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介護施設で電気代を削減するには?

ブログ 更新日: 2023.04.10

介護施設の経営において、電気代は欠かせない費用の一つです。しかし、多くの高齢者が生活する介護施設では、生活しやすい環境を作るために日中でも電気をつけ明るくしたり、冷暖房設備による快適な空間を提供し続ける必要があります。そのため、多数の電気機器を使用することにより、高額な電気代がかかることも珍しくありません。

また、昨今の電気代の高騰によって例年と同じ電気の使用量でも電気代が膨れ上がり、施設経営を圧迫してしまう事態も発生しています。電気代の削減は安定した経営を続けるためにも早急に解決する必要があります。

本記事では、介護施設の電気代を削減する方法についてご紹介します。電気代を削減し、環境にも経営にも優しい施設運営にお役立てください。以下のバナーからは、昨今の電気代高騰の要因と設備投資による電気代削減手法をまとめたハンドブックをダウンロードいただけます。併せていかがでしょうか。


介護施設の電気使用状況の特徴

まずは、介護施設における電気使用の特徴からみていきましょう。介護施設では、1日の稼働時間が昼間のみ(8時間程度)利用される「通所施設」から、24時間365日運営している「入所施設」まであります。特に24時間居住し続ける「通所施設」は共同住宅的機能があり、施設の用途的には「ホテル」に近く、若干の医療行為も行われます。

そのため、調理・洗濯・清掃などの業務に関係する電気機器を多数使用します。また、居室や共有スペースなど、明るく清潔感のある場所作りが求められるため、照明にも多大な電力が必要です。入居者に快適な空間を提供するだけでなく、共同住宅的な機能を持つため、介護施設は空調設備、厨房機能、給湯などによる電気使用の割合が高い傾向にあります。

こうした電気代の高騰による経営負担が大きな問題となっています。介護施設の運営において、従業員の給与や介護用品の購入などに多額の費用がかかるため、その中でも電気代の割合が高くなると、経営が圧迫されます。原油価格高騰やウクライナ情勢などの様々な要因を受けて、電気料金は値上がりを続けています。今年の2月から政府による電気ガス価格激変緩和対策事業による電気代の補助が始まり、一時は電気代の低下が見込まれますが、この補助事業の終了後はさらなる値上げも懸念されています。このため、恒常的な電気使用量の削減、省エネへの取り組みが必要不可欠な課題となっています。

介護施設が省エネに取り組むことのメリット

経費削減

介護施設の特徴としてエアコンや照明などが電力消費量の割合を多く占めるため、省エネによる経費削減効果が期待できます。
省エネ型の設備は、通常の設備よりも高額な場合もありますが、長期的にみると、ランニング経費の削減によって投資した分を回収することは十分可能です。

快適性の向上

また高齢者は、温湿度に敏感であり、冷房をあまり好まないことや、空調の風が直接当たることを嫌う人が多いと言われています。空調設備の温度調整だけに頼らずに、断熱材の充実や窓の二重化にすることで、室内の温度や湿度が適切に調節でき、利用者の方々へより快適な居住環境を提供できます。

介護施設の電気代削減につながる取り組み

具体的な電気使用量削減方法について見ていきましょう。

照明設備の改善

まずは照明の見直しです。必要のない場所で照明を消すことや、自然光を取り入れることが挙げられます。また、LED照明や省エネ照明の導入による照明の効率化も有効です。LED照明は、熱が発生しないため、冷房の負荷を減らすことができます。
そのほかにも、使用時にのみ点灯する人感センサーを更衣室、給湯室、トイレ、廊下、非常階段など常時点灯が不要な場所に設置することで電気使用量の削減につながります。

空調設備の運用改善

次に、エアコンの設定温度の見直しです。
空調設備の設定温度と実際の室温が同じとは限りません。室温が適正温度となるよう温度計で確認して、リモコンの設定温度を調整しましょう。東京都では、快適性を損なうことのない実際の室温で「夏期:28℃、冬期:20℃」を目安に、それを上(下)回らないように節電することを推奨しています。
一般的に、冷暖房の設定温度を1℃緩和することで、空調設備エネルギー使用量の約10%が削減できます。サーキュレーターを使用することで、温度ムラや、過度な冷やし過ぎ、温め過ぎの防止ができ効率的な空調設備の運転ができます。居室等に標準設定温度を明記することで、利用者と一緒になって省エネに取り組むようにしましょう。

また、エアコンの定期的なメンテナンスも忘れずに行いましょう。室内機のフィンコイルやフィルターの汚れ・目詰まりは、運転効率を大幅に低下させ、無駄なエネルギーを消費します。フィルターの清掃は水洗いが基本ですが、定期的に掃除機で埃を吸い取るだけでも効果を得られます。

OA機器の省エネルギー対策

次に、OA機器の設定や使い方の見直しです。
例えば、PCやプリンター、コピー機などの電気機器は、電源をオフにしても待機電力を消費しています。就業時などにはコンセントからプラグを抜くか、スイッチ付テーブルタップの活用や、自動的にスリープ状態に移行する省エネモードの設定が有効です。

以上のように、電化製品の待機電力の削減やこまめな消灯、最新省エネ製品の導入による設備改善が電気代削減のための取り組みとして挙げられます。
節電は、従業員だけでなく介護施設に入居する方々に対しても協力を呼びかけるなど、意識改革の徹底が必要となり、浸透まで時間がかかる場合もあります。
さらに、省エネに取り組んだものの思った以上の節電効果を感じられない場合もあります。

