【2025年最新】GXリーグとは?参加条件・参加のメリットを徹底解説

脱炭素 更新日: 2025.05.13

【2025年最新】GXリーグとは?参加条件・参加のメリットを徹底解説

2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、経済産業省が主導してGXリーグを設立し、GX(グリーントランスフォーメーション)と経済成長に向けた市場創出や制度形成を行っています。脱炭素と経済成長の両立という難題に挑むこの枠組みは、単なる環境対策だけでなく、企業の新たな市場やビジネスの創出、ESG評価の向上、そして政策形成への関与といった数々のメリットをもたらします。
本記事では、GXリーグがどのような背景で生まれ、どのような仕組みで運営されているのか、そして参加する企業にとってどのような価値があるのかを詳しく解説します。これからの企業経営に不可欠となるGXの全体像を、この機会に押さえておきましょう。
以下では、企業が脱炭素を達成するためのハンドブックをご用意しています。ぜひお手にとってご覧ください。



GXリーグとは?

GX(グリーントランスフォーメーション)リーグは、2050年カーボンニュートラルを目指して、企業・政府・学術界が連携し、脱炭素と経済成長を両立させる官民共創の枠組みです。
では、GXリーグはどのように設立されたのでしょうか?

GXリーグ設立の背景

日本の2050年カーボンニュートラル宣言

2020年10月に行われた、菅元総理の2050年カーボンニュートラル宣言が、GXリーグの設立の発端となります。その宣言によって、日本は、2050年に向けてカーボンニュートラルを行う世界的公約を掲げ、その実現に向けて動き出しました。

同年12月には、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」が策定され、カーボンニュートラルへの挑戦に向けた、予算・税・金融・規制改革・標準化・国際連携といった政策の導入や、経済的手法(カーボンプライシング等)などの検討が指示されました。

カーボンニュートラル(CN)トップリーグの発足

2021年2月には、経済産業省大臣官房グリーン成長戦略室が主催する研究会「世界全体でのカーボンニュートラル実現のための経済的手法等のあり方に関する研究会」が設置されました。
この研究会の中では、2050年カーボンニュートラル時代における日本の産業、金融、エネルギー、消費市場のあるべき方向性として、エネルギー転換部門・産業部門等・消費部門・金融部門の構造改革が検討されました。
その中でも、カーボンクレジット市場の創出と、カーボンニュートラル(CN)トップリーグ(仮称)、GX基本構想案についての制度設計などが行われました。

GXリーグ稼働

2022年2月にGXリーグ基本構想を公表し、2023年度から取引が行われています。
2023年度における参画企業は568社で、2024年度からは新たに179社が参画し、合計で747社の企業となります。

GXリーグの主な取り組み内容

排出量取引制度(GX-ETS)

GXリーグでは、GX投資とGHG削減及び社会に対しての開示を実践する場を提供しています。参画企業は自ら削減目標を設定し、排出量実績を算定・報告し取引対象の販売・購入が可能となります。

市場ルール形成

グリーン市場の想像に向けて、企業と政府が連携してルール形成を行う場です。テーマ別に市場ルールを形成するワーキンググループを発足し、ルールの設計、実証、世界に向けた発信などを行います。市場ルールを形成することで、企業のGXの取り組みや、GXに貢献する商品が適切に評価される仕組みを構築することを目的とします。

ビジネス創出支援

カーボンニュートラルを前提とした新しいビジネス機会の創発に向けて、参画企業とGXに関連したスタートアップ企業のマッチング、事業創出の支援活動を行います。

GXリーグへの参加条件とは

GXリーグに参画するためには、単に「賛同します」と表明するだけではなく、具体的な排出削減目標や行動計画の策定が求められています。

参加希望の企業は、GXリーグの公式サイトから参画申請書をダウンロードし、必要事項を記入の上、事務局宛にメールで提出します。
提出の際には、あらかじめ定められたGXリーグ参画要件を満たした上で、以下の取り組みを行う必要があります。

参画企業が求められる3つの取り組み

1.自社での排出削減に向けた目標の策定と行動

  • 2030年度に向けた国内の直接・間接排出の削減目標と中間目標を策定すること
  • 「2050年カーボンニュートラル」を目指すことを宣言し、その達成に向けた「トランジション戦略」を策定・公表すること
  • (※戦略には目標年度、削減目標、施策、実行体制などの要素を含めます)

  • 排出量取引制度(GX-ETS)における進捗状況や、カーボンクレジット取引の内容を開示する姿勢を持つこと
  • 【推奨】自社で設定するGX-ETS目標を、より高い水準に引き上げる取り組み

