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  • 工場立地法とは?太陽光発電施設は環境施設として見なされる

    工場立地法の意外な対策方法とは?太陽光発電は「環境施設」として認められる!

    工場経営者であれば遵守しなければならない「工場立地法」について、その概略と対策方法としての「太陽光発電施設」の活用を解説します。

     

     

    工場立地法とは

    「工場立地法」は、工場立地が環境の保全を図りつつ適正に行われるよう、工場立地に関する準則等を公表するなどし、もって、国民経済の健全な発展と国民の福祉の向上に寄与することを目的としています(法第1条)。

    この法律は2017年4月に施行され、環境保全に考慮した工場立地を行うために、工場を建てる際に守らなければならない条件を定めています。

    「特定工場」と呼ばれる一定規模以上の工場や事業場を設置する際などに、届出などが義務付けられています。

    届出の対象 特定工場の定義

    • 敷地面積9,000㎡以上
    • 敷地内の建築物の建築面積の合計が3,000㎡以上 ※1

    のいずれかの条件を満たすこと。

    また、業種として

    • 製造業(物品の加工修理業を含む)※2
    • 電気供給業(水力発電所、地熱発電所、太陽光発電施設を除く)※3
    • ガス供給業
    • 熱供給業

    のいずれかである工場が法規制の対象となります。

    ※1.工場のほか、事務所や倉庫といった全ての建築物を含みます。また建築面積は水平投影面積を指します。
    ※2.農業生産物の出荷場(選別、洗浄、包装などを行う事業所や植物工場=業種が“農業”に分類される)は、原則対象外ですが、加工場の場合は届出対象となる場合があります(事業が規制対象業種である“製造業”と判断される場合、例えばでんぷん製造業など)。

    ※3.電気供給業でない特定工場内に設置された太陽光発電施設は、後述する「環境施設」として届出の対象となります。

    届出の期日

    届出の期日は、原則工事着工の90日前ですが、都道府県(弊社がある静岡県など)によっては届出と同時に着工までの期間を短縮したい旨を申請すれば、市町村と協議のうえ、期間を短縮することができます。

    届出の際重要となるの規制内容は、「生産施設面積率」と本法律の肝である「環境保全」の基準となる「緑地面積率」「環境施設面積率」です。この3点について順に説明いたします。

    生産施設面積率

    生産施設とは工場(機械や設備が設置してある建物)やプラント類を指します。事務所棟や倉庫、研究所棟など、工場棟から独立した建築物は生産施設に含まれません。太陽光・風力発電による自家発電施設、変電所・受電設備、工業用水施設なども生産設備には含まれませんが、太陽光・風力以外の自家発電設備、ボイラー、コンプレッサーなどは生産施設に含まれるため注意が必要です。

    生産施設面積率の規制は工場の業種によって異なり、

    生産施設面積率 業種の区分
    30%
    • アンモニア製造業および尿素製造業
    • 石油精製業
    • コークス製造業
    • ボイラ、原動機製造業
    40%
    • 伸鉄業
    45%
    • 窯業・土石製品製造業
      (板ガラス製造業、陶磁器・同関連製品製造業、ほうろう鉄器製造業、七宝製品製造業及び人造宝石製造業を除く。)
    50%
    • 鋼管製造業
    • 電気供給業
    55%
    • でんぷん製造業
    • 冷間ロール成型形鋼製造業
    60%
    • 石油製品・石炭製品製造業
      (石油精製業、潤滑油・グリース製造業(石油精製業によらないもの)及びコークス製造業を除く。)
    • 高炉による製鉄業
    65%
    • その他の製造業
    • ガス供給業
    • 熱供給業

    以上のように定められています。

    緑地面積率・環境施設面積率

    特定工場は、業種に関わらず、工場敷地面積あたり20%以上の緑地ならびに25%以上の環境施設を設けなければなりません。

    ただし、この割合は立地する都道府県によっては、条例により緩和されている場合もあります。例えば弊社が所在する静岡県では、県内の清水町、函南町、小川町を除く町部においては次のように緩和されています。

    区域
    (都市計画法)

    要件

    第1種 第2種 第3種 第4種
    住宅地域
    商業地域
    準工業地域 工業地域
    工業専用地域
    その他、用途指定がない混在地域
    緑地面積率 20%以上 15%以上 10%以上 20%以上
    環境施設面積率 25%以上 20%以上 15%以上 25%以上

    また、緑地面積率・環境施設面積率それぞれの算出方法は

    • 緑地面積率=緑地面積/敷地面積×100[%]
    • 環境施設面積率=(緑地面積+緑地面積以外の環境施設面積)/敷地面積×100[%]

    と定められています。ここで注意したいことは、環境施設面積が緑地面積を含む点です。例えば敷地面積の20%にあたる緑地を持つ場合、必要な環境施設面積は25%-20%=5%だけとなります。

