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法人向け高圧電力の賢い電気の選び方|再生可能エネルギーで脱炭素化

ブログ 更新日: 2022.10.27

2016年の電力小売全面自由化により、多くの新電力が参入してきたことで、電力会社をより自由に選べるようになりました。新電力会社の数は優に700社を超えるほどです。しかし、実際に自社が契約する電力会社を見直す際、700社以上ある電力会社の中からどのように選べば良いのでしょうか。
この記事では、法人を対象とした賢い電気の選び方について解説します。

前提知識として、こちらの電気代の仕組みについても確認しておくと、理解がより深まります。


今さら聞けない「電気代の仕組み」と今後の推移

今さら聞けない「電気代の仕組み」と今後の推移

電気代は大きくわけて3つの料金から構成されます(基本料金・電力量料金・再エネ賦課金)。月々の電気料金は、契約容量で決まる基本料金と、使用電力量に応じて変化する電力量料金に、再生可能エネルギー発電促進賦課金を加えた合計です。


以下では、企業が電気代の削減に取り組む際の手法をまとめたハンドブックをダウンロードいただけます。

高騰する電気代に対して企業が取り得る電気代削減手法をまとめたハンドブック資料

 

 

電力の小売り全面自由化

電気の購入先は以前までは、各地域の電力会社(東京電力や中部電力など)からしか選べませんでした。それが2000年3月の電力の小売り自由化により、大規模工場やデパート、オフィスビルといった「特別高圧」区分で電力を自由に選べるようになり、自由化により新規参入した新電力からも電気を購入することが可能になりました。

続いて2004年4月・2005年4月には、小売り自由化の対象が中小規模工場や中小ビルといった「高圧」区分へと拡大し、2016年4月1日には、家庭や商店などの「低圧」区分でも電力会社を自由に選べるようになりました。

この2016年の低圧区分までの自由化をもって、電力小売全面自由化とされます。

 

特別高圧・高圧電力とは

電力の自由化は「特別高圧」「高圧」「低圧」の順で対象が拡大されてきたとご紹介しましたが、そもそもこの区分は一体どういう意味なのでしょうか。

特別高圧

「特別高圧」とは、直流・交流どちらとも7,000V超の電圧のことであり、大規模工場やデパート、オフィスなどの大量の電力を使用する施設で用いられます。送電線を工場などの施設内に、変電所から直接引き込み電流を流す必要があります。

電力会社の電力契約区分では、受電電圧が20,000V以上、かつ契約電力2,000kW以上が対象となります。

高圧電力

「高圧電力」とは、直流で750V超~7,000V以下、交流で600V超~7,000V以下の電圧ことであり、これらの電圧が各施設のキュービクル式高圧受電設備(通称:キュービクル)に届けられ、キュービクル内で100Vや200Vに変換され、企業のオフィスなどで通常使用されます。

電力会社の電力契約区分では、契約電力50kW以上が対象となります。

低圧電力

「低圧電力」とは、直流で750V以下、交流で600V以下の電圧で、電流に設置されている柱上変圧器(トランス)で100Vと200Vに変換され、家庭などで使用されます。

 

ここまでで特別高圧と高圧が法人向け、低圧が家庭向けであることがわかりました。それでは、法人が特別高圧・高圧電力プランを選ぶ際、どのような選び方が賢い選び方になるのでしょうか。

 

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法人向け高圧電力の賢い選び方

賢い電気の選び方の1つとして今回ご紹介するのは、再生可能エネルギーから創られた電気を購入する、ということです。

近年、深刻さを増す自然災害への対応策として

現在、地球温暖化による気候変動が深刻な問題となっています。
記憶に新しい平成30年7月に西日本から東海地方を襲った記録的な大雨では、死者224人、住家被害では全壊6,758棟、床上浸水8,567棟など多大な被害が発生し、気象庁はこの大雨の原因として地球温暖化を挙げています
このまま、このような気候変動が続くようでは、従来からの手法を取り続ける企業の存続も難しくなることが考えられ、企業にも早急な地球温暖化対策が求められています。

再生可能エネルギーは発電時に地球温暖化の原因である温室効果ガスを排出しませんので、電力会社が提供する再エネ由来のプランに切り替えるだけで、地球温暖化対策を講じることができます。

しかし、注意点もあります。

再エネプランにはトラッキング付きプランとそうではないプランの大きく2つがあり、トラッキング付きプランでないと、実質的に地球温暖化対策に貢献しているとは言い切れません。

電気は再エネ由来であろうが、火力由来であろうが、原子力由来であろうが、発電する電気の質は同じなので電線に入ってしまったら、どの発電由来の電気なのかわからなくなってしまいます。つまり、電線に入ったら最後、みんなごちゃ混ぜになり、送られてくる電気が再エネかどうか、わからなくなってしまいます。

これを再エネだと判別するのがトラッキングです。

再エネ発電所に機器を取り付け、その発電所で発電された電気が間違いなく再エネ由来であることをタグ付けします。そのタグ付けされた電気は、例え電線に入ったとしても再エネ由来のタグが付いているので、再エネ由来の電気として消費先の企業の事務所に供給できるのです。

電力会社の再エネプランを契約する際は、このトラッキングが為された電気を購入できるかを必ず確認してください。

RE100、SDGs、ESG、環境問題に関する企業への責任は増している

現代では、RE100やSDGs、ESG投資など企業の地球温暖化対策や環境への配慮が、以前よりも数段増して注目されています。

RE100とは、企業が自社で消費する最終エネルギー量を再生可能エネルギー100%にすることを推進する国際イニシアチブで、企業による再生可能エネルギー100%宣言を可視化するとともに、再生可能エネルギーの普及・促進を求めるもので、世界全体での参画企業数は345社、日本からはアメリカの84社に次ぐ63社が参画しています。(2021年12月14日時点 参照:環境省資料)

SDGsとは、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)の略で、2015年9月の国連サミットで採択された2030年までに持続可能でより良い世界を目指すための国際目標です。17のゴールに169のターゲットで構成され、地球上の「誰一人取り残さない」ことを誓っています。
SDGsについては、最近良く見聞きするようになった方も多いと思います。企業の経営者様やご担当者様はCSRの延長線上と捉えがちですが、環境・経済・社会の3つを有機的につなげることを掲げており、SDGsへの取り組みがビジネスにつながることを推奨しています。CSRは本業での利益の一部を社会や環境に還元するという考え方だったかもしれませんが、SDGsではビジネスで利益を出しながら社会や環境に貢献します。

ESG投資とは、財務情報だけではなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資のことを指します。企業経営のサステナビリティが評価されるようになり、気候変動などを念頭に置いたリスクマネジメントなどを評価するものとして注目されています。

 

このように、世界中で企業の地球温暖化対策が注目され、新たなビジネス時流で企業存続していくためには必要不可欠な要素となってきています。

費用面だけで考えると、再生可能エネルギーを使える再エネプランへの切り替えは電気料金の上昇というコストが発生します。しかしこのコストを、SDGsの理念のように環境への取り組みでビジネスを発展させていくための先行投資という考え方にシフトしていかなければ、気付いた頃には周りには誰もいなくなってしまうかもしれません。

 

以下から、現代ビジネスの本流である「脱炭素」について、企業の脱炭素経営手法をまとめたハンドブックをダウンロードいただけます。これから具体的に取り組んでいくための情報収集として、ぜひお役立てください。


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