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COP27の成果とは?結果をわかりやすくまとめます

ブログ 更新日: 2022.12.21

2022年11月6日から20日にかけて、エジプトで開催されたCOP27(国連気候変動枠組条約第27回締約国会議)の成果と結果についてわかりやすくまとめます。

各種報道でも触れられているように、今回は気候変動によってもたらされた「損失と損害(ロス&ダメージ)」が初めて主要議題として扱われ、途上国を支援する基金の創設で合意がなされたほか、気候変動対策に関する実施計画が全会一致で決定されました。一方で、気候変動対策に関する合意は不十分という評価で、1.5℃目標達成への明確な進展は得られませんでした。

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COP27とは?開催前の焦点

まず初めに、COP27の概要について簡単に触れておきます。

COP27とは"The 27th session of the Conference of the Parties to the United Nations Framework Convention on Climate Change"の略で、日本語では国連気候変動枠組条約第27回締約国会議と訳されます(環境省訳)。1995年にベルリンで第1回目が開催されてから、コロナパンデミックによる延期を挟みながら、年に1回開催されてきています。

京都議定書第17回締約国会合(CMP17)、パリ協定第4回締約国会合(CMA4)、科学上及び技術上の助言に関する補助機関(SBSTA)及び実施に関する補助機関(SBI)第57回会合も併せて開催されました。

COP27開催前の焦点

前年のCOP26の成果である「グラスゴー気候合意」からさらに踏み込み、具体的な気候変動対策の強化に至れるか、
現状の温室効果ガス排出削減ペースでは、パリ協定の1.5℃目標の達成は不可能とされる中、各国が2030年温室効果ガス削減目標を更新するか、
気候変動によって途上国が被っている「損失と損害(ロス&ダメージ)」に対して、先進国が実効力のある支援を約束できるか、

この3点が主な焦点と見られていました。

 

COP27の成果・結果

COP27の結果として、1.5℃目標の追求や2030年CO₂削減目標の見直しおよび強化など、気候変動対策の強化を求める「シャルム・エル・シェイク実施計画」が全体(カバー)決定されました。このほか、2030年までの緩和と野心を強化するための「緩和作業計画(MWP)」を策定、「損失と損害(ロス&ダメージ)」への支援および基金の創設、パリ協定第6条に関連した詳細ルールなどが決定されました。

「シャルム・エル・シェイク実施計画」が全体決定

「シャルム・エル・シェイク実施計画」はCOP27における全体(カバー)決定です。全体(カバー)決定は、個別交渉議題ごとの決定事項とは別に、COP全体の総括に加えて、COPでの議論を超え、気候変動問題全体に対する全世界の方向性を全締約国の総意として示します。「シャルム・エル・シェイク」とは、COPが開催されたエジプトの地名から取っています。

主な内容は、前年のCOP26の全体決定「グラスゴー気候合意」を踏襲したもので、明確な進展はありません。

1.5℃目標の追求を決意

COP26の合意と変わりありません。

中国・インド・サウジアラビアが、COP27と同時期に開催されていたG20閣僚級会合において、現行の合意よりも弱い「2℃より十分に低く保つ」というパリ協定の原文に戻すことを主張していましたが、結果的には1.5℃が堅持されました。

2023年末までに、気温目標と整合するように必要に応じて、2030年削減目標の見直しと強化を求める

COP26の合意と変わりありません。

「気温目標に整合するように」という表現は、1.5℃目標の達成のためには、2025年までに世界の温室効果ガスの排出量を減少に向かわせ、2030年にはほぼ半減させなければならないことを踏まえています。
COP26より踏み込んだ表現とはなりませんでした。

2030年までにメタンなどの非CO₂温室効果ガスのさらなる削減を検討するよう奨励

COP26の合意と変わりありません。

2030年のメタン排出量削減の目標設定が期待されていましたが、そこまで至りませんでした。

対策が講じられていない石炭火力の段階的削減、非効率的な化石燃料補助金の段階的廃止

COP26の合意と変わりありません。

80ヶ国がすべての化石燃料の段階的削減を求めていましたが、交渉にすら至りませんでした。

食料安全保障の最重要性、金融システム・構造の変革の必要性、ディピングポイント等への言及

生物多様性と気候変動への統合的対処、都市の役割、公正な移行に関する作業計画の発足 など

緩和作業計画(MWP)の策定

これ以上の気候変動を抑制するための2030年までの「勝負の十年間」において、緩和の野心と実施の規模を緊急に高めるための「緩和作業計画(MWP)」が策定されました。

この計画には、

・計画期間を2026年までとして毎年議題として取り上げ、進捗を確認すること(2026年に期間延長の要否を検討)
・すべてのセクターや分野横断的な事項(パリ協定第6条の市場メカニズムの活用を含む)なとを対象とすること
・最低年2回、機会、優良事例、実行可能な解説策、課題、障害についてのワークショップを開催すること
・非政府主体の関与
・対話の結果は年次報告書として、ハイレベル閣僚級円卓会議に報告されること

などが盛り込まれました。広大な分野を対象とし意見交換を目的とした対話が定期的に実施されることとなります。

パリ協定第6条のいくつかのルールが決定

前回のCOP26でようやく合意に至ったパリ協定第6条の中から、いくつかのルール決定で進捗が得られました。パリ協定第6条は、先進国から途上国への技術移転などの方法で、複数の国が協力して温室効果ガスの排出を削減する制度が定められています。

