CO₂見える化サービス徹底比較|GX担当者必見の失敗しない選び方
脱炭素 更新日: 2026.02.12

脱炭素やカーボンニュートラルへの対応が進むなか、企業にはCO₂排出量を「数値で示す」よう求められています。取引先や金融機関から開示を求められ、慌ててExcel集計を始めたという企業もあるでしょう。
しかし人力による管理には、限界があります。Scope3まで含めた算定や継続的な管理を考えるなら、専用のCO₂見える化サービスの導入が現実的な選択肢です。
そこで本記事では、CO₂見える化の基礎知識や主要SaaSサービスを5つ比較しています。自社にあったサービスを選ぶには、対応すべきScopeや規模・目的に対して費用対効果が合うかの判断が重要です。
導入の失敗を避けるためにも、選び方のポイントまで確認しておきましょう。
CO₂見える化サービスとは
自社がどこで・どれくらいCO₂を排出しているかを計測し、数字で把握できる状態にするのが、CO₂見える化です。そうした機能を提供するサービスを「CO₂見える化サービス」「CO₂排出量管理システム」などと呼称しています。
例えば、「電気を10kWh使った」「ガソリンを60L使った」などは、排出したCO₂が数値化できません。
「当社は年間に○○t排出しています」と言える状態にするには、排出量の算定と継続的な管理が必要です。そのための手段として、CO₂見える化サービスの利用が挙げられます。
必要とされる背景
なぜ、CO₂見える化が必要とされているのでしょうか。脱炭素やカーボンニュートラルにどれだけ対応しているのか、数値で把握する必要性があるからです。
近年、企業の環境対応は「取り組んでいます」ではなく、数値で示すことが求められる段階に入っています。
例えば、次のような外部要請です。
- 取引先からのCO₂排出量開示要請
- 投資家・金融機関からのESG評価
- 行政や業界団体による開示ルールの整備
ただしCO₂排出量を、Excelで計算するような、人力での管理には限界があります。排出係数の更新漏れや、拠点数が増えると集計が煩雑な点で、人力管理は向きません。
ここでCO₂見える化サービスを利用すると、排出量を効率的・継続的に把握できます。
つまり外部からの「お宅はどのくらいCO₂を使っているの?」の問いに対し、CO₂見える化サービスで答えを出すイメージです。
Scopeとは?
CO₂見える化と一緒に出てくる単語に、Scopeが挙げられます。Scopeとは、どこまでのCO₂排出を自社の排出量として算定するかを定めた区分です。
| 区分 | 定義 | 具体例 |
|---|---|---|
| Scope1 | 自社で燃料を燃やして発生するCO₂ | 工場のボイラーや社用車のガソリン |
| Scope2 | 電気や熱などの購入したエネルギーの使用によるCO₂ | オフィスや工場で使用する電力 |
| Scope3 | 自社の活動に関連するサプライチェーン全体の排出 | 原材料の調達、出張や通勤などの移動、物流など |
Scope3は対象範囲が広く、データ収集が難しい特徴があります。取引先や物流会社など、自社の外部にある活動も含まれるため、データ収集の難易度が高いのが特徴です。
企業の規模や業種によってScopeの対応範囲、つまり「どこまで見える化するか」が決まります。
CO₂見える化サービスでできること
CO₂見える化サービスを活用すると、排出量の算定から可視化、目標管理までを一貫して行えます。まずは「どれだけ排出しているのか」を正確に算定することが第一歩です。
排出量算定
CO₂見える化サービスでは、電気・燃料・輸送量などの活動データをもとに、CO₂排出量を自動算定できます。排出係数(CO₂換算のルール)が最新の基準に自動更新される場合、基準変更にも対応しやすくなります。
さらに、拠点別や部門別、年度別など、切り口を変えて再計算が可能。Excel管理で起きがちな計算ミス・係数ミスを防ぎ、算定根拠を明確に、排出量を算定します。
可視化・レポート作成
