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COP26とは?決定したこと・結果をわかりやすくまとめます

ブログ 2021.11.29

COP26の結果や合意、課題を紹介します

10月31日から英国スコットランドのグラスゴーで開催されていた国連の気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)が、2週間にわたる議論を終え今月の13日に閉幕しました。

会議に先立って、現状のままだとパリ協定の1.5℃目標の達成が極めて困難であることが示唆されたことから、各国が温室効果ガス排出の削減目標をどこまでアップデートできるかが大きな焦点と見られていました。そうした中、一定の進歩が見られた一方で、温室効果ガスの大量排出国が宣言を見送るなど、依然として先進国と途上国とが足並みを揃えた高い水準での合意形成には至らない課題も残りました。

本記事ではCOP26とは何なのか、会議で決定した重要事項などを紹介していきます。
COP26は世界規模の国同士の協議の場であるため、COP26で話し合われたことを一般企業や家庭レベルに置き換えることは難しいかもしれません。しかしながら、近年声高に叫ばれる脱炭素・カーボンニュートラルを理解する上で外せないキーワードであることは間違いありません。

企業における脱炭素手法については、以下資料からもご確認いただけます。


 

 

COP26とは?

まず初めにCOP26についてです。

COP26とは国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(The 26th session of the Conference of the Parties to the United Nations Framework Convention on Climate Change)の略で、気候変動に関する対策等を議論する国連主導の第26回目の会議を指します。

1995年にドイツのベルリンで第1回目が開催されて以降年に1回のペースで開催されています。COP26は本来であれば昨年開催されるはずでしたが、2020年初頭から世界に蔓延した新型コロナウイルスの影響で、約1年延期される形での開催でした。

日程

2021年10月31日~2021年11月12日(13日間)
1日延長されたため実際の終了日は13日(14日間)

※当初の日程
2020年11月9日~2021年11月20日

参加国

197の国と地域

国連気候変動枠組条約を締結している国と地域。この数字は全国連加盟国と同数。

前提としての京都議定書とパリ協定

COP26をより理解するために「京都議定書」と「パリ協定」についても触れておきます。

日本人になじみ深い京都議定書は、1997年のCOP3で採択されました。京都議定書は2020年までの期間を2つの期間に分け、それぞれの期間で先進国における温室効果ガスの一定量の排出量削減を義務付けました。
しかしながら、目標を達成する国が少なかったり、アメリカが2001年に離脱したり、インドや中国などの排出量が多い途上国への義務付けが為されなかったりと、その意義を十分には発揮できませんでした。

こうした課題を踏まえて、2015年のCOP21でパリ協定が採択されました。
パリ協定は、京都議定書が切れる2020年以降の気候変動対策の国際ルールを定め、「今世紀後半までに世界の気温上昇を産業革命以前と比べて2度より低く保ち、1.5度に抑える努力をする」ことを目標に掲げました。これがいわゆる「2℃目標」「1.5℃目標」で、現在の気候変動対策における指針となっており、今回のCOP26でも2℃目標を達成し、いかに1.5℃目標に近づけるかが争点の1つとなっていました。

パリ協定がそれまでの京都議定書と異なる点は、各国の削減義務には法的拘束力がなく、代わりに削減目標を各国が独自に設定し、その進捗状況を報告および更新していくことを義務付けた点です。加えて、先進国だけでなくすべての国と地域を対象とした点も重要です。
日本においては、2020年10月に2050年カーボンニュートラル宣言がされたり、2030年のエネルギーミックスに占める再生可能エネルギーの比率目標を46%に引き上げたり、脱炭素に関わる自国目標を設定していますが、前提にあるのはこのパリ協定の2℃・1.5℃目標です。

 

COP26の結果・合意・宣言

それでは、COP26の主な合意などを紹介します。

気候変動対策の基準が1.5℃に事実上設定される

合意内容は「グラスゴー気候合意(Glasgow Climate Pact)」としてまとめられ、その中で、1.5℃を目標とすることを明記しました。公式文書に明記されたこと、2℃よりもより達成難度の高い1.5℃目標で合意に至れたことは画期的と言え、今後の気候変動対策を加速させることとなるでしょう。
一方で、反対意見に譲歩した部分もあるようで、1.5℃目標の重要性は理解しつつも、自国の既存産業への打撃は避けたい各国の姿勢もうかがえました。

2022年末までに2030年の削減目標見直しを要請

1.5℃目標がグラスゴー気候合意に明記されたことと関連して、2022年末までに、各国が独自に定める2030年の温室効果ガスの排出量削減目標を見直すことを要請しました。
COP26会期中の4日に、国際エネルギー機関(IEA)のファティ・ビロル事務局長が「各国の目標が達成できれば世界の平均気温の上昇は1.8度に抑えられる」と発表し、現状の政策や2030年目標はその達成に合致していないことを付け加えたことも、議論の活性化を促した要因かもしれません。

排出削減措置を講じていない石炭火力発電所の段階的削減

温室効果ガス排出削減措置を取っていない石炭火力発電について、主要国では2030年代までに、世界全体では2040年代までに廃止する段階的削減の声明を発表しました。石炭火力発電の利用量で世界の上位20か国のうち5か国を含む23か国が新たに声明に賛同しました。