    緑地の定義と緑地以外の環境施設

    工場立地法の規則第3条にて、緑地は以下のように定義されています。

    緑地は、次の各号に掲げる土地又は施設(建築物その他の施設(以下「建築物等施設」という。)に設けられるものであって、当該建築物等施設の屋上その他の屋外に設けられるものに限る。以下「建築物屋上等緑化施設」という。)とする。

    1. 樹木が生育する区画された土地又は建築物屋上等緑化施設であって、工場又は事業場の周辺の地域の生活環境の保持に寄与するもの
    2. 低木又は芝その他の地被植物(除草等の手入れがなされているものに限る。)で表面が被われている土地又は建築物屋上等緑化施設

    容易に移設できず、良好な状態に維持管理されていれば、花壇や苔、さらには雑草地も緑地として認められるとされています。しかし、人工芝や野菜畑、温室、ビニールハウスは緑地として認められません。

    一方、緑化駐車場やパイプ下の芝生など(「緑地以外の環境施設」以外の施設と重複する土地)は重複緑地と呼ばれ、屋上や壁面の緑地とともに工場立地法の緑地として認められます。ただしその算入上限は、緑地面積率の1/4までと定められています。また、面積の計算方法は、傾斜面については水平投影面積、垂直壁面については壁面の長さ×1 mと定められています。

    「緑地以外の環境施設」の判断基準

    1. オープンスペースであり、かつ、美観等の面で公園的に整備されている
    2. 一般の利用に供するよう管理されること等により、周辺の地域住民等の健康の維持増進または教養文化の向上が図られる
    3. 災害時の避難場所等となることにより防災対策等が推進される
    4. 雨水等の流出水を浸透させる等により地下水の涵養が図られる
    5. 太陽光発電施設(生産施設に該当するものを除く。)については、実際に発電の用に供される

    具体例

    修景施設 噴水、水流、池、滝、つき山、飛び石、灯籠、東屋等
    屋外運動場 野球場、サッカー場、テニスコート、屋外プール等(これらに付属する観覧席等を含む)
    広場 簡単な運動や集会が可能で、明確に区分されたオープンスペースで公園的に整備されているところ
    屋内運動施設 体育館、屋内プール等(これらに付属する観覧席等を含む)
    教養文化施設 企業博物館(製造業に関し、歴史的・文化的価値ある資料を収集・保存・展示している施設)、美術館等
    雨水浸透施設 浸透管、浸透ます、浸透側溝、透水性舗装地等(雨樋のように雨水を通すだけのものを除く)
    太陽光発電施設 生産施設ではないこと

     

    環境施設としての太陽光発電施設

    上記の環境施設の定義にもあるように、太陽光発電施設は緑地以外の環境施設として明確に認められています

    他の環境施設は景観の整備やストレスの発散という利点がある一方、経済的なメリットは期待できませんが、太陽光発電施設は電気料金の削減により直接的に工場経営に還元されます。また、CSR・SDGs活動の一環としてアピールできるほか、停電時の非常用電源として活用できBCP(事業継続計画)対策にもなります。

    太陽光発電施設が環境施設として認められたのは2012年のことで、同じ年には再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT法)がスタートしています。太陽光発電を始めとした再生可能エネルギーの導入拡大を目指す政府の方針から、太陽光発電施設が環境施設として認められたことがうかがえます。

    太陽光発電施設導入のメリット

    それでは、環境施設として太陽光発電施設を導入するメリットをご紹介します。

    電気代削減効果

    太陽光発電で発電した電気を自社の工場で使用すれば、その分だけ電力会社から買う電気量が削減できるため、電気代を削減できます。さらに、昨今の太陽光発電の導入費用は年々下落するなか、電気料金は継続的な値上がり傾向にあり、電気は電力会社から調達よりも、太陽光発電で発電する方が安く調達できるようになりました。

    電力会社から買う量を減らせるだけでなく、より安く調達できることで電気代を削減できるメリットは、他の噴水や運動場などの環境施設にはない太陽光発電施設だけの経済的なメリットです。

    工場敷地の有効活用

    太陽光発電施設は基本的に屋根に設置するタイプであるため、運動場のように敷地内に環境施設用のスペースを確保する必要がありません。環境施設専用のスペースを確保する必要がないということは、それだけ工場などの建屋に使える敷地を確保できるということで、建屋を拡張できたり、より広く建てたりすることができます。

    脱炭素化と企業価値の向上

    RE100やSBT、ESG投資、SDGsなどに代表されるように、世界の潮流はCO2からの脱却、脱炭素化です。菅首相が2020年の10月に、2050年までに日本国内の脱炭素社会を実現すると宣言するなど、日本においても脱炭素の波が押し寄せています。日本のCO2排出は、企業の活動による生産部門が8割を占めており、日本の脱炭素化には企業努力が欠かせません。