サプライチェーン全体での取り組み

  • GXリーグでは、自社だけでなく、サプライチェーン全体での排出削減にも注目しています。
  • 上流の取引先に対して、排出削減の支援を行うこと
  • 下流の顧客や生活者に向けて、製品やサービスのカーボンフットプリント(CFP)表示を行い、能動的な付加価値の提供や、意識醸成の実施や計画
  • 【推奨】サプライチェーン全体の2030年排出削減目標や戦略を策定・公表

グリーン市場創出

  • 生活者、教育機関、NGO等の市民社会との気候変動の取組みに関する対話の実施または計画。
  • イノベーション創出、製品・サービスを通じた削減貢献、クレジット等によるカーボン・オフセット製品の市場投入によるグリーン市場の拡大の取組の実施または計画。
  • 【推奨】自社でもグリーン製品の調達・購入の実施または計画。

求められる取り組みを実施しない企業は脱退

GXリーグへの参画を表明しても、データ登録期間に提出がなかった企業、または取組要件をみたいしていない企業には事務局から通知されます。
所定の期間内に提出がなかった・要件を満たせない企業についてはGXリーグへの参加が認められません。
また、参画企業が運営規程を遵守しない行為等があった場合には、事務局より当該企業を脱退させることが可能となっています。

なお、第1フェーズ(2023年度〜2025年度)中に脱退した企業の同フェーズ中の再加入は認められていません。

GXリーグに参加することで得られるメリット

GXリーグへの参画は、単に環境への配慮を示すだけでなく、企業の中長期的な競争力や信頼性の向上にもつながる多くのメリットがあります。以下に代表的な4つの利点をご紹介します。

1. 自社のカーボンニュートラルの達成の後押し

GXリーグでは、各社が排出削減に取り組む上での目標設定や進捗管理の枠組みが整備されています。
この環境下に身を置くことで、自社の脱炭素方針がより明確になり、目標値に対して、達成ができなかった直接排出分については、GX-ETSによって自主的に取引を行う必要があります。そのため、CO₂排出削減量に対する投資効果が明らかになり、脱炭素への投資が活発化されます。

2. ESG評価・企業価値の向上

ESG投資が拡大する中で、GXリーグに参加していること自体が環境配慮型の経営を行う企業としての評価材料になります。
投資家や金融機関にとっても、GXリーグへの参画は企業のガバナンスやリスク管理、社会的責任への取り組み姿勢を判断する上での重要な情報となり、資金調達や信用力の向上にも好影響を与えます。

3. 新たな事業・市場の創造

GXリーグでは、業種や業界の枠を超えて企業が集まり、ワーキンググループ(WG)や共同プロジェクトを通じた意見交換や協業が活発に行われています。
こうした枠組みの中で、自社単独では得られない知見や連携の機会が生まれ、新たな脱炭素技術・サービスの開発、グリーン市場の創出へとつながる可能性が広がります。

4. 政策・制度形成に近いポジション

GXリーグは経済産業省と連携して運営されているため、参加企業は制度設計や政策動向の初期段階から議論に関与できる立場となります。
これにより、環境関連の補助金・支援制度、排出量取引制度(GX-ETS)といった制度の変更に対しても、いち早く情報を把握し、自社の戦略に反映させることが可能になります。

まとめ

GXリーグは、日本の2050年カーボンニュートラルの実現に向けた、脱炭素の促進と経済成長を実現するための官民共創の枠組みです。
GXリーグに参画する企業は、率先して脱炭素に取り組み、グリーン市場の創造や環境整備に携わり、GXに関わるサービスや商品が適切に評価され、世界に発信するための仕組み作りを行っています。参画には実行を伴う脱炭素の実施や目標の策定や報告義務、排出削減量に対する自主的な取引が伴いますが、対外的なPRや、異業種との連携による新たな商品・サービスの創出の機会が得られます。

今後は、排出量取引制度は一部の企業で義務化され、化石燃料賦課金の執行に向けた準備が進むことが予想されます。
脱炭素を進めることで、自社のCO₂排出量を削減するだけではなくサプライチェーン全体での脱炭素にも貢献できるなど、競争力の強化にもつながります。
以下では、企業が脱炭素を達成するためのハンドブックをご用意しています。ぜひお手にとってご覧ください。



脚注

2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略(METI/経済産業省)
第7回世界全体でのカーボンニュートラル実現のための経済的手法等のあり方に関する研究会
GXリーグに2024年度から新たに179者が参画し、合計747者となります
成長志向型カーボンプライシング構想(METI/経済産業省)
GXリーグ活動概要 – ~What is the GX League
GX-ETSの概要
GXリーグ参画要綱

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