併せて、化石燃料に対する補助金の段階的な廃止も盛り込まれました。

各国における具体的な気候変動対策への言及はあまり行われない傾向にあるCOPで、こうした石炭特定の燃料の廃止を呼びかけることは異例で、世界全体に石炭火力発電は気候変動対策を妨げる障壁であるという認識が広がったと言えます。

途上国への気候変動対策資金の追加援助

先進国に対し、途上国が気候変動対策を講じることによる影響に適応できるよう、その対策資金を2025年までに2019年比で倍増することを求めました。2025年以降についても、資金目標に関する議論を始めることが決まりました。加えて、成果文書として初めて、途上国が気候変動によって被る損失と損害を明記し、改めて気候変動対策が地球規模であることを示すとともに、途上国に対しても環境対策を要請しつつも、資金的な援助を継続して行っていくことも明示しました。

パリ協定ルールブックの完成

パリ協定の6条では、先進国から途上国への技術移転などの方法で、複数の国が協力して温室効果ガスの排出を削減する制度が定められています。しかしながら、参加国の間で排出削減分を分配する際にダブルカウントが生じないかといった懸念が指摘されていたほか、京都議定書で認められていた市場メカニズムで獲得された排出削減分を、パリ協定の下でも活用したいと考える国にとっては、6条ルールの適用はかえって実際の排出量を増やしてしまうという反対意見がありました。

以上から、これまで6条を実施に移すために必要な詳細ルールが決まっていませんでしたが、ダブルカウントとならないよう厳密に測定、報告することや、市場メカニズムの排出削減分は限定的にしか認めないといったルールを整備することで、今回のCOP26でようやく合意に至りました。

 

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COP26の残念な点・残された課題・批判

COP26では成果があった一方で、残念な点や依然として踏み切れなかった課題も残されています。

石炭火力発電の「段階的な削減」

CO₂排出量の多い石炭火力発電については、「段階的な削減」でグラスゴー気候合意に盛り込まれましたが、議長国の英国は「段階的な廃止」というより強い表現での決着を目指していました。最終的には石炭火力をまだしばらくは使いたい国の反発により、「削減」という弱い表現での決着となりました。
この声明には、インドや中国、日本、そしてアメリカも賛同していません

石炭に特定して廃止を呼びかける異例の形となり、世界全体が石炭廃止は気候変動対策に不可欠であることを認識している一方、その取り組みには各国間でいまだ差があることが浮き彫りになりました。

約束期間の長さ

2025年に各国が提出する温室効果ガス排出量削減目標を、2035年目標とするのか2040年目標とするのかを決めることが予定されていました。これは2035年目標とすることに決定したのですが、「奨励する」という表現に留まりました。仮に2040年目標を提出する国があった場合、足並みが揃わず、世界全体の対策に遅れが生じてしまうことが懸念されます。

先進国と途上国・新興国間の溝

気候変動対策の議論は先進国が主導して進めてきており、先進国の働きかけに途上国・新興国が追従する構図が長年続いています。2015年のパリ協定では、気候変動対策がすべての国と地域に拡大されたことで途上国・新興国も対象になり、これを踏まえ、先進国が2020年までに途上国などに対して年間1,000憶ドルを気候変動対策として支出することが合意されていました。しかしながら、この達成は2023年にずれ込む見込みで、このことに途上国から先進国に対して不満を露にする発言が目立ちました。

また、先進国では2050年カーボンニュートラルや2030年までの温室効果ガス排出量削減の50%程度の目標で足並みが揃っていますが、途上国・新興国も同様かと言うと、そうではありません。
カーボンニュートラルを掲げる国は世界全体で80か国近くありますが、今回のCOP26で新たに宣言をした排出量世界第三位のインドの目標年は2070年と、先進国と20年も開いています。世界最大の排出国である中国も、従来からの2060年という目標を変更しませんでした。

以上のように、気候変動対策には先進国と途上国との間に長らく溝が生じたままですが、今回のCOP26でもその溝が埋まることはありませんでした。

グリーンウォッシュ

グリーンウォッシュ(うわべだけ・誤魔化しの環境対策)という言葉が、環境NGOなどから聞かれました。気候変動対策への積極姿勢を見せつつも、実際に達成できる目途は立っておらず、一時的な批判凌ぎや具体策に欠けるといった批判です。

COP26は、気候変動対策における世界全体の指針を定め、各国が達成するための目標を表明する場となっていますが、その目標を達成するための具体策や数字を詰める場では、現状ありません。そうしたことも、うわべだけと見られている原因と言えそうです。

 

日本は何をした?これからどうする?

