.2%となっており、電源の7割以上を火力燃料に依存しています。

<経済産業省:令和2年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2021)を基に作成>

日本のエネルギーの4分の3を賄っている火力発電ですが、使用する化石燃料(原油、LNG、石炭)のほとんどは海外からの輸入に頼っており、輸入先の国々の経済状況や政局などの情勢によって価格が変動します。そのため、燃料費を含んだ電気料金を完全に固定したままでは、燃料価格が高騰したときに発電事業者が大きな損失を受ける可能性があります。
そういった事態から事業者を守るため、1996年に燃料費調整制度が設けられました。制度設立当初は燃料費の変動が反映されるのは年4回だけでしたが、2009年の制度改正から算定から2ヶ月後に燃料費の価格変動がより迅速に電気料金へ反映されるようになりました。

参考:燃料費調整制度について|電気料金について|資源エネルギー庁

燃料費調整制度のプラス・マイナス調整

燃料費調整制度では、燃料価格の変動に連動した「燃料費調整額」が電気料金に反映されます。算定期間の平均燃料価格を基準燃料価格と比較して、基準燃料価格より高ければ燃料調整単価にプラス調整がされ、低ければマイナス調整がされます。

【プラス調整】平均燃料価格が基準燃料価格を上回った場合
燃料費調整単価(銭 / kWh) = (平均燃料価格 - 基準燃料価格) × 基準単価 ÷ 1,000

【マイナス調整】平均燃料価格が基準燃料価格を下回った場合
燃料費調整単価 (銭 / kWh) = (基準燃料価格 - 平均燃料価格) × 基準単価 ÷ 1,000

この燃料費調整単価が、使用した電力量料金に加算あるいは差し引いて計算されます。

参考:料金設定の仕組みとは?|資源エネルギー庁

燃料費調整額の算定方法

燃料費調整額は、「燃料費調整単価」に「その月の電力使用量」をかけることで求めることができます。

燃料費調整額(円)=燃料費調整単価(円)×1カ月の電力使用量(kWh)

燃料費調整単価はkWhあたりの金額(円/kWh)で算出されるので、電力使用量が多ければ燃料費調整額も比例して大きくなります。
では、燃料費調整単価はどのように決定しているのでしょうか?
「燃料費調整単価」は、各電力会社において定められている「基準燃料価格」と、火力発電で使用する燃料の3ヶ月間の「平均燃料価格(実績)」の差額から設定されている基準単価をかけることで決定されます。

基準燃料価格とは

基準燃料価格は、電力会社が料金プランを作った当時に想定していた平均燃料価格のことで、この価格を前提に燃料費調整単価が求められます。

例として、東京電力エナジーパートナーの基準燃料価格の算定方法を見てみましょう。
貿易統計価格(貿易統計で公表される円建ての輸入価格)を基に原油・LNG・石炭価格の3カ月間の平均値を求め、原油1klあたりに換算します。

2012年1~3月平均の貿易統計価格
1klあたりの平均原油価格 57,802円
1tあたりの平均LNG価格 67,548円
1tあたりの平均石炭価格 11,452円
→原油換算1klあたり 44,200円(=基準燃料価格)

出典:東京電力エナジーパートナー株式会社

こうして求められた原油・LNG(液化天然ガス)・石炭の平均燃料価格を見込み平均価格として東京電力エナジーパートナーでは「基準燃料価格」として設定しています。

平均燃料価格の求め方

平均燃料価格は、原油・LNG(液化天然ガス)・石炭の貿易統計価格(貿易統計で公表される円建ての輸入価格)を原油と同じ熱量・数量単位に換算し、平均燃料価格を算定します。
平均燃料価格の求め方は以下の式になります。
平均燃料価格(原油換算1klあたり)=平均原油価格×α+平均LNG価格×β+平均石炭価格×γ

これを東京電力エナジーパートナーの平均燃料価格算定式に当てはめてみます。
α=0.1970・β=0.4435・γ=0.2512
2022年7月~9月の平均原油価格:97,466円/kl
2022年7月~9月の平均LNG価格:142,803円/t
2022年7月~9月の平均石炭価格:51,875円/t

97,466×0.1970+142,803×0.4435 +51,875×0.2512=95,564.9325(円)
平均燃料価格=95,600円/klとなります。

参照:東京電力エナジーパートナー株式会社 | 燃料費調整のお知らせ(2022年12月分)

燃料費調整額は、こうして算出された平均燃料価格と電力会社ごとに定めている基準燃料価格との差額が燃料費調整額に反映されます。平均燃料価格を求めることもできますが、計算が複雑なため自社で契約している電力会社のホームページで契約別の平均燃料価格を確認する方が確実と言えます。

燃料費調整単価の算定

実際に、東京電力エナジーパートナーで契約電力が高圧受電の2022年12月の燃料費調整額を求めてみます。(基準単価:22.4銭)
平均燃料価格は先ほどの計算から95,600円で基準価格である44,200円を上回るため「プラス調整」の以下の式に当てはめて燃料費調整単価を求めます。
燃料費調整単価(銭/kWh) :(平均燃料価格 - 基準燃料価格) × 基準単価 ÷ 1,000
燃料費調整単価(銭/kWh) :(95,600 - 44,200)×22.4÷1000=1151.36(銭)→11.51円