CO₂見える化サービスでは、単に排出量を算定するだけではありません。算定した排出量をグラフやダッシュボードで可視化できます。これらのグラフは、拠点別・Scope別・時系列など、状況を一目で把握できるものです。
さらにレポートを自動生成し、社内共有や報告資料に使えるため、外部からの要請にも分かりやすく状況を説明できます。
- 月次・年次の推移グラフ表示
- Scope別の円グラフ表示
- PDFやExcel形式でのレポート出力
これらを使えば、CDP回答や取引先からの開示要請などに、すぐに対応できますよ。
目標管理
前年比・中長期目標などの削減目標を、数値で設定できる点もCO₂見える化サービスの特徴です。
「毎年少しずつCO₂削減します」では、外部からの納得も得られません。脱炭素やカーボンニュートラルが当たり前になりつつある現代では、具体的な削減目標が重視されます。
CO₂見える化サービスを使えば、実績と目標を自動で比較・進捗管理できます。「毎年○t削減目標を掲げていて、現在は○t排出しています」と、具体的な数値で発表できるでしょう。
つまり削減施策の効果を、排出量ベースで検証でき、算定して終わりではなく改善につなげる運用が可能です。
CO₂見える化サービス比較
CO₂見える化サービスの多くは、クラウド上で利用できるSaaS型として提供されています。ここでは、よく挙げられるCO₂見える化サービスでSaaS型のものを、5つ比較してみました。
| サービス | 運営会社 | Scope対応 | おすすめ規模 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
ASUENE |
アスエネ株式会社 | Scope1〜3 | 中小〜大企業 |
|
Zeroboard |
Zeroboard Inc. | Scope1〜3 | 中〜大企業 |
|
e-dash |
e-dash Co., Ltd.(三井物産100%子会社) | Scope1〜3 | 中小企業 |
|
scopeX(TBM) |
株式会社TBM | Scope1〜3 | 中小〜大企業 |
|
Sustana |
アスエネ株式会社 | Scope1〜3 | 中〜大企業 |
|
機能がカスタマイズ前提のため、価格は個別見積もりのケースがほとんどでしょう。そのため、単純な価格比較よりも「自社の条件でいくらになるのか」を確認することが重要です。
気になるサービスをいくつかピックアップし、それぞれ見積もりを作成してもらいましょう。見積もり後にどのような観点でサービスを選べばいいかは、次の項目で解説します。
CO₂見える化サービスの選び方
CO₂見える化サービスを選ぶときは、次の3つのポイントを意識すると、自社にあったものが選べます。

どのサービスも一見似ているように見えますが、重視すべきポイントは企業によって異なります。まずは判断軸を整理してから比較していきましょう。
選び方①:自社が対応すべきScopeに合っているか
まずは自社で、どのScopeまで算定・管理する必要があるかを明確にしましょう。自社にあったScopeで、CO₂見える化サービスを選ぶ必要があります。
また次のポイントも意識して選ぶと、持続してCO₂排出量を算定できます。
- Scope1・2のみで足りるのか、取引先要請などでScope3対応が必要か
- Scope3の算出方法やデータ収集のしやすさも確認
- 将来的にScope拡張が必要になった場合も対応できるか
Scope対応範囲によって費用や運用負荷が変わる場合がありますが、将来的にScope3拡張が必要になるケースまで考えておくと安心です。
選び方②:業務効率化につながる設計か
入力や集計の手間が減るかを確認しましょう。自動連携や集計方法については、サービス比較時の重要事項です。
次のようなデータとどのように連携するのかを比較してみてください。
- 電力やガスのデータ
- 出張・交通費データ
- サプライヤー情報
例えば電力の場合、スマートメーターで取得されるデータと紐づけられると手間が減ります。属人化せずに運用できるか、日常的に更新・確認できる仕組みか、気になるサービスを比べてみましょう。
