【実用化間近】ペロブスカイト太陽電池の最新動向|いつ市場投入される?
太陽光発電 更新日: 2026.02.02

ペロブスカイト太陽電池の実用化が近いと耳にしても、「いつから市場に出るの?」「結局、従来のシリコンと何が違うの?」といった疑問が挙がります。とくに自治体や企業の設備担当者にとっては、導入時期・コスト・補助金の情報が曖昧なままでは判断ができません。
ペロブスカイト太陽電池は実用化に向けて、環境省・経済産業省が2025年から実証・導入支援を開始。2030年には生産体制を構築、2040年には大規模導入を進める「国策レベルの次世代技術」です。軽量で設置の自由度が高く、国産調達できる材料による安定供給が期待されるなど、これまで太陽光発電が難しかった建物にも可能性を広げています。
そこで本記事では国の公式資料を中心に、ペロブスカイト太陽電池の実用化時期、最新ニュース、メリット・課題をわかりやすく解説します。読み終えるころには「導入を待つべきか、現行のシリコンタイプを選ぶべきか」が判断できますよ。
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実用化間近な「ペロブスカイト太陽電池」とは?
次世代型太陽電池として、世界から注目されているペロブスカイト太陽電池。有機アンモニウム・鉛・ヨウ素の3種類のイオンを、ペロブスカイト結晶構造で配列する材料を用いています。
環境省や経済産業省を中心に、2025年から実証や導入支援が始まりました。従来のシリコンタイプの太陽電池とは違い、薄くてフィルム状の構造をしています。そのため屋根だけでなく、壁面や窓など設置場所が豊富です。
ペロブスカイト太陽電池の特徴は、形状だけではありません。ペロブスカイト太陽電池は低温・短時間で製造可能。製造のエネルギーコストを抑えられます。そのうえ発電効率も高く、室内光でも発電可能です。
これらの特徴が評価されており、今後は次のような導入シーンも広がる可能性があります。
- ビルの外壁全体を利用した大面積発電
- 窓ガラスと一体化した建材一体型太陽電池
- 倉庫や体育館のような耐荷重制限が厳しい屋根への設置
「軽量・高効率・低温製造」という特性は従来のシリコンタイプ太陽電池では対応できなかった領域。そのため、世界から次世代型太陽電池として注目されています。
ペロブスカイト太陽電池の実用化の時期
ペロブスカイト太陽電池は実用化直前の最終段階にあるといえます。環境省と経済産業省では、実証・導入支援から、生産体制、普及までを具体的な目標として掲げています。技術の成熟と国の後押しが同時に進んでいることで、実用化へのカウントダウンは確実に進行中です。
(引用)次世代型太陽電池戦略|経済産業省
これらの動向・ロードマップを踏まえると、「いつ市場に登場するのか」という期待は、これまでになく高まっています。
【環境省】導入支援事業は2025年から開始
環境省では、ペロブスカイト太陽電池の実装・導入支援事業を開始しました。2025年の事業予算は、50.2億円です。
従来型の太陽電池では設置が困難である場所が、導入支援事業の対象です。例えば、体育館やスタジアムの屋根のような曲がった場所です。また施工・導入後の運用に関するデータ提出が必要とされています。
ちなみに公募はすでに終わっています。来年度以降については情報がまだありません。
【経済産業省】GW級の生産体制は2030年までに
ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けての動きは、実証や導入支援だけではありません。経済産業省はペロブスカイト太陽電池の生産体制について、2030年を待たずにGW(ギガワット)級の構築を目指しています。
とくに原材料のヨウ素は、日本で採掘できるため注目です。原材料の生産・供給・製造装置などの重要なものは、国内において強靭な生産体制を確立させようとしています。
【経済産業省】国の長期ターゲットは2040年
需要創出目標として、経済産業省では2040年に約20GW(ギガワット)導入を掲げています。2030年までに量産技術や生産体制を整備し、需要を創出します。それによって2040年には、国内・海外市場に大きく展開する目標です。
例えば東京都では、2040年に2GWの導入目標を策定。都有施設への先行導入で、実証や開発を支援する予定です。
さらに国としては発電コスト水準として、2040年に10~14円/kWh以下を目指します。実証・開発により、従来のシリコンタイプ太陽電池に代わる新技術として、普及を目指します。
