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気候変動の41の事実と予測|IPCC第6次評価報告書第1作業部会レポートから読み解く

ブログ 更新日: 2022.10.27

気候変動に関する科学的知見を集約する国連機関「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は、第6次評価報告書を2021年8月9日に発表しました。発表されたのは、自然科学的根拠を提示する第1作業部会による報告書と要約で、人為的な気候変動は疑う余地がない、という地球温暖化の要因とそれに起因する数々の自然災害などが、人間の活動が原因であることは紛れもない事実であることを改めて強調しました。

本記事は、気候変動に関する41の事実と今後の予測と題して、第6次評価報告書第1作業部会の「政策決定者向け要約」においてまとめられた気候変動に関する既に観測されている事実と、今後起こりうる予測を厳選してお届けします。

より詳細な要約は以下から↓



IPCC第6次評価報告書第1作業部会の解説

IPCC第6次評価報告書第1作業部会のポイントをわかりやすく解説します

気候変動に関する科学的知見を集約する国連機関「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は、第6次評価報告書を2021年8月9日に発表しました。発表されたのは、自然科学的根拠を提示する第1作業部会による報告書と要約で、人為的な気候変動は疑う余地がない、というこれまで以上の強い表現が使われ、地球温暖化の要因とそれに起因する数々の自然災害などが、人間の活動が原因であることは紛れもない事実であることを改めて強調しました。


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人為起源による地球温暖化

温暖化の観測された事実

◯人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことは疑う余地がない

◯気候システム全般にわたる変化の規模と現在の状態は、何世紀も何千年もの間、前例がない。

◯気候の極端現象についての変化の証拠は、人間の影響によるとする原因特定は、2013年の前回報告以降、強化されている

◯平均気温は1970年以降、少なくとも過去2000年間にわたり、経験したことのない速度で上昇した。

◯人為起源を加味しなかった場合、気温上昇は発生していないと推定される。

◯産業革命前後から2010年~2019年までの人為的な平均気温は0.8℃~1.3℃上昇した可能性が高く、最良推定値は1.07℃である。

◯1979年以降の温暖化の主要な要因は、温室効果ガスである可能性が非常に高い

◯2019年の大気中のCO₂濃度は、過去200万年間で最も高かった。

◯1750年以降の温室効果ガスの濃度増加は、人間活動を起因とすることに疑う余地がない。

温暖化の今後の予測

◯今後数十年の間に、CO₂や他の温室効果ガスが劇的に減少しない限り、今世紀中に1.5℃さらには2℃は優に超える。

◯2℃目標を達成する場合、2050年までに毎年のCO₂排出量を現在の半分にする必要がある。

◯これが1.5℃となると、2050年までにゼロとする必要がある。

◯現在の温室効果ガス排出ペースが維持されると、2041~2060年の間に2℃、その後の20年で2.7℃、気温が上昇する。

◯パリ協定の目標をクリアしたとしても、高温や大雨、干ばつの増加、海氷の減少、海水面の上昇は起こり続け、少なくとも今世紀中に現在よりも良くなることはない。

 

高温

高温の観測された事実

◯1950年以降、全世界規模で極端な高温の観測が増加している。

◯2001~2020年の平均気温は、産業革命前後よりも【0.84~1.10:中央値0.99】℃高かった。

◯2011~2020年の平均気温は、上記同【0.95~1.20:中央値1.09】℃高かった。

◯極端な高温は1950年以降、頻度および強度が増大してきた。

◯逆に極端な低温の頻度と強度は低下してきたことはほぼ確実。

高温の今後の予測

◯将来の地球温暖化を1.5℃に抑えた場合でも、10年に1回の極端な高温が発生する頻度は現在より1.5倍高くなる。これが2℃になると2倍

温度は1.5℃で0.7℃、2℃で1.4℃上昇する。

 

大雨

大雨の観測された事実

北半球で大雨の観測が増加している。

◯1950年代以降、大雨の頻度と強度は増加しており、人為的な気候変動が原因である可能性が高い。

◯北西太平洋の熱帯低気圧が、その強度のピークが北に移動している可能性が高い。

大雨の今後の予測

◯将来の地球温暖化を1.5℃に抑えた場合、10年に1回の大雨の頻度は現在の1.15倍、2℃では1.3倍となる。

◯強度は1.5℃で3.8%増、2℃で7.3%増。

地球温暖化が1℃進行するごとに、極端な降水は約7%強まる

 

干ばつ

干ばつの観測された事実

◯アジア中部や地中海地域、欧州中・西部、アフリカ西・南部、北米西部などで干ばつの増加が観測されている。

干ばつの今後の予測

◯温暖化が進むにつれ、乾燥地帯と湿潤地帯の差が広がっていき極端になる。

 

海氷減少・海水面上昇

海氷減少・海水面上昇の観測された事実

◯30~40年前と比べ、海氷面積の9月には約40%、3月は約10%の減少が観測されている。

◯世界平均海面水位は、1901~2018年の間に[0.15~0.25:中央値0.20]m 上昇した。

◯上昇率は1971~2006年の間は1.9[0.8~2.9]mm/年に増大し、2006~2018年の間には3.7[3.2~4.2]mm/年に更に増大した

◯世界平均海面水位は、1900 年以降、少なくとも過去3千年間のどの百年よりも急速に上昇している

◯2011~2020年の北極域の年平均海氷面積は、少なくとも1850年以降で最小規模に達した

海氷減少・海水面上昇の今後の予測

◯今世紀半ば以降、9月には北極から氷がなくなる。(温室効果ガスの排出が現状維持またそれ以上のシナリオにおいて)

◯北極域において、2050年までに少なくとも1回、9月に実質的に氷がない状態になる可能性が高い。(すべてのシナリオにおいて

◯世界平均海面水位が今世紀の間、上昇し続けることはほぼ確実

 

現在のCO₂排出ペースでは、早ければ2030年代に1.5℃上昇に達する

◯カーボンバジェットの考え方から、パリ協定を達成するためにはCO₂ゼロ排出は不可欠。

◯50%の確率で1.5℃上昇を回避できる残り排出可能なCO₂は500GtCO₂で、80%の確率では300GtCO₂.

◯上記同2℃では、50%の確率が1,350GtCO₂、80%の確率では900GtCO₂。

◯2018年の世界のCO₂排出量は335億t(33.5GtCO₂)なので、現在のペースでは9年で回避可能確率80%の300GtCO₂を超える。

 

これらの報告は、世界中の研究データや論文などをIPCCが集約し、多くの専門家による科学的なレビューに基づいています。こうしてまとめてみると人類や地球にとって、何もポジティブな情報がないと感じられてしまいます。科学的に証明され、高い確信度と評価されているとなれば尚更です。

それでも、我々はまだ、最悪の事態は避けることができます。
正しい認識を持って行動を起こすタイミングは、今からでも遅くはありません。

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