    そして、こうした脱炭素化や自社で消費するエネルギーを再生可能エネルギー由来に切り替えていく取り組みは、今後企業の経済活動に関わってくることも見逃せません。化石燃料由来の電気を使い続ける企業は、ESG投資の観点から投資先としての評価が下落していき、RE100やSBTに取り組む企業からは、取り引きから外されていきます

    太陽光発電施設を導入し、発電した電気を自社で使えば、自ずと再生可能エネルギーの使用量が増え、化石燃料由来の電気の使用量は減っていくため、脱炭素化を進めることができます。同時に環境先進企業としての企業価値が上がっていき、新規取り引き先や新規案件を獲得していくことができます。

    補助金と税制優遇が使える

    太陽光発電の導入には、太陽光パネルやその設置工事、また蓄電池の導入にかかる費用に補助金が出ています。また、中小企業経営強化税制を活用した100%即時償却または10%(企業規模によっては7%)の税額控除による節税ができます。うまく活用することで、初期費用を抑えた導入が可能です。

    BCP対策に有効

    近年多発する大型台風や記録的な大雨、そしてパンデミックなどから、緊急事態への直面を想定した事前の備えは、企業においても急速に対策が進んでいます。太陽光発電施設は、太陽が出ていれば発電できることで停電時でも電気が使えるというメリットがあり、BCP対策によく組み込まれています。蓄電池を併設し、あらかじめ電気を貯めておけば、太陽光発電が発電できない夜間や雨天時にも対応でき、緊急事態時のスマホやパソコン、テレビなどを使った情報収集、従業員や家族の安否確認などに役立ちます

    太陽光発電施設の活用場面

    おすすめの企業様、活用場面をご紹介します。

    • 工場敷地を有効活用したい
    • 新たに建屋を建てたい・拡張したいがスペースがない(既存の環境施設に建てるほかない
    • コストを削減したい
    • 親会社や取り引き先から、再エネ化を要請されている
    • 今年度利益が出たため節税したい
    • 停電で大損害を被った経験がある(また、その可能性がある)
    • BCPを策定中あるいは検討している

    太陽光発電施設導入のデメリットと注意点

    電気代が削減でき、工場敷地も有効活用できる太陽光発電施設ですが、導入の際のデメリットも考慮しておく必要があります。

    初期費用およびランニングコストがかかる

    太陽光発電施設の大きさによって異なりますが、導入時には1,000万円~3,000万円ほどの費用がかかります。メンテナンスや遠隔監視などのランニングコストが発生することにも留意しておく必要があります。

    ただ、前述のように太陽光発電施設は他の環境施設とは異なり、電気代削減による経済的なメリットがあります。電気代の削減で換算すると初期費用はおよそ10年で回収でき、補助金や税制優遇を活用すれば5年や6年での回収も見込めます

    稼働率は天候に左右される

    太陽光発電施設は太陽が出ていないと発電できないため、その稼働率は天候に左右されます。導入の際には、業者からどれだけ発電するのかというシミュレーションが提案されますが、どういった計算がされているかや、シミュレーション値の根拠、近場の発電所の実績値を確認すると良いでしょう。

    屋根貸しなど第三者の管理下にある場合

    太陽光発電施設を屋根貸しによって設置している場合、またPPA・TPOモデルを用いて導入しているような、施設が第三者の管理下にある場合は注意が必要です。

    太陽光発電施設に何かしらの変更などを加える際に、工場側がその変更を行えれば環境施設として見なされますが、第三者に管理権限があって、工場側で太陽光発電施設を管理下に置けない状況だと、環境施設としては見なされません

     

    まとめ

    工場立地法の概要と環境施設としての太陽光発電施設をご紹介しました。工場立地法は、工場を建てる際には必ず検討する必要がある法律で、工場側には緑化や環境施設も考慮した建設が求められます。自治体によって届出の期日や手続き方法が多少異なることも注意が必要です。

    限られた敷地をできるだけ建屋として活用したい、電気代コストが目に見える課題としてある場合は、環境施設に太陽光発電を検討すると良いかもしれません。下記では、無料で電気代削減のシミュレーションを行っています。お気軽に実施ください。

     

     

    出典
    ・「工場立地法について」静岡県WEサイト
    ・「静岡県 工場緑化ガイドライン~「質の高い」工場緑化を目指して~」静岡県資料
    ・「工場立地法 よくある質問」愛知県安城市資料
    ・「工場立地法運用例規集」経済産業省資料
    ・「工場立地法FAQ集(第2.0版)」経済産業省資料
    ・「特定工場届出の手引」静岡県資料