実用化に向けたペロブスカイト太陽電池の最新ニュース
ペロブスカイト太陽電池は実用化に向け、工法や材料の開発が進んでいます。国内外で研究・実証の動きが加速しており、最新の動向や技術情報も次々と公開されています。とくに日本では、環境省・経済産業省の支援も追い風となり、企業・大学・自治体による実証フィールドが一気に広がりました。
実用化に向けた最新ニュースとして、積水化学による改良工法の開発と、京都大学による高品質スズ膜の開発を解説します。
建物外壁に設置するための改良工法の開発
積水化学工業株式会社、積水ソーラーフィルム株式会社、株式会社NTTデータ、日軽エンジニアリング株式会社の4社では、2025年10月から開発を始めました。開発内容は、ペロブスカイト太陽電池を建物外壁に設置するための、施工方法です。具体的には、アルミを成形した部材を用いて工法を開発。さらに壁面施工時に、しわ・よれなどを容易に調整する工法も検討しています。
開発は2029年3月まで。塩害地域や都心部建物でも耐久・施工性を検証していきます。
(参照)フィルム型ペロブスカイト太陽電池の壁面設置に向けた改良工法開発を開始|積水化学工業株式会社
鉛フリー型ペロブスカイト太陽電池の高品質スズ膜の開発
材料の研究についても、開発が進んでいます。京都大学では、鉛(Pb)ではなくスズ(Sn)を用いた、高品質薄膜を開発・研究中です。
もともとペロブスカイト太陽電池には鉛(人体に毒性がある)が含まれており、環境負荷の観点から課題となっています。そこで鉛の代わりにスズが注目されていましたが、均一で高品質な薄膜を作製する技術がありませんでした。しかし京都大学化学研究所のグループでは、高品質なスズペロブスカイト薄膜の作製法を開発。防水・耐久性の高い疎水性のある建材上にも対応できるため、注目が高まっています。
(参照)汎用性の高い高品質スズペロブスカイト薄膜の作製法を開発|京都大学化学研究所
ペロブスカイト太陽電池のメリット
ペロブスカイト太陽電池が注目されているのは、以下のメリットがあるためです。

このメリットによって、どのような未来が得られるでしょうか。
軽量で設置場所が選びやすい
ペロブスカイト太陽電池は、従来のシリコンタイプと違って薄いフィルム状に加工できます。そのため軽量で、設置場所を選べるのがメリットです。
- 耐荷重の問題を抱える屋根
- 高層ビルの外壁
- ベランダや窓
屋根に限らず、建物の空き面積で発電できるのがペロブスカイト太陽電池のメリット。導入を諦めていた建物でも、ペロブスカイト太陽電池なら設置できる可能性があります。
主原料のヨウ素は日本で採掘可能
日本は世界有数のヨウ素(I)産出国。ペロブスカイト太陽電池にはヨウ素が必要なため、安定供給できるのは大きなメリットです。国内で採掘できれば、コストは安定します。
- 調達コストの安定
- 輸送コストの低減
- 日本での量産体制の構築
エネルギー資源が少ない日本でも、ペロブスカイト太陽電池なら国産化できます。脱炭素と経済性が両立できるため、日本に向いている新技術です。
エネルギー変換効率が高い
ペロブスカイト太陽電池の材料は、光吸収力が強い特徴があります。そのため従来のシリコンタイプの太陽電池に劣らない、エネルギー変換効率が期待されています。この特性は土地が狭く建物が密集する日本にとって、極めて有利です。
ペロブスカイト太陽電池の実用化・普及によって、以下のような未来が期待できます。
- 都市ビルの窓ガラス発電が一般化
- 極小住宅での十分な発電量確保
- 公共施設の外壁・外装からの安定電源確保
エネルギー変換効率が高いと、少ない面積でも十分な電力を生み出せるのが特徴です。結果として、都心部でも再生可能エネルギーを増やせ、エネルギー自給率の向上につながります。
ペロブスカイト太陽電池の実用化のデメリットや課題
ペロブスカイト太陽電池にはメリットもあり、まさに日本に向いた新技術です。しかしデメリットもあり、課題を解決しなければ実用化・普及しません。
- 鉛が含まれているため安全性への配慮が必要
- 耐久性・寿命が短い
- 量産技術が未確立
これらのデメリットは、どのように解決するべきでしょうか。
鉛が含まれているため安全性への配慮が必要
ペロブスカイト太陽電池の材料には、鉛が含まれています。もしも太陽電池に傷が付き破損した場合、鉛が漏れ出すリスクは否定できません。鉛の毒性は、血液・知能・発達・神経・腎臓などに影響があり、発がん性もあります。