選び方③:自社の規模・目的に対して費用対効果が合うか
自社の規模やCO₂削減目標に対して、機能が過不足ないか、費用対効果を重視しましょう。CO₂見える化サービスは個別見積もりによって価格が分かります。自社にあった見積もりを提案してもらい、費用と内容を比較してみてください。
重要なのは、単純な費用だけではありません。安さだけで選ぶと、将来のScope拡張や開示対応で追加コストが発生する可能性もあります。さらに以下の項目も含めて考えてみましょう。
- 導入支援
- サポート体制
- 運用にかかる工数
初めてのCO₂見える化サービスだからこそ、サポート体制があると安心です。将来的に使い続けられるかを検討しましょう。
CO₂見える化サービスを検討中の人によくある質問
CO₂見える化サービスの比較や、選び方について解説しました。それでもサービスについて不安が残るケースもあるでしょう。
「本当にExcelでは限界なのか?」「今すぐ対応しなければいけないのか?」などの疑問は、多くの担当者が共通して抱えるポイントです。とくにGXや脱炭素の業務は、専任担当が少ない企業も多く、できるだけ無駄な投資は避けたいと慎重になるのは自然なことでしょう。
そこでここでは、CO₂見える化サービスを検討する際によく寄せられる質問を整理し、実務の観点から分かりやすく解説します。
Q1:CO₂見える化はExcelでできませんか?
一時的な対応であれば可能ですが、継続的な運用を考えると次の理由でおすすめできません。
- 属人化
- Scope3で破綻
- 毎年の業務
毎年まとめてExcelで入力するには、業務の負担が大きく、ミスも発生する可能性があります。Excelで管理する人件費を、CO₂見える化サービスの利用料に充てた方が、結果的に業務効率・正確性どちらも高くなりますよ。
Q2:CO₂見える化・可視化は義務ですか?
現時点では、すべての企業に一律でCO₂見える化が義務付けられているわけではありません。しかし取引先や金融機関から、情報開示を求められるケースは今後増えていくでしょう。CO₂見える化については、準備を進める企業が増えている段階といえます。
ちなみに義務化については、太陽光発電の設置目標も話題になっています。設置目標についてまだ知らない場合は、ぜひ以下の記事を参考にしてください。

【2026年から】太陽光発電の設置義務化|工場屋根などへの設置目標
「屋根に設置できるのか・どれくらい余地があるのか」を報告し、導入目標を提出する報告制度がスタートします。建物の状態によっては太陽光を載せる必要はなく、耐震不足や劣化などの理由があれば「設置困難」として報告できますよ。
Q3:無料のCO₂見える化サービスはありますか?
簡易的な算定や診断であれば、無料のCO₂見える化サービスツールが提供されている場合もあります。しかし以下の制約があるため、継続運用には向きません。
- 対応できるScopeが限定的
- データ更新や継続運用に向かない
- レポートや開示対応には不足する
現状把握や試算には使えますが、本格的に継続管理するならSaaS型サービスの契約を検討しましょう。
CO₂見える化サービス導入で排出量を数値化しましょう
CO₂見える化は、単なる環境対策ではなく、企業経営の基盤になりつつあります。「どれだけ排出しているか」を把握できなければ、削減も説明もできません。
近年は、取引先や金融機関からの開示要請、制度整備の進展などにより、排出量を数値で示す場面が増えています。CO₂見える化サービスは、算定・可視化・目標管理を効率的に行う手段として活用しましょう。
さらにサービスを選ぶ際は、次の3点が重要です。
- 自社が対応すべきScopeに合っているか
- 業務効率化につながる設計か
- 自社の規模や目的に対して費用対効果が合うか
価格だけで判断するのではなく、将来的なScope拡張や開示対応まで見据えて検討することが大切です。まずは自社の排出量算定の範囲を整理し、気になるサービスで見積もりを取得してみましょう。
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