COP27におけるパリ協定第6条に関連する成果は主に以下のような決定です。

第6条2項関連

・クレジットによる排出削減および吸収量の取引を記録および追跡するシステムの仕様(登記簿・中央計算・記録プラットフォーム、データベース)
・上記の報告様式の暫定版
・専門家による審査手続きなどのガイドライン(審査方法、報告書様式、審査訓練プログラム)

第6条4項関連

・監査機関の運用規則
・クリーン開発メカニズム(CDM)活動の6条4項への移管手続き
・CER(クレジット)の移管手続き
・非市場アプローチを登録するウェブプラットフォームの設置と運用および作業計画

損失と損害(ロス&ダメージ)が進展

「損失と損害(ロス&ダメージ)」の交渉においては、途上国(アラブ諸国・南米地域・後発途上国・アフリカ・小島嶼開発途上国など)が先進国(米欧日豪加など)に対して、気候変動によってもたされた影響への責任と補償を長年にわたって追求してきましたが、先進国は責任・補償問題につながる資金の議論は回避したい思惑があり、関連条項はパリ協定に盛り込まれました。ただ、途上国側が求める具体的な支援や取り決めには至らず、前回のCOP26でようやく資金調整を議論する場として「グラスゴー対話」が発足しました。

こうした経緯を踏まえCOP27では、先進国からも損失と損害の重要性を意識した発言が上がり、自発的な支援表明をする国が多く現れました。このほか、損失と損害に対応するための資金が初めてCOPの場で議題として扱われました。

サンティアゴ・ネットワークの制度取り決めが進展

技術支援を促進するための「サンティアゴ・ネットワーク」の運用化に向けて、ネットワークを構成する体制が確立したほか、目的、機能、役割と責任、報告体制などの制度的に取り決めについても決定しました。

気候資金の進展

気候資金では、長期気候資金(LTF)、2025年以降の新規気候資金目標、常設委員会に関する事項、資金メカニズムのレビュー、そして損失と損害の資金面での措置などについて交渉が行われました。

ロス&ダメージ基金(仮称)の設置の決定

交渉開始当初は、途上国と先進国間の隔たりは大きかったのですが、粘り強い交渉の結果、特に脆弱な途上国を支援するための新たな資金措置が講じられることとなりました。また関連して損失と損害の対処に焦点を置いたロス&ダメージ基金(仮称)の設立も決定しました。

資金面の運用化に関して移行委員会を設立し、運用化に向けた勧告を作成、COP28で審議することも決定しました。

長期気候資金(LTF)の達成強化

2009年に途上国への資金支援目的で、2020年までに先進国が年間1,000憶ドルの資金を拠出するという目標(長期資金目標:LTF)が立てられましたが、現在まで一年たりとも達成された年はありません。これについて途上国側からふ深い遺憾の意が表明され、先進国に対し目標を早急に達成するように催促がなされました。

結果、2025年に向けて隔年で進捗報告書を作成することとなりました。また、2025年までの適応資金の倍増についても、報告書を作成することが決定しました。

グローバル・ストックテイクの進展

グローバル・ストックテイクとは、パリ協定の長期目標の達成に向けて、世界全体の気候変動対策の進捗を5年ごとに評価する仕組みです。各国が定める温室効果ガス削減目標の実施と進捗の報告を評価し、さらなる目標更新と実施への意欲を強化します。第1回目のグローバル・ストックテイクは2023年の実施が予定され、前回のCOP26で評価が始まり来年のCOP28で終わる予定ですので、今が評価の真っ最中ということになります。

今回のCOP27では技術的対話が行われ、パリ協定の実施におけるギャップに対し共通の理解を持つことが促されました。来年の成果物の検討に向けて、閣僚級の関与を深めていく必要があります。

 

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COP27の評価と残存課題

好評価「損失と損害」基金の創設は大きな前進・だがまだ難題も

途上国が長年訴えてきた「損失と損害」が初めてCOPの場で議論され、最終的に基金の創設という具体的な形で終着したことは、COP27における大きな成果で評価されるポイントです。ただ、「誰がお金を出すのか」「特に脆弱な国とはどこなのか」「何に対していくら払うのか」といった基金の運用・実施にかかわる詳細の決定は課題として残っています。

また、基金設立と排出削減強化がセットとなることが期待されましたが、産油国等の反対により排出削減強化は弱い表現となりました。

低評価:1.5℃目標への取り組み強化は停滞

前回のCOP26では、1.5℃目標が事実上の達成目標に設定される大きな前進があり、COP27では具体的な緩和策の取り組み強化が期待されていましたが、さらに前進させるような合意には至らず、COP26のグラスゴー気候合意を踏襲する内容となりました。2030年までの勝負の10年間に野心や実施を強化するための緩和作業計画(MWP)も策定はされましたが、実際の行動強化につながるのか不透明さを残す内容となりました。

ただ、2℃ではなくあくまで1.5℃を目指すという全世界目標を、COP27においても再確認できたことは、今後議論を進めていく上で重要なポイントとなるはずです。

 

前回のCOP26の結果は以下のブログからご確認いただけます。


COP26の結果をわかりやすくまとめます

COP26とは?決定したこと・結果をわかりやすくまとめます

COP26では1.5℃目標が気候変動対策の基準に事実上設定されるなど、大きな前進が見られました。