そのため国や企業は、以下の開発を進める必要があります。
- 鉛の漏出防止
- ガラス基板による太陽電池の耐久性向上
- 鉛の代用としてスズを使った太陽電池の研究
例えば先述したとおり、京都大学ではスズを使ったペロブスカイト太陽電池の研究が進んでいます。デメリットである毒性のある鉛の代わりに、スズを使い安全性への課題を解決しようとしています。今後も安全性確保のために、研究・開発は進められるでしょう。
耐久性・寿命が短い
従来のシリコンタイプ太陽電池と比較すると、ペロブスカイト太陽電池は耐久性・寿命が劣ります。ペロブスカイトは湿気・酸素・熱に弱い性質を持つためです。これは最大の課題ともいえます。
さらにシリコンタイプ太陽電池が20~30年の使用実績があるのに対し、ペロブスカイト太陽電池は実証されていない段階です。実際の屋外で20~30年使えるかは検証中で、実用化に向けて開発・研究しています。
量産技術が未確立
ペロブスカイト太陽電池は実用化に向けて、量産技術を確立しなければなりません。工場生産へ移行するための整備がまだである点も、デメリット・課題です。
- 安定した品質で生産する仕組み
- 耐久性を担保した量産方法
- 普及価格になるような量産技術
工場ラインで生産するには、このような課題を解決しなければなりません。国では具体的に、以下のスケジュールで量産技術を確立しようとしています。
(引用)次世代型太陽電池戦略|経済産業省
2025年のペロブスカイト太陽電池導入支援事業は、発電コスト14円/kWhを目指すための実証実験でもあります。現在は課題解決に向けて、着実に動いています。
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ペロブスカイト太陽電池とシリコンタイプの比較
ペロブスカイト太陽電池と従来のシリコンタイプ太陽電池を比較してみましょう。
| ペロブスカイト太陽電池(フィルム型) | シリコンタイプ太陽電池 | |
| 発電層の主要材料 | ヨウ素、鉛※ | ケイ素 |
| 光吸収係数(太陽光エネルギーを取り込む力) | ~10^5/cm ※日陰・室内でも発電可能 |
~10^4/cm |
| 製造日数 | 1日程度(目標) | 3日以上 |
| 製造温度 | 150℃ | 1,400℃以上 |
| 製造工程 | 高度な材料加工・精密な製造プロセス | ターンキー製造 |
| 施工 | 多様な用途・設置形態 (壁面・曲がった屋根・建材一体など) |
確立した設置形態 (地上・屋根・建材一体) |
(参照)次世代型太陽電池戦略|経済産業省
※有機カチオン・金属陽イオン・ハロゲンの3種類が材料であるが、有機アンモニウム・鉛・ヨウ素を用いるのが一般的。
省エネルギー製造
従来のシリコンタイプ太陽電池は、1,400℃にも及ぶ高温処理が必要です。本体となる結晶シリコンを作るために、一度シリコンを溶かして液体にする工程で高温が必要とされます。この高温製造が原因で、製造コストは上がってしまいます。
一方でペロブスカイト太陽電池の製造には、150℃程度でOK。そのため製造にかかるエネルギー量は、シリコンタイプよりも抑えられます。
製造スピード
製造スピードの面でも、ペロブスカイト太陽電池はシリコンタイプよりも優れています。1,400℃以上に溶かす工程のあるシリコンタイプ太陽電池は、冷やす工程も必要となり、製造に3日以上かかってしまいます。
ペロブスカイト太陽電池の場合まだ量産技術は確立されていませんが、低温製造のため短工程で製造できる見込みです。実用化に向けてはこれからですが、1日程度の短時間製造を目指し開発が進められています。
施工箇所
従来のシリコンタイプ太陽電池は、地上や屋根上のような構造強度があり平坦な場所にのみ施工可能。なぜならば材料となるシリコンに重量があるため、施工箇所が制限されるためです。
一方でペロブスカイト太陽電池は軽量で柔軟性のある素材です。そのため施工箇所の耐荷重制限がクリアしやすくなります。さらに光吸収力も強いため、シリコンタイプよりも少ない面積での発電が可能。つまりシリコンタイプのように広大な土地や屋根でなくとも、壁面や窓ガラスの施工・発電が期待されています。
ペロブスカイト太陽電池の実用化に関するFAQ
ペロブスカイト太陽電池の実用化は、2030~2040年あたりになります。実用化に向けた最終段階であるペロブスカイト太陽電池に対して、よくある質問を紹介します。
すでにペロブスカイト太陽電池を取り入れた事例はあるか?