省エネの取り組みも非常に大切ですが、省エネだけでは電気代の大幅な削減は難しいことが現状です。電気代の削減には、そもそも電力会社から電気を買う量を減らすことが最も有効な手段と言えます。使う電気を減らすのではなく、創ることで大幅な電気代の削減につながります。

エネルギーマネジメントシステム(EMS)の導入

エネルギーマネジメントシステム(通称EMS)は、施設内の電力やガス、水道などのエネルギーの使用をリアルタイムで見える化し、使用量を集計・分析することができます。
これにより、無駄なエネルギー使用を早期に発見できるだけでなく、エネルギー使用量の傾向や特性を把握し、効果的な省エネ対策を講じることができます。

EMSは省エネを進めるにあたって、現状把握に必須のシステムと言えます。エネルギーマネジメントの取り組みは、EMSによる現状の見える化から省エネ対策の計画、実行、分析、改善を行う一連のサイクルで回っています。そのため、現状把握に必須のシステムです。
エネルギーの消費量や頻度を把握し、優先的に取り組む省エネ対策がわかり、効率的な対策を実現します。また、省エネ対策に取り組んだ効果を数値化することが可能であることから、講じた対策の結果の分析から改善から新たな実行にも役に立ちます。

介護施設で太陽光発電を導入して電気代を削減!

電力会社から購入する電力量を減らすためには、施設の屋根などに設置した太陽光発電によって発電した電力を自家消費できる「自家消費型太陽光発電」の導入が最も効果的です。
太陽光発電で発電した電力を消費しながら、足りない分については引き続き電力会社から供給されるため、電気が不安定になることはありません。

また、自家消費した電力については、燃料費調整単価や再エネ賦課金を負担する必要がないこともメリットとして挙げられます。特に最近では、燃料費調整単価の高騰により電気代の高騰が続いており、毎月の支出となる固定費の変動リスクを小さくできることは安定した施設経営につながります。

蓄電池を併用して最大限に活用

さらに、蓄電池を併せて導入することで、太陽光発電を最大限に活用することができます。太陽光発電によって日中に発電した電気の消費しきれない分を、蓄電池に貯めて、太陽光発電の発電量だけでは賄いきれない時間帯や、夜間に蓄電池から放電を行うことで電気代の削減ができます。

また電気料金のプランによっては、電気料金が安い夜間に蓄電池に電気を貯め、電気料金が高い・電力消費量が増える日中に夜間貯めておいた電気を使用するなど、蓄電池の活用方法を工夫することで電気代の削減が可能です。

太陽光発電を導入することによる付加効果

環境負荷の低減

太陽光発電により発電した電気を自家消費することで、その自家消費分だけ、石油や天然ガスなどの化石燃料由来の電力から再生可能エネルギーの電力に切り替えられます。
つまり、太陽光発電により発電した分、化石燃料の消費量が減り、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を削減することができます。
環境への負荷が低減することで、介護施設を取り巻く地域からの信頼や評価も高まることが期待されます。環境を意識した経営は、介護施設の持続的な発展と地球環境保全の両立につながるといえます。

災害時の停電対策としても役立つ

太陽光発電の導入は、電気代削減だけでなく災害時の非常用電源としても活用できます。
高齢者が利用する介護施設では、災害時などの非常事態でも照明や空調、医療設備を動かすことのできる非常用電源を確保しておく必要があります。
自家消費型太陽光発電であれば災害時に停電した場合にも、日中であれば太陽光で発電した電力を利用することが可能です。

また、太陽光発電と併せて蓄電池を併用することで、日中に発電している間は自分達で消費し、余った電力を蓄電池へ充電し、夜間や雨天の際は蓄電池から放電を行うことができます。太陽光発電で電力を供給しながら蓄電池で電気を貯めることができるのでお互いに補完して長期的な停電にもある程度対応することができます。

2024年から介護施設にはBCP策定が義務付けられます。非常事態に必要な介護サービスを提供できるように、研修および訓練(シミュレーション)の実施も併せて義務化される内容で、介護サービスを提供するすべての施設・事業所に対応が求められます。

まとめ

以上が、介護施設における電気代削減のための取り組みについての解説です。
介護施設における電気代削減は、環境面や経費面に大きなメリットがあり、省エネやLED照明の導入といった設備改善などの方法があります。

しかし、省エネへの取り組みだけでは電気代の大きな削減は見込めず、太陽光発電による抜本的な対策が必要といえます。
太陽光発電を導入し、電気代の削減により投資回収ができるほか、令和5年度の太陽光発電補助金を活用できれば、投資回収をより短くできます。


介護施設にとって、電気代の削減は大きな課題ですが、適切な取り組みを行うことで、経費削減だけでなく、環境負荷の低減にもつながります。介護施設がより快適な場所となり、入居者の健康にも配慮した施設づくりを目指すためにも、今後も積極的に取り組んでいくことが求められています。太陽光発電でどれくらい電気代の削減が見込めるかご興味ございましたら以下のページよりコスト削減シミュレーションを行うことができます、ご検討の際にお役立てください。
医療・介護・福祉施設に太陽光発電を設置して電気代削減!

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