日本からは岸田首相が出席し、2030年の削減目標や途上国への追加支援などについて演説したほか、山口環境大臣が会合・イベントに参加したことをはじめ外務省、環境省、経済産業省を含む10省庁225名が交渉に参加しました。

パリ協定ルールブックの完成に貢献

長年の宿題であったパリ協定ルールブックの完成において、日本が提案した政府承認に基づく二重計上防止策が、市場メカニズムのルール合意のベースとなり、交渉妥結につながりました。

日本は、独自に二国間クレジット制度という制度を構築し、途上国の排出削減を支援してきたため、パリ協定のルールブック完成は日本のCOP26における重要なテーマの1つで目的でした。ルールブックの完成により、日本の協力によって途上国で実現した排出削減枠の一部が、日本の削減分としてカウントされる道が開けたことになります。

前回に続き「化石賞」受賞

気候変動対策で後れを取る国に皮肉を込めて与えられる環境NGO「CANインターナショナル」による「化石賞」を、前回のCOP25に続き今回も受賞しました。受賞理由は首脳級会合に登壇した岸田首相が、水素やアンモニアを利用した「火力発電のゼロエミッション化」の名の下に、石炭をはじめとした火力発電の維持を表明したことでした。
今回のCOP26は、議長国の英国が石炭火力廃止合意に強い意欲を持って臨んだことから、成果文書に石炭火力の段階的削減が明記される異例の決着となりました。これを踏まえれば、依然として石炭火力を維持する姿勢を見せた日本の受賞は当然かもしれません。

尚、前回のCOP25で2度受賞しているため、今回のCOP26と合わせて日本の「化石賞」は3つとなりました。

ゼロエミッション車化に非署名

2035年までに主要市場で、2040年までに全世界で販売する全ての新車を「ゼロエミッション(環境汚染・廃棄物の排出ゼロ)車」にすることを目指す共同声明を発表しました。議長国の英国やスウェーデン、カナダ、ニュージーランドなど38か国が署名したほか、メルセデス・ベンツやフォード、ボルボ、ゼネラルモータースなどの自動車メーカー11社が署名した一方、日本政府、国内自動車メーカーは署名しませんでした。
署名しなかったのは日本のほかにも国ではアメリカ、中国、ドイツ、自動車メーカーではBMW、フォルクスワーゲン、プジョーなどでした。

日本政府は、2035年までにガソリン車の新車販売を禁止することを発表していますが、この対象はガソリン車とディーゼル車であり、ハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池自動車(FCV)は含まれていません。COP26で発表されたゼロエミッション車とはEVを主軸に置き、HVやPHVを排除していることから、今回の声明には賛同していないものと見られます。このことからも、日本政府および日本の自動車メーカーは、次世代自動車産業はEV一辺倒ではない多様な様式を取ることを模索していることがうかがえます。

途上国への追加支援

岸田首相の演説の中で、途上国に対して5年間で100憶ドルの追加支援を行うことを表明しました。

石炭火力の廃止に不賛同、逆説的に各国間の橋渡し役を期待

前述の石炭火力の段階的削減の声明に、日本は賛同していません。

日本は2030年までの温室効果ガスの排出量削減目標を46%と設定している一方、2030年の電源構成には、依然として石炭火力が2割弱含まれています。先進国からすれば、いつになったら石炭から脱却するんだ、という見方ですが、カーボンニュートラルを進めていくことは変わらないが石炭もある一定の時期まで使いたいという途上国・新興国と利害が一致している面もあります。

カーボンニュートラルの達成時期は、世界全体である程度揃える必要があると思いますが、達成までの道筋は各国によって事情は様々であるため、その方法論は1つや2つではありません。日本は石炭を含む道筋を描いていることから先進国から批判されていますが、同様に石炭を捨て切れない途上国・新興国の事情もおそらく身をもって理解できるため、溝のある先進国と途上国・新興国との間の橋渡し役を担えるかもしれません。

2050年カーボンニュートラル・2030年46%削減を達成するために

まずは、より直近の目標である2030年の46%削減が大きな目標で、10月に公表された第6次エネルギー基本計画における2030年の電源構成の達成を目指していきますが、公表当初からすでに具体策に欠けるとの批判が相次いでいます。
再生可能エネルギーの比率を36~38%にまで引き上げるためには、これまで導入を進めてきた約75%にあたる1,500憶kWhもの再生可能エネルギーを導入する必要があり、これを残り9年で達成する具体策や政策が見えてきていません。また、再生可能エネルギーの目標を仮にクリアしたとしても、46%削減には届きませんので、足りない分を原子力発電で補ったり、省エネによる消費エネルギー量の削減でカバーするとしていますが、こちらも同様に具体策がなく実現可能性は不透明です。
エネルギー基本計画を実現するために政策を定め、具体案を講じていくことが不可欠です。

今回のCOP26において、来年末までに2030年目標の見直しを要請されたことは、再度基本計画を議論し、具体案を導き出す良い機会であるので、COP26を契機として2022年は、2030年に向けて具体策を講じていく年となることを期待します。

カーボン・プライシングの導入が欧州ではすでに進んでおり、日本においても、劇的にカーボンニュートラルを進める起爆剤として期待されています。それでも日本での議論が進まない要因は、既得権益や縦割り行政といった日本独自の組織体制が現在でも根深く残っているためであり、この状況の打破に岸田首相のリーダーシップが問われています。

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