すでにいくつかの実証実験が開始されています。福岡県のJR九州博多駅では、ホーム上にフィルム型ペロブスカイト太陽電池を設置しています。当面の間、発電や取り付け状態を確認して、電力や耐久性のデータを集める計画です。
駅ホーム屋根にペロブスカイト太陽電池を設置した発電実証実験は、国内初の取り組み。2025年10月21日に開始されました。
また他にも以下の場所が、ペロブスカイト太陽電池の導入事例として挙げられます。
- バスターミナル
- 小学校体育館
- モデル住宅のバルコニー
多様な施設で、ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた実証実験は始まっています。
ペロブスカイト太陽電池の価格はいくら?
ペロブスカイト太陽電池は量産技術が確立されていないため、価格は未定です。2030年までに生産体制を整える予定のため、それまでは価格不明でしょう。体制が整って普及されるまでは、シリコンタイプの太陽電池と比べて高価になる可能性も考えられます。
ただし国は、2040年に発電コスト10〜14円/kWh以下を狙っています。これは現在のシリコンタイプと同等かそれ以下の水準です。つまり量産ラインが整い、材料コストが安定すれば、将来的には価格が大きく下がる見込みがあります。
従来型のシリコン型パネルとどっちを選ぶべきか?
今すぐ導入するのであれば、シリコンタイプの太陽電池がおすすめです。ペロブスカイト太陽電池は新技術のため未確立な部分もあります。そのため価格や保証、施工体制も不明確で「実用化まで待つべき」とは言い切れないためです。
太陽電池の導入を検討中であれば、まずはお気軽にご相談ください。相談・補助金申請・工事・アフターフォローまで、まるっとお任せください。
ペロブスカイト太陽電池の最大手メーカーはどこか?
国も企業も開発段階のため、最大手メーカーを明言することはできません。しかし日本国内では、以下の有名企業がペロブスカイト太陽電池の実証実験や開発を進めています。
- 積水化学工業株式会社
- パナソニックホールディングス株式会社
- 株式会社東芝
研究だけでなく、実証・社会実装の流れも推進していて、国内でも実用化をリードする存在です。
もちろん他にも、技術開発を進めるメーカー・企業はいくつかあります。
ペロブスカイト太陽電池に補助金は使えるか?
現在は実証導入としての補助金がでています。例えば公募は終了しましたが、環境省では導入支援事業をしていました。
もしも補助金を使って太陽電池を導入したいのであれば、従来のシリコンタイプの太陽電池がおすすめです。すでにさまざまな補助金があるため、企業・施設にあったものを選択できます。詳しくは以下の記事で解説しているので、あわせてお読みください。

【最新版】法人向け太陽光発電の補助金総まとめ
環境省、経済産業省、国土交通省が公表した最新の補助金情報をまとめました。自治体の補助金も代表的なものを紹介しています。
ペロブスカイト太陽電池は実用化に向けて研究・開発段階である
ペロブスカイト太陽電池は、国が明確な導入スケジュールを定めた次世代技術です。2025年から実証導入が開始され、2030年には生産体制が整い、2040年には大規模な普及を目指しています。軽量で高効率、日本で産出可能なヨウ素を活用できる点などが、メリットです。しかし安全性・耐久性・量産技術といった課題は、現在も解決段階にあります。
そのため、「今すぐ導入したい場合はシリコンタイプ」「長期で新技術を視野に入れたい場合はペロブスカイトの進展を追う」という判断が現実的です。最新の補助金制度や支払い方法も、シリコンタイプの太陽電池は選択肢が豊富です。
今後ペロブスカイト太陽電池は、建物の外壁や窓などへの利用が進み、日本の建築環境に大きな変化をもたらす可能性があります。ぜひ本記事を参考に、自社の導入時期や設備計画に最適な選択を検討してみてください。
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