以上のように燃料費調整単価を求めることができます。電力会社や契約電力により、基準燃料単価や基準単価が異なりますので、実際に求める際はご契約中の電力会社のHPをご覧ください。

反映タイミング

燃料調整単価は、3ヶ月間の貿易統計価格に基づき算定された2ヶ月後に反映されます。以下の図のように1月分から3月分の燃料価格の平均燃料価格は6月分の電気料金に反映されます。

燃料調整費反映タイミング

燃料費調整額の上限

燃料費調額の上限とは、算出に用いる「平均燃料価格」の上限のことを指します。高圧(工場やビル)や特別高圧(大規模工場や病院)の電力契約には上限が設定されていません。

各電力会社の低圧(一部店舗、住宅など)の料金プランには、この平均燃料価格の上限がある料金プランとない料金プランがあります。
上限がある場合、燃料費調整単価の算出に反映できる平均燃料価格の上限は、基準燃料価格の1.5倍です。東京電力パワーグリッドを例にあげると、平均燃料価格の上限は66,300円となっています。
燃料費調整制度のプラス補正では、基準燃料価格よりも平均燃料価格が上回った際にその差額が電気料金にプラスされますが、平均燃料価格の上限を超えた分は電気料金に反映されません。

燃料費調整単価の推移

ここまで燃料調整額の制度や仕組みについてみてきましたが、実際に燃料費調整単価はどのように推移しているのでしょうか?
以下のグラフは、2019年1月から2022年9月までの中部電力と東京電力の契約電力ごとの燃料調整額の推移を表したものです。中心の0.00を基準として下回っている場合は電気料金からマイナス調整がされます。グラフの大部分で基準値を下回っていますが、2020年末を境に値上がりが続いています。そして2022年に入ってからは遂にプラス調整に転じてしまいした。燃料費調整単価が一番安い2021年1月頃から2022年9月を比較すると、1kWhあたりの値上がり幅は11.29円の値上がりとなっています。(東京電力高圧受電の場合)。

燃料費調整単価推移

今後の燃料費調整額の見通し

燃料費調整額の高騰は今後も続く見通しです。燃料費調整額高騰の主な要因として挙げられるのは燃料価格の高騰です。日本の電源構成は、約7割が火力発電に依存し、その燃料は海外から輸入しています。そのため、原材料の高騰は燃料費調整額にも大きな影響が出ます。

エネルギー価格高騰の要因

原材料のエネルギー価格の高騰にはさまざまな要因があります。

新型コロナウイルスの影響

新型コロナウィルスが流行し、経済活動が停滞してしまった影響により、原油価格の低迷と化石燃料からの投資撤退が加速しました。
新型コロナウイルスからの経済回復に向かって世界が進み始めた2021年頃、各国でエネルギーの需要拡大したにも関わらず、エネルギーの供給が追いつかない事態に陥ったことからエネルギー価格の高騰は始まりました。

脱炭素社会実現の影響

LNGとは、メタン、エタン、プロパン、ブタンなどで構成される天然ガスを冷却によって液化させたもので、石炭や石油と比べCO2排出量が少ないことが特徴です。
脱炭素社会を目指す流れを受け、石炭などから環境負荷の少ないLNGへシフトする傾向が各国で加速したことも価格高騰の要因として挙げられます。

ロシア軍のウクライナ侵攻と世界情勢の影響

2022年2月にロシア軍がウクライナへの軍事侵攻を開始したことで、EUやアメリカなどはロシアにさまざまな経済制裁を加えました。ロシアは、LNGの輸出量で世界1位、原油や石炭も世界トップ3という資源大国です。経済制裁に対抗して輸出量を減らすとなれば、世界のエネルギーに大きな影響がおよぶことになります。
日本でもLNGは8.2%、石炭は12.5%をロシアから輸入(2020年の統計)しており、エネルギー自給率が低く海外からの輸入に大きく依存している状況では、世界情勢による燃料価格の高騰は大きなダメージです。

円安の影響

連日続いている円安による輸入価格の高騰も燃料費調整額の値上げを招いた要因の一つです。世界的に燃料費が高騰するなかで、円安が加速した結果、日本が天然ガスや石炭を輸入する際の負担はますます増大しています。

参照:世界的なエネルギー価格の高騰とロシアのウクライナ侵略|令和3年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2022)|資源エネルギー庁

参照:電力・ガスの原燃料を取り巻く動向について|資源エネルギー庁

燃料費調整額の値上がりによる電気代高騰にお悩みでしたら、自家消費型太陽光発電による電気代削減が効果的です。に関するご相談やご質問などございましたら、30分のショートミーティングを随時開催しておりますので、ちょっとしたことでもお気軽にご相談ください。ご検討状況をヒアリングしながら、弊社でお手伝いできそうなことをお話しできればと思います。

 
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