Column コラム

事例インタビュー|阿部化学株式会社様(化学系製造業)|静岡県焼津市

事例インタビュー 更新日: 2024.03.27


「みんなと同じことをしていたくない」
冷媒フロンリサイクルの市場シェアNo.1であるからこそ
環境に配慮した再生フロンのモデルであり続ける


代表取締役 阿部 裕之 様

冷媒フロンのリサイクルやグリーンフロン®の販売などを手掛けられている阿部化学株式会社様。工場スタッフの作業環境を改善すると共に停電時の非常用電源として使用する目的で、この度、南工場に自家消費型太陽光発電システムを導入いただきました。
太陽光発電の導入を検討したきっかけや、設置後の効果と期待についてお話をうかがいました。

事業紹介

当社は、1984年に冷媒フロンリサイクル事業に参入しました。エアコンや冷蔵庫に充填されている冷媒フロンのリサイクルと再生フロン(グリーンフロン®)の販売が主な事業です。現在では、全国で再生フロンの市場シェアNo.1になっており、ボリュームも品質もトップを走っています。

冷媒フロンは機械の血液にあたるもので、これがなければエアコンも冷蔵庫も機能を発揮できないため、現代生活が成り立たちません。しかし、フロンはオゾン層破壊と地球温暖化の原因物質です。機械の廃棄やメンテナンスのときに、大気放出させずにきちんとフロンを回収して無害化処理しなくてはいけません。
フロンガスは、原材料に中国原産の蛍石(ほたるいし)と呼ばれるレアアースが使われています。レアアースをただ廃棄するのはもったいないという意見があり、当社では冷媒フロンのリサイクル事業を始めました。
メーカー各社がノンフロンの代替冷媒を開発していますが、性能が低く値段の課題もあって、まだまだフロンガスにはかないません。このため、地球温暖化の原因物質でもフロンを使い続けないといけない状況になっています。国が2015年に施行したフロン排出抑制法で、回収したフロンをリサイクル使用する動きになっているため、国の許可を取ってリサイクル事業をしています。

自家消費型太陽光発電事例インタビュー|阿部化学株式会社(阿部化学様提供)工場建屋

検討のきっかけは、もっと環境保護に貢献したかったから

当社は冷媒フロンリサイクル事業の先駆者として知られており、また市場シェアNo.1でもあることから、環境への意識は元々高く、阿部化学としてさらに環境に貢献できる取り組みを探していた中で太陽光発電の検討に至りました。

温室効果ガスの排出量を削減して、環境に貢献できるものを探していました。屋上緑地化なども検討していましたが、工場に自家消費型太陽光発電システムを導入しようという結論になりました。
工場の設備を再生可能エネルギーのみで動かすのは、環境ビジネスに携わる企業として良いアピールになります。当社は環境マネジメントシステムのISO14001と品質マネジメントシステムのISO9001を取得しています。実際に環境マネジメントシステムのほうで、太陽光発電設備がアピールポイントとして使いやすかったです。

導入検討時の不安、気になった点

不安に感じていたのは、実際に稼働している工場の屋根に太陽光発電システムを設置する工事のため、業務に支障が出るのではないかという点です。工事が始まるとき、屋根に上がるための階段を作っていただいて、作業するときもしっかり声がけしていただきました。お陰様で、業務への支障は全くありませんでした。

太陽光発電の営業として、女性が前線で活躍されているのは新鮮だと思います。最初は「ちゃんと分かるのかな?大丈夫?」と心配でしたが、現場でヘルメットをかぶって安全に動かれている姿を見て、心配は必要ないと思いました。

また、蓄電池を付けるべきか、とても迷いました。結果、現時点では費用対効果が薄いと感じたため蓄電池は導入していません。とはいえ、発電した電気のうち40%が無駄になっているので、当社が利用できそうな補助金が出たときにまたお願いしたいです。

自家消費型太陽光発電事例インタビュー|阿部化学株式会社(右)阿部裕之様 (左)山本健一郎様

レスポンスが早いのがありがたかった

とにかくレスポンスが早いのが良かったです。質問したことにすぐ答えてもらえるのはありがたいと思っていました。

今回は、他社からの相見積は取りませんでした。相見積りを取るより、出してもらった見積りに対して「頑張って」と言ったほうが、仕事に気持ちが入ると考えているからです。複数社から見積を取るとありがちな「ここが他社とは違う」というような、営業トークを聞かなかったのも印象的でした。

最初にくすぐられたのは、特別償却についての説明です。設備投資すると、何年も償却資産が残るので結構つらく感じます。そのため、一括償却できるという案内にとてもくすぐられました。

太陽光発電の設置後は明らかに電気代が下がっている

まだ太陽光発電システムを導入したばかりですが、月の電気代が明らかに3分の2くらいに下がっているのが嬉しいです。夏になったら、太陽光パネルの遮熱効果が発揮されることを楽しみにしています。2023年4月に大規模な空調設備を導入した結果、工場内の作業環境が改善され、作業効率の向上に繋がりました。しかしその反面、電気代は増加しました。2024年は太陽光発電設備の導入で、電気代がどのくらい削減されるのか楽しみです。

まだ導入したばかりで実感が少ない状況ですが、これから気温が高くなって電気代削減や遮熱効果を本当に実感できたら、付き合いのある他社にも太陽光発電を勧めたいです。

オンサイト自家消費型太陽光発電事例インタビュー|阿部化学株式会社太陽光パネル

今後の展開

「みんなと同じことをしていたくない」と考えています。
例えば、フロンは放出してはいけないから回収して再生しようとなったとき、最初にアメリカやヨーロッパが動きます。日本にその流れがくるのは大体2年半後くらいです。このため、海外の動向にアンテナを張って多少フライングでも、日本に来るときには既にプラントを建てていないといけません。

アメリカやヨーロッパのような法律を日本でも作るとなったときに、施行した後にどれだけ実効性があるかは、それなりの装置や業者がいないと分かりません。いつでもモデル事業所として名乗りをあげて、フロン再生とはどういったものか、実務上どのような問題があるかなど、省庁の担当者に説明できる状態にしておきたいと考えています。

日本は世界に遅れずに環境問題の先駆者としてアジアのリーダーになれていると思うので、そのあたりはこれからも協力していきたいです。

当社は再生フロンをグリーンフロン®という名称で商標登録していますので、環境関係で「グリーン」を強調した事業を展開したいと思っています。
水素で例えるとグリーン、ブルー、グレー、ホワイトなど、製造方法で色が分かれています。再生可能エネルギーだけで作っていたらグリーン水素、火力発電の電気で作ったらグレー水素といった具合です。色が分かれていると言われても、目の前にある水素が何色か気にする人はほぼいません。それが最近では、水素の色を気にするようになってきています。当社でも熱源は灯油のボイラー、機械は太陽光発電で動かす仕組みになりましたので、フロンでも水素の色に似たような何かができたらと構想を練っています。

冷媒フロンリサイクル|阿部化学株式会社(阿部化学様提供)工場内設備

自家消費型太陽光発電事例インタビュー|阿部化学株式会社(阿部化学様提供)工